【相談】恋人に本音を言えない…我慢してしまう人の原因と改善法
恋人に対して言いたいことがあるのに、つい飲み込んでしまう。
嫌だと感じても笑ってごまかしてしまう。
そんな自分に気づいて疲れている方も多いはずです。
我慢を重ねると、相手との距離だけでなく、自分への信頼感も少しずつ削られていきます。
とはいえ、いきなり本音をさらけ出すのも怖く感じやすいものです。
この記事では、なぜ本音を言えなくなるのかを心理面から整理しつつ、少しずつ「我慢」から「伝える」に切り替えていくための現実的なステップをまとめました。
完璧を目指すのではなく、今日からできる小さな一歩を一緒に考えていきます。
この記事で分かること
- 恋人に本音を言えず我慢してしまう人に多い行動パターンと心理的な背景
- 本音を言えない関係が続いたときに起こりやすい心と生活への影響
- 「なぜ言えないのか」を整理するための自己理解のポイントと境界線の考え方
- 我慢から少しずつ「伝える」に変えていく具体的なコミュニケーションのコツ
- どうしても本音が言えないときに考えたい背景と、頼れる相談先の目安
恋人に本音を言えないときのサインとよくある我慢パターン

「自分はそんなに我慢していない」と思っていても、
ふり返ってみると、いつも自分ばかり飲み込んでいた。
そう気づくのは、心がかなり疲れてからのことが多いです。
まずは、どんな行動や感情が
「本音を言えなくなっているサイン」なのかを整理していきます。
ここでは、
- 本音を飲み込んでしまうときによく出る行動や感情
- デートや日常で起こりやすい我慢のシチュエーション
- 「言わない方が楽」と感じるようになる心の流れ
を順番に見ていきます。
本音を飲み込んでしまうときの行動や感情のサイン
恋人に本音を言えていないとき、次のような行動や感情が出やすくなります。
- 言いかけてから言葉を引っ込める
- 「それはちょっと…」と言いかけて、笑ってごまかす
- 反射的に「大丈夫だよ」「平気だよ」と答えてしまう
- 話題をそらしてしまう
- 本当は気になっているのに、別の話題に変える
- 触れられたくないテーマになると、冗談で流して終わらせる
- 泣きそうなのに笑ってしまう
- 悲しいのに「そんなに気にしてないから」と笑って見せる
- 悔しいのに「まあ、そういうこともあるよね」と強がる
- 帰宅してからどっと疲れを感じる
- デート中は平気なふりをしているのに、家に帰るとぐったりする
- 会ったあとは、なぜか虚しさや寂しさが強く出てくる
- 一人になったときだけ涙が出る
- 具体的に何がつらいのかは説明しにくいのに、涙だけ出てくる
- 自分でも「どうしてこんなに苦しいのか」が分からない感覚がある
これらは、本音を飲み込むクセがついているサインとも言えます。
表面上は「うまくやれている」「波風立てずに済んでいる」ように見えても、
内側では少しずつ負担が積み重なっていきます。
デートや日常でよくある「我慢してしまう」シチュエーション
本音を言えない人は、特定のテーマや場面で我慢しやすい傾向があります。
いくつか代表的なシチュエーションを挙げてみます。
時間の使い方に関する我慢
- 本当はもう少し早く帰りたいのに、
相手の「まだ一緒にいたい」に合わせて終電ぎりぎりまで付き合う。 - 相手の都合に予定を合わせ続け、自分の予定は後回しになる。
お金に関する我慢
- デート代の負担に違和感があっても、言い出せない。
「たまには割り勘にしたい」「出費がきつい」と思っても黙ってしまう。 - 相手がお金にだらしないと感じていても、
「細かいことを言うとうるさいと思われそう」で何も言えない。
連絡頻度・距離感に関する我慢
- 本当はもう少し連絡がほしいのに、
「忙しそうだし、重いと思われたくない」と言わずに我慢する。 - 会いたい気持ちがあっても、「迷惑かもしれない」と考えて誘えない。
性やスキンシップに関する我慢
- 本当は気が進まないタイミングでも、断れずに応じてしまう。
- 触られたくないことや、嫌なやり方があっても、
雰囲気を壊しそうで言えない。
価値観や将来像に関する我慢
- 結婚・子ども・住む場所などの話題に不安があっても、
触れた瞬間に空気が重くなりそうで話題にできない。
こうした場面が思い当たる場合、
「大ごとではないから」と自分に言い聞かせていることも多いです。
しかし、小さな我慢が積み重なると、自分でも気づかないうちに心の余裕が削られていきます。
「言わない方が楽」と感じるようになる心の流れ
最初から本音が言えなかったわけではなく、
あるプロセスを経て「言わない方が楽」と感じるようになることが多いです。
流れの一例を整理してみます。
ステップ1|小さな違和感を飲み込む
- デートの時間、連絡の仕方、お金のことなどで「ん?」と感じる。
- ただ、その場の空気を壊したくなくて、そのまま流してしまう。
- 「このくらいなら我慢できる」と自分に言い聞かせる。
ステップ2|違和感が蓄積していく
- 同じような場面が何度か繰り返される。
- そのたびに、モヤモヤしながらも何も言わない選択を続ける。
- 心の中に「小さな不満メモ」が溜まっていくイメージで、疲れが増えていく。
ステップ3|あきらめに近い感覚が出てくる
- 「どうせ言っても分かってもらえないかもしれない」
- 「面倒くさい人だと思われるくらいなら、我慢した方がいい」
こうした考えが浮かびやすくなる。
口に出す前に、自分で自分の気持ちにダメ出しをしてしまう状態です。
ステップ4|「言わない自分」が習慣化していく
- 本音を言わずにやり過ごすことが当たり前になっていく。
- いざ何かを伝えようとしても、言い方が分からないと感じる。
- 心のどこかで「本音を言ったら終わってしまうかもしれない」という怖さが強くなっていく。
ここまで来ると、
「言ったらどうなるかの怖さ」>「このまま我慢し続けるつらさ」
という状態になりやすくなります。
その結果、
- 本音を言わないことでその場を保っている
- けれど、自分の中では少しずつ関係への信頼が削られている
という、二重のしんどさが続くことになります。
もしこの流れのどこかに心当たりがあるなら、
すでに我慢のクセがかなり強くなっているサインとも言えます。
次のパートでは、
なぜそこまで本音を言いづらくなってしまうのか。
その背景にある心理や自己肯定感との関係を、もう少し丁寧に整理していきます。
本音を言えず我慢してしまう心理|嫌われる怖さと自己肯定感
「どうしていつも我慢してしまうんだろう」「自分は弱いのかもしれない」と感じるとき、多くの人はそれを「性格の問題」と考えがちです。
けれど、本音を言えなくなる背景には、いくつかの心理的なメカニズムがあります。
ここでは、
- 嫌われること・衝突することへの強い怖さ
- 自己肯定感の低さから生まれる「自分の気持ちは後回し」のクセ
- 過去の経験から身についた「我慢して乗り切る」生き方
という3つの視点から整理していきます。
嫌われること・衝突することへの強い怖さ
本音を言えない人の多くが持っているのが、
「嫌われたくない」「関係が壊れたらどうしよう」という強い怖さです。
例えば、こんな考えが浮かびやすくなります。
- 「こんなこと言ったら、機嫌を損ねてしまうかもしれない」
- 「重いと思われて、距離を置かれたらどうしよう」
- 「文句を言う人だと思われて、価値が下がるかもしれない」
その結果、
- 本当は行きたくない場所でも「いいよ」と答える
- 連絡頻度に不満があっても「忙しいだろうし」と自分を納得させる
- 寂しさや不安があっても、「我慢すればうまくいく」と考えてしまう
といった行動につながっていきます。
この怖さの根っこには、
「衝突したら関係が終わるかもしれない」という不安があることが多いです。
- 意見がぶつかること
- 不満を伝えること
- NOを言うこと
を、「嫌われること」とほとんど同じ意味で捉えてしまうと、
本音を見せるたびに大きなリスクを感じてしまいます。
本来、健全な関係では、意見の違いや小さな衝突を通して、お互いの理解が少しずつ深まります。
しかし、過去に「意見を言ったことで否定された」「怒鳴られた」「距離を置かれた」という経験があると、
「もう同じことは繰り返したくない」と感じ、本音を閉じ込める方向に働きやすくなります。
自己肯定感の低さと「自分の気持ちは後回し」のクセ
本音を言えない背景には、自分の価値を低く見積もってしまう傾向も影響します。
例えば、心のどこかで次のように感じていることがあります。
- 「自分の気持ちより、相手の都合を優先するべきだ」
- 「お願いしたり、嫌だと言ったりする自分には価値がない気がする」
- 「こんなことを考える自分がわがままなのかもしれない」
このように、自分の気持ちより相手の気持ちを優先しすぎてしまうと、
「自分の希望を伝えること」そのものに罪悪感を覚えやすくなります。
すると、
- 嫌だと感じたときより先に、「相手はどう思うだろう」が浮かぶ
- 自分の本音を検討する前に、「きっと自分が我慢すれば丸く収まる」と考える
- 本音を言おうとした瞬間に、「そんなこと言える立場じゃない」と自分を止めてしまう
という流れになりやすくなります。
自己肯定感が低いと、
- 「自分の気持ちを大切にしていい」という感覚を持ちにくい
- 「相手に合わせ続けないと、愛されない」と感じやすい
という状態になりがちです。
その結果、
「我慢=愛されるために必要なこと」という誤った結び付きが心の中でできてしまい、
本音を言うことが「関係を危うくする行為」に感じられてしまいます。
過去の経験から身についた「我慢して乗り切る」生き方
本音を言えないパターンは、突然そうなったわけではなく、
これまでの人生の中で身につけてきた「生き延びるための工夫」であることが多いです。
たとえば、次のような経験が関係している場合があります。
家庭環境での経験
- 子どもの頃、親が忙しかった・疲れていた
→ 「迷惑をかけないように」と、気持ちや要求を抑え込むクセがついた - 親の機嫌が不安定で、怒鳴られたり無視されたりした
→ 「黙っていた方が安全だ」と学び、本音を隠すことで自分を守ってきた
学校・友人関係での経験
- 自分の意見を言ったときに笑われた・否定された
→ 「素直な気持ちを出すと傷つく」と感じ、様子をうかがうようになった - 空気を読むことが求められる環境で育ち、「合わせる子」が褒められやすかった
→ 本音を言うよりも、「波風を立てないこと」が正解だと思うようになった
職場での経験
- 上司や同僚に意見を言ったら、「生意気だ」と受け取られた
→ 職場で本音を言うと不利益を被る、と感じた - 調整役・聞き役になることが多く、「自分のことは後でいい」と思う習慣がついた
これらの経験は、その場を乗り切るためには役に立ってきた側面もあります。
ただ、恋愛関係にそのまま持ち込まれると、
- 恋人に対しても、常に「我慢して乗り切る」パターンが出てしまう
- 長期的には、自分の気持ちがわからなくなるほど抑え込んでしまう
といった状態になりやすくなります。
ここで大切なのは、
- 本音を言えないのは「性格がダメだから」ではなく
- これまでの環境の中で身につけざるを得なかった「生き方のパターン」だということ
を理解することです。
そう捉え直すことで、
自分を責める視点から少し離れて、
「これからは、別のやり方も試してみてもいいのかもしれない」と考えやすくなります。
次のパートでは、
このまま本音を言えない関係が続いたときに、恋人との距離や自分自身にどんな影響が出てくるのかを整理し、
「変えたい」と感じたときに意識したいポイントを見ていきます。
本音を言えない関係が続くとどうなるか|恋人との距離と自分への影響
本音を言えないまま関係が続くと、
その場は大きなトラブルなくおさまっているように見えます。
しかし、表面上は平穏でも、見えないところでは
少しずつ誤解やストレスが積み重なっています。
ここでは、
- 恋人との誤解やすれ違いがどう広がっていくか
- 我慢の限界が来たときに起こりやすい「爆発」の流れ
- 心とからだ、日常生活への影響
を、できるだけ冷静に整理していきます。
誤解とすれ違いが増え、距離が広がっていく流れ
本音を言わずに我慢しているとき、
自分の中では「かなり頑張っている」「無理をしている」という感覚があります。
一方で、恋人側からは、次のように見えていることが少なくありません。
- 楽しそうにしている
- 不満を言われたことがほとんどない
- 提案に基本的に「いいよ」と言ってくれる
そのため、恋人は
「今の関係にそれなりに満足しているのだろう」
「特に困っていないのだろう」
と受け取ってしまいやすくなります。
このとき起きているのは、
- 自分の中:不満やつらさが少しずつ蓄積している
- 相手の中:問題は特にないと思い込んでいる
というギャップです。
例えば、こんな流れが起きます。
- 本当は連絡頻度に不満があるが、伝えていない
- 相手は「今のペースで問題ない」と考えたまま
- 自分の中では、「大切にされていないのでは」という不信感が強くなる
この状態が続くと、
- ちょっとした言葉に過剰に反応してしまう
- 相手の態度を、すべて「大事にされていない証拠」として受け取ってしまう
という形で、心の距離が広がっていきます。
恋人からすると、
「急に冷たくなった」
「急に怒りっぽくなった」
と見えるかもしれませんが、
実際には「ずっと前から我慢していたものが積み重なっていた」というケースが多いのです。
限界までため込んで一気に爆発してしまうリスク
本音を言わないまま我慢を続けると、
あるタイミングで限界を迎えやすくなります。
それは、特別大きな出来事とは限りません。
- 何度目かのドタキャン
- また同じパターンでの遅刻
- 期待していた記念日が軽く扱われたと感じたとき
こうした「きっかけ」を境に、
ため込んでいた感情が一気にあふれ出すことがあります。
そのときに起こりやすいのは、次のような流れです。
- 我慢し続ける
- 言わないことで関係を守ろうとする
- 自分さえ我慢すればいいと考える
- 限界が来て爆発する
- 過去の出来事もまとめて一度に責めてしまう
- 泣きながら怒る、感情のコントロールが難しくなる
- その後、強い自己嫌悪に襲われる
- 「言い方がきつすぎた」「大人げなかった」と自分を責める
- 「だから本音なんて言わない方がよかった」と感じる
- さらに本音を言えなくなる
- 「次に本音を言ったら、また同じように爆発してしまうかも」と怖くなる
- 結果として、また我慢に戻る
この繰り返しは、
自分にとっても恋人にとっても負担が大きくなります。
恋人側からすると、
「いつも突然爆発される」「何が不満なのか分からない」と感じることもあり、
関係全体への信頼にも影響していきます。
本音そのものが悪いわけではなく、
限界までため込んでから一気に出てしまう形になっていることが、
お互いにとってつらい結果につながりやすいのです。
心とからだにたまるストレスと、生活への影響
本音を言えない状態が続くと、
心だけでなくからだや日常生活にもサインが出てくることがあります。
例えば、次のような変化です。
- 眠りにくくなる
- 布団に入ると、相手の言動や会話を何度も思い返してしまう
- 夜中に何度も目が覚めて、熟睡した感じがしない
- 楽しめなくなる
- デートの前に「楽しみ」よりも「うまく振る舞えるか」の不安が先に立つ
- 以前は好きだった場所やイベントでも、疲れの方が強く出る
- 集中力が続かない
- 仕事中にも、ふと恋人とのやりとりが頭をよぎる
- ミスが増えたり、人の話が入ってこなかったりする
- からだの不調として現れる
- 頭痛や胃の不快感、肩こりなどが続く
- 健康診断で大きな異常はないが、「常にだるい」感覚がある
これらは、
「恋人との関係だけの問題」ではなく、
自分の生活全体に影響が広がってきているサインでもあります。
また、心の面では次のような感覚が強くなることもあります。
- 自分の気持ちがよく分からなくなってくる
- 何をしたいのか、何が嫌なのかが曖昧になっていく
- ふとした瞬間に、「この先もずっと我慢し続けるのだろうか」と不安になる
ここまでの状態になっている場合、
すでに「少し我慢している」の範囲を超えて、
自分の心とからだの限界に近づいている可能性があります。
大事なのは、
「我慢が悪い」「我慢した自分が悪い」と責めることではありません。
- これまでの自分は、このやり方でなんとか関係を保とうとしてきた
- ただ、そのやり方では、自分の心とからだがもたなくなってきている
と現状を整理し、
そろそろ別の方法を試してもよいタイミングかもしれないと考えてみることです。
次のパートでは、
そのための第一歩として、
「なぜ言えないのか」「本当は何を伝えたいのか」を整理する方法について
具体的に見ていきます。
「なぜ言えないのか」を整理する|自分の気持ちと境界線を知る

本音を伝える方法を考える前に、
まずは「なぜ自分は言えなくなってしまうのか」を整理することが大切です。
伝え方だけを変えようとしても、
- どんな場面で
- どんなテーマが苦手で
- 何を守ろうとして我慢しているのか
が自分で分かっていないと、同じパターンを繰り返しやすくなります。
ここでは、
- 本音を言えない場面とテーマを書き出す
- 不満の裏側にある「本当に伝えたいこと」を掘り下げる
- 自分の中の「譲れること」と「譲れないこと」を整理する
という3つのステップで、自分の内側をていねいに言語化していきます。
本音を言えない場面とテーマを書き出してみる
最初のステップは、「どんなときに言えなくなるのか」を具体的にすることです。
漠然としたモヤモヤのままだと、自分でも対処が難しくなります。
紙やスマホのメモに、次のような項目を分けて書き出してみてください。
- 言えなかった場面
- デートの約束を決めるとき
- お金の話になったとき
- 休日の過ごし方を話しているとき
- スキンシップや性の話題になったとき
- テーマ(内容)
- 連絡頻度
- 会う頻度
- お金の負担
- 将来の話
- 自分の体調や気分
- そのときの自分の状態
- 胸がざわざわする
- 喉が詰まる感じがする
- 頭の中で言葉が出てくるが、声にできない
- 笑ってごまかしてしまう
思い出せる範囲でかまいません。
細かい内容でなくても、「こんな雰囲気だった」と書いておくだけでも十分役に立ちます。
ポイントは、
- 相手が悪いかどうかを判断するためではなく
- 自分がどんな場面で本音を止めやすいかを「パターン」として把握すること
です。
書き出してみると、
- 特定のテーマ(お金・時間・性など)になると急に言えなくなる
- 特定のシチュエーション(電話・外食・相手の家など)で言えなくなる
といった傾向が見えてくることがあります。
これは、自分の心が「ここは危険かもしれない」と感じているポイントのヒントでもあります。
本当に伝えたいことは何かを掘り下げるワーク
次のステップは、書き出した場面ごとに
「本当は何を伝えたかったのか」を掘り下げてみることです。
そのために、各場面について、次の質問を自分に投げかけてみてください。
- そのとき、本当はどうしてほしかったか
- その状況で、自分にとって大事だったものは何か
- どんな気持ちを分かってほしかったか
例えば、こんな整理の仕方があります。
- 例1)
- 場面:相手がよくドタキャンするのに、文句が言えなかった
- 表の気持ち:せっかく予定を空けていたのに、腹が立った
- 本当に伝えたいこと:
- 自分の時間を大事に扱ってほしい
- 約束を軽く扱われると、自分が大切にされていないと感じてしまう
- 例2)
- 場面:本当はもう少し連絡がほしいのに、言えなかった
- 表の気持ち:寂しい、放っておかれている感じがする
- 本当に伝えたいこと:
- 安心して付き合っていきたい
- 自分の存在を思い出してもらえている感覚がほしい
このように、表に出てくる「不満」の裏側には、
- 大事にしたいもの
- 欲しかった安心感
- 守りたかった自分の価値
が隠れていることが多いです。
ここを自分で整理しておくと、
- 単に「不満をぶつける」のではなく
- 「自分にとって何が大切なのか」を伝える準備
ができます。
また、「自分は何を大切にしたい人なのか」という自己理解にもつながっていきます。
自分の中の「譲れること」と「譲れないこと」を整理する
最後のステップは、
自分の中の境界線を確認することです。
すべてを100パーセント思い通りにすることは、現実的には難しいです。
一方で、何もかも相手に合わせてしまうと、自分がすり減っていきます。
そこで、一度次のように分けて考えてみてください。
- 必ず守りたいこと(譲れないライン)
- 体調が悪いときは、無理に会わない
- 望まない性行為には応じない
- 相手に暴言・暴力を許さない
- 自分の仕事や生活に大きく支障が出ることは受け入れない
- できれば守りたいこと(優先したいけれど、調整の余地があること)
- 会う頻度の希望
- 連絡頻度の目安
- お金の負担のバランス
- 記念日の過ごし方
- 状況次第で変えられること(柔軟に考えてもよい部分)
- デートの場所
- 会う曜日や時間帯
- 連絡手段(電話かメッセージかなど)
重要なのは、自分の中で、
- 「ここまでは調整できる」
- 「ここから先は、自分を守るために守りたい」
という線引きを持つことです。
この境界線が曖昧だと、
- どれも我慢しなければならない気がしてくる
- どこから伝えたらいいのか分からなくなる
という混乱につながります。
逆に、境界線が少しでも見えてくると、
- どのテーマから話すべきか
- どの部分は折り合いを探せそうか
といった優先順位が付けやすくなります。
「全部伝えなければ」と考えると負担が大きくなりますが、
まずは
- 譲れないことの中から1つ
- できれば守りたいことの中から1つ
というように、少しずつ取り組むこともできます。
ここまでの整理は、相手を責めるための材料ではなく、
自分を守りながら関係を続けるための土台です。
次のパートでは、この土台をふまえて、
我慢から「伝える」に切り替えていくためのコミュニケーションの基本について、
具体的なポイントを見ていきます。
我慢から「伝える」に切り替えるためのコミュニケーションの基本
ここまでで、
- どんな場面で本音を言えなくなるのか
- その背景にどんな心理や経験があるのか
- 自分の「譲れること」と「譲れないこと」
を整理してきました。
ここからはいよいよ、実際に「伝える」側に少しずつ踏み出すステップです。
とはいえ、いきなりすべてを正直に打ち明ける必要はありません。
まずは、伝え方の土台となる考え方と、基本的なスキルを知っておくだけでも、心構えが変わります。
ここでは、
- 不満だけでなく「願い」として言葉にする考え方
- 相手を責めずに、自分を主語にして話すコツ
- 伝えるタイミングや場所を整える重要性
の順で整理していきます。
不満だけでなく「願い」として言葉にする考え方
本音を伝えようとするとき、多くの人が最初に頭に浮かべるのは
「嫌だったこと」「つらかったこと」「困っていること」です。
もちろん、それ自体は大切な本音です。
ただ、伝え方が「不満の列挙」だけになってしまうと、相手は防御的になりやすくなります。
そこで意識したいのが、
不満だけで終わらせず、その裏にある『願い』まで言葉にするという考え方です。
例えば、
- 「どうしていつも連絡くれないの」
よりも
「一日の終わりに、簡単でもいいから一言もらえると安心できる」 - 「ドタキャンばかりで本当に無責任」
よりも
「予定が変わりそうなときは、分かった時点で教えてもらえると助かる」 - 「いつも私ばかり合わせている気がする」
よりも
「たまには私の希望も一緒に考えてもらえると、もっと楽しく過ごせそうだと感じている」
というように、不満の後ろにある
- どうしてほしいのか
- どんな関係をつくりたいのか
までをセットで伝えるイメージです。
不満だけをぶつけられると、相手は「責められている」と感じやすくなります。
一方で、「願い」の部分まで聞けると、
- 何を変えればいいのかが具体的に分かる
- 二人で工夫できる余地が見えやすくなる
というメリットがあります。
ここで大切なのは、
「嫌」「無理」だけで終わらせず、「こうなると嬉しい」を添えることです。
完璧な言い方でなくて構いません。
まずは、頭の中で
- これは単なる不満なのか
- それとも、何か願いが隠れているのか
を一度問いかけてみることから始めてみてください。
相手を責めずに自分の気持ちを主語にして伝えるコツ
相手に伝えるときに、もう一つ大切になるのが
「あなたが〇〇したから」ではなく「私はこう感じた」を主語にするということです。
この伝え方は、一般的に「Iを主語にした伝え方」と呼ばれることがあります。
例えば、同じ出来事でも、次のような違いが生まれます。
- 「全然連絡くれないよね」
→ 相手の行動を評価・非難する言い方 - 「連絡が少ないと、私は少し不安になってしまう」
→ 自分の感情を中心に伝える言い方 - 「遅刻ばかりで、やる気がないように見える」
→ 相手の人格ややる気を決めつける表現 - 「待っている時間が長いと、私は大切にされていないように感じてつらい」
→ 自分の感じ方に焦点を当てた表現
前者の言い方は、相手を「悪者」にしてしまいやすいため、
防御的な反応(言い訳・反論・逆ギレ)を引き出しやすくなります。
後者の言い方は、
- 相手を評価しているのではなく
- 自分の内側で起きていることを説明している
という形になるため、相手も受け取りやすくなりやすいです。
コツとしては、次のような流れを意識してみてください。
- 事実
「最近、会うのが月に一回くらいになっているよね」 - 自分の気持ち
「私は、その頻度だと少し寂しいと感じている」 - 願い・提案
「もう少し会う回数を増やせないか、一緒に考えてみたい」
この順番で話すと、
- 責めるためではなく、「自分の状態を共有し、これからを考えたい」という意図が伝わりやすくなります。
完璧な文章を組み立てようとせず、
- 「私は〜と感じている」
- 「私は〜だと助かる」
- 「私は〜だと不安になる」
というフレーズを一言足してみるだけでも、
コミュニケーションの雰囲気は変わっていきます。
伝えるタイミング・場所・コンディションを整える
どんなに言い方に気をつけても、
タイミングや状況が悪いと、うまく届きにくいことがあります。
例えば、次のような場面は、深い話にはあまり向いていません。
- 相手が明らかに疲れているとき
- 飲み会の帰りで、お互いに酔っているとき
- 喧嘩の直後で、感情が高ぶったままのとき
- 時間がほとんどないとき(出勤前・待ち合わせ直前など)
こうした場面では、相手も自分も余裕がありません。
その状態で大切な本音を出すと、
- 相手が防御的な受け取り方をしてしまう
- 自分も冷静に話せず、「やっぱりうまく伝えられなかった」という自己嫌悪が残る
という結果になりやすくなります。
逆に、比較的話しやすくなるタイミングや場所としては、
- ある程度時間の余裕がある休日
- 一緒に食事したあと、少し落ち着いた時間帯
- 散歩や車の移動中など、真正面から向き合いすぎない状況
などが挙げられます。
また、自分自身のコンディションも大切です。
- あまりにもイライラしているときは、一度深呼吸をして時間を置く
- 泣きそうで言葉にならないときは、メモやLINEにまとめてから話す
- 体調が悪いときは、無理に話し合いをしない
など、「今話すべきかどうか」を自分にも問いかけてみてください。
伝える内容と同じくらい、
「いつ」「どんな状態で」「どこで話すか」は、コミュニケーションの結果に大きな影響を与えます。
完璧なタイミングを見つけることは難しいですが、
- 明らかに向いていないタイミングは避ける
- ある程度落ち着いて話せそうな場を選ぶ
という意識だけでも、受け取られ方は変わっていきます。
次のパートでは、この基本を土台にしながら、
いきなり大きな本音をぶつけるのではなく、
怒りや涙になる前にできる小さな練習ステップについて具体的に見ていきます。
怒りや涙になる前にできる小さな練習|少しずつ本音を出すステップ
ここまで読んでこられた方は、
「本音を伝えた方がいいのは分かる」
「でも、いざとなると怖くて言えない」
という状態かもしれません。
そこでこのパートでは、いきなり重いテーマや深い本音を扱うのではなく、
小さな場面から少しずつ「本音を出す練習」をしていく方法を整理します。
- 小さなお願いから始める一言の練習
- 柔らかい断りフレーズのストックを持つこと
- 直接言いにくいときに、LINEやメモを活用する方法
の3つを紹介します。
「完璧にやる」のではなく、「少し試してみる」くらいの気持ちで読んでみてください。
小さなお願いから始める「本音の一言」練習
本音を言うことに慣れていない場合、
最初から重要度の高いテーマ(結婚、将来、性、価値観など)を扱うと負荷が大きくなります。
そこで、最初の練習としておすすめなのが
「小さなお願い」から本音を出してみることです。
例えば、次のような場面です。
- 時間に関するお願い
- 「明日は少し早めに解散できると助かる」
- 「集合時間をもう30分遅くしてもらえると、ゆとりを持って動ける」
- お店や食事に関するお願い
- 「今日はさっぱりしたものが食べたい気分」
- 「もしよければ、次は静かなお店にしてみたい」
- 連絡に関するお願い
- 「寝る前に一言だけでもLINEがあると安心できる」
- 「忙しい日は、スタンプだけでもうれしい」
- 過ごし方に関するお願い
- 「今日は人が多い場所より、落ち着けるところで過ごしたい」
- 「今度の休みは、ゆっくり家で映画を見る日にできたらうれしい」
ポイントは、
- 「嫌だからやめて」だけではなく、「こうしてもらえるとうれしい」を添える
- 相手にとっても実現しやすい、小さな変更から試す
ということです。
このレベルのお願いであれば、
受け入れてもらえる経験が積み重なりやすくなります。
「ちゃんと言っても関係は壊れない」
「自分の希望を出しても大丈夫な相手かもしれない」
と、少しずつ体感できると、本音を出すハードルも下がっていきます。
断りが苦手な人のためのシンプルなNOフレーズ集
お願いと同じくらい大切なのが、
断りたいときに使える言葉の準備です。
断りが苦手な人ほど、
- どう言えばいいか分からない
- 急に黙り込んでしまう
- その場しのぎでOKして後で後悔する
というパターンになりやすいので、
あらかじめ使えそうなフレーズをストックしておくと安心材料になります。
完全なNOを言うのが難しいときに使いやすい、柔らかい言い方の例を挙げます。
今は受け入れられないとき
- 「今は少し難しいかもしれない」
- 「今日はそういう気分ではないかも」
- 「今回はやめておきたい」
少し時間がほしいとき
- 「少し考える時間をもらってもいいかな」
- 「すぐには決めきれないから、また改めて話したい」
代案を出しながら断るとき
- 「その日は難しそうだから、別の日なら行けそう」
- 「今は遠出はしんどいから、近場なら助かる」
関係性を守りながら断りたいとき
- 「誘ってくれてうれしいけれど、今回は見送らせてほしい」
- 「そう思ってくれたことはありがたいけれど、自分の気持ち的に今は難しい」
最初は、これらをそのまま使ってもかまいません。
自分の口調に合うように、少しずつアレンジしていけば十分です。
大事なのは、
- すべてを受け入れなくてもよい
- NOを伝えることが、必ずしも相手を傷つけることではない
という感覚を少しずつ持てるようになることです。
直接言いにくいときにLINEやメモを使う工夫
どうしても口頭で伝えるのが難しいときは、
LINEやメモなど、文章でのコミュニケーションを使う方法も選択肢になります。
ただし、文章には文章の難しさもあります。
誤解を生みやすい部分もあるため、いくつかポイントを押さえておくと安心です。
1.感情が強すぎるときは、一度下書きをしてから送る
- いきなりその場で打ち込んで送るのではなく、メモアプリなどに一度書き出す
- 一晩置いてから読み返し、「責めすぎていないか」「本当に伝えたいことが中心になっているか」を確認する
2.責める言葉よりも、自分の状態を説明する
- 「あなたはいつも〜」といった決めつけは避ける
- 「私はこう感じた」「私はこうだとつらい」という表現を意識する
文章の例:
- 「最近会う回数が少なくて、私は少し寂しく感じている」
- 「この前の言い方が、自分にはきつく聞こえてしまって、少し傷ついた」
3.重いテーマは、あくまできっかけとして使う
- 長文LINEだけで完結させようとしない
- 「この話、今度会ったときに少し話せたらうれしい」という一文を添えて、顔を合わせての会話につなげる
4.メモを使う方法もあり
- どうしても口に出しにくいときは、紙に書いて相手に見せる
- 自分が話すときの「カンペ」として、キーワードだけメモにしておく
本音を伝える方法は、口頭に限られません。
自分が試しやすい形から始めてよいです。
ただし、文字だけでは温度感が伝わりにくいこともあるため、
- 責めている印象になっていないか
- 行間で「もう無理」と受け取られないか
を一度見直すことが大切です。
不安であれば、
文章の最後に
- 「責めたいわけではなくて、今の正直な気持ちを知ってほしかった」
- 「どうしたらお互いに心地よくいられるか、一緒に考えられたらうれしい」
といった一文を添えるだけでも、伝わり方は変わります。
本音を出す練習は、筋トレのような面があります。
最初から重いテーマで長時間話す必要はありません。
- 小さなお願いを一つしてみる
- 柔らかいNOを一度だけ使ってみる
- 言えなかったことをメモに書き出してみる
こうした一つ一つの行動が、
「我慢し続ける恋愛」から「少しずつ本音を出せる関係」へと変えていく土台になります。
次のパートでは、それでもなかなか本音が言えない場合に、
どのような背景が考えられるのか、
そして誰かに相談するときの視点について整理していきます。
どうしても本音が言えないときに考えたい背景と相談先

ここまでのステップを意識しても、
- そもそも本音を考えると苦しくなる
- 伝えるイメージをするだけで、体が固まってしまう
- 「怖い」「無理」という感覚が強くて、何もできない
と感じることもあります。
その場合、単に性格が内向的だからというより、
これまでの人生や心の土台にかかわる背景が影響している可能性もあります。
ここでは、
- 家族関係や過去の恋愛が影響しているケース
- 愛着スタイルやアダルトチルドレンという考え方
- 一人で抱え込まないための相談先の選び方
を整理していきます。
家族関係や過去の恋愛経験が影響しているケース
本音を言うことが極端に怖く感じるとき、
その根っこには、子どもの頃の家庭環境や過去の人間関係が関係していることがあります。
例えば、こんな経験です。
子どもの頃の家庭での経験
- 本音を言ったときに、強く否定された
- 「そんなこと考えるな」「わがままを言うな」と言われ続けてきた
- 親や大人に怒鳴られた、無視された
- 自分の気持ちを出すと、怒られる・見捨てられると感じた
- 家族の空気を読んで、問題が起きないように振る舞ってきた
- 「自分が我慢すれば家庭が保てる」と感じていた
このような環境では、
「本音を言う=危険なこと」「我慢する=安全」という学びが強く残りやすくなります。
過去の恋愛や人間関係での経験
- 勇気を出して本音を伝えたら、冷たくされた・距離を置かれた
- 泣きながら気持ちを伝えたあと、「重い」「面倒くさい」と言われた
- 元パートナーから、モラハラ的な言動や支配的な態度を受けていた
こうした経験があると、
- 「また同じことが起きるのでは」という予感が強くなる
- 本音を出すこと自体が、過去のつらい記憶と結びついてしまう
ことがあります。
すると、今の恋人がどれだけ穏やかな人でも、
心の奥底では
- 「どうせ否定される」
- 「離れていかれるかもしれない」
という感覚が先に立ってしまうのです。
この場合、今の恋人との問題というより、
過去の経験がまだ心の中で整理されていない状態だと考えることもできます。
愛着スタイルやアダルトチルドレンという考え方
自分の「人との距離感の取り方」を理解するヒントとして、
心理学の中では「愛着スタイル」や「アダルトチルドレン」という言葉が使われることがあります。
どちらも病名ではなく、
心のくせを整理するための考え方として捉えると役に立つことがあります。
愛着スタイルとは
愛着スタイルは、子どもの頃に身近な人(親など)との関わりから身についた、
「人との心の距離の取り方の傾向」をまとめたものです。
代表的なものとして、次のようなタイプが挙げられます。
- 安心型
- 相手を信頼しやすく、自分の気持ちも伝えやすい
- 不安型
- 相手に嫌われることが怖く、必要以上に相手の反応を気にしてしまう
- 本音を言って嫌われるのが怖くて我慢しやすい
- 回避型
- 深く関わることに抵抗があり、「一人でいた方が楽」と感じやすい
- 本音を見せると依存してしまいそうで、距離を置きたくなる
- 恐れ回避型
- 人と近づきたい気持ちと、傷つく怖さの両方が強い
- 近づくほど、本音を言うことが怖くなりやすい
自分がどのタイプかを決めつけることが目的ではありません。
「こういう傾向があるかもしれない」と知ることで、
- なぜ本音を言うときに特有の怖さが出るのか
- どんな場面で距離を取りたくなるのか
を、少し客観的に理解しやすくなります。
アダルトチルドレンという言葉
アダルトチルドレンは、もともとは
「機能不全と呼ばれる家庭(暴力、依存、過度な無関心など)で育った人が、大人になってもその影響に悩んでいる状態」
を指す言葉として使われてきました。
ここでは、
- 子ども時代に安心して気持ちを出せる環境が少なかった
- 親の機嫌や家の問題を最優先にして、自分を後回しにしてきた
といった経験が、大人になってからも
- 我慢してしまう
- 本音を出すと嫌われる気がする
- 自分の気持ちが分からない
といった形で続いている人を指す言葉、と考えると分かりやすいかもしれません。
これらの概念は、
自分を責めるためのラベルではなく、
- 「自分の心がこう動きやすいのは、それだけの理由や背景があるのだ」と理解するための視点
として受け取ることが大切です。
友人・専門家・相談窓口など、頼れる場所の選び方
どうしても一人では整理しきれない、
本音を言おうとすると体が固まる、
過去の記憶がフラッシュバックするような感覚がある。
そんなときは、
自分以外の誰かと一緒に、このテーマを扱ってもよいタイミングかもしれません。
相談できる相手には、いくつかの選択肢があります。
1.友人・身近な人に話す場合
- 自分の味方でいてくれそうな人、否定せずに聞いてくれる人を選ぶ
- 相手にも生活があるので、「今日は少し聞いてほしい話がある」と前置きしてから話す
- 相手の意見をそのまま正解と受け取らず、「一つの参考」として扱う
友人に話すときは、
「全部を理解してもらう」ことをゴールにしないことも大切です。
自分の気持ちを声に出して整理する場、と考えるだけでも意味があります。
2.専門家に相談する場合
- 心理カウンセラーや、公的機関・医療機関の相談窓口などを検討する
- 恋愛だけでなく、家庭や過去の経験も含めて話せる相手を選ぶ
- 一度で「完璧に分かってもらおう」とせず、相性を確かめながら続ける
特に、次のような状態が続いている場合は、専門家への相談を検討して良いサインです。
- 眠れない日が続く、何度も夜中に目が覚める
- 食欲が極端に落ちた、または食べすぎが続く
- 仕事や家事に大きく支障が出ている
- 「消えてしまいたい」「いなくなりたい」という思いが浮かぶことがある
専門家に相談することは、「自分は弱い」という証拠ではなく、
これ以上一人で抱え込まないための選択です。
3.匿名で相談できる窓口を利用する
- 電話相談やチャット相談など、名前を出さずに話せる機関もあります
- いきなり対面やビデオではハードルが高い場合、最初の一歩として活用する
誰に相談するにしても、
「この人の言葉は自分を大事にしてくれているか」
という視点を持ちながら付き合っていくことが大切です。
もし合わないと感じたら、
別の人や別の窓口を探してもかまいません。
本音を言うことが難しい人にとって、
誰かに相談すること自体が大きな一歩です。
それでも、
- 一人で抱え込まなくてよい
- 自分のペースで、頼れる場所を増やしていってよい
という視点を持てるだけでも、心の負担は少し軽くなります。
次のパートでは、これまでの内容を整理しながら、
本音を伝えつつ恋人との関係を育てていくために大切にしたい考え方について、
あらためてまとめていきます。
まとめ|本音を伝えながら関係を育てていくために
ここまで見てきたように、「本音を言えずに我慢してしまうこと」には、はっきりした理由があります。
性格が弱いからでも、愛情が足りないからでもありません。
嫌われる怖さや、これまでの経験から身についた心のくせが重なって、今の状態ができあがっています。
最後に、
- 我慢し続ける恋愛を当たり前にしない視点
- 完璧ではなく「少しずつ正直になる」スタンス
- 自分も相手も大切にするコミュニケーションへの一歩
をあらためて整理して、締めくくります。
「我慢し続ける恋愛」を当たり前にしないという視点
まず、もう一度確認したいのは、
「自分の気持ちを大切にしていい」という前提です。
恋人が大事だからこそ、関係を壊したくないからこそ、
自分が我慢すれば丸く収まるように感じることがあります。
しかし、
- ずっと自分だけが我慢し続ける関係
- 本音を出せないまま続いていく恋愛
は、長い目で見ると、自分だけでなく相手にとっても負担になります。
本音を出すことは、
- 相手をコントロールすることでも
- 自分の考えを押しつけることでもなく
「自分という人間を、もう少し正確に知ってもらうための行為」と言えます。
「言ったら嫌われるかもしれない」という怖さは、すぐには消えません。
それでも、
- 何も言わずに関係だけを続けるのか
- 自分の気持ちも含めて見つめ直していくのか
という選択肢があることを、心のどこかに置いておけると変化のきっかけになります。
完璧を目指さず「少しずつ正直になる」スタンス
本音を伝えることを考えると、
- 一度話したら、全部うまくいかなければいけない
- 一回失敗したら、もう二度と話してはいけない
という極端なイメージを持ってしまうことがあります。
ですが、現実のコミュニケーションは、もっと揺れ動くものです。
- うまく伝えられない日もある
- 言い方を間違えたと感じる日もある
- 後から「あの言い方はきつかったかもしれない」と気づくこともある
この一つ一つは、「失敗」ではなく、
自分なりの伝え方を調整していくプロセスと考えることができます。
大事なのは、
- 完璧なタイミングや完璧な言い回しを求めすぎないこと
- 少しうまくいかなかったときに、「だからやっぱり本音を言うべきではなかった」と決めつけないこと
です。
今日できるのは、
- 小さなお願いを一つしてみる
- 柔らかいNOを一度だけ使ってみる
- 言えなかった気持ちを、自分のためにメモに残してみる
といった、本当に小さな一歩かもしれません。
それでも、その積み重ねが「少しずつ正直になれる自分」を育てていきます。
自分も相手も大切にするコミュニケーションへの一歩
本音を伝えることは、どちらか一方だけを優先するためのものではありません。
- 自分の気持ちを押し殺すことでもなく
- 相手にすべてを合わせさせることでもなく
「自分の気持ちも、相手の気持ちも、両方を大切にしようとする姿勢」が、これからの関係づくりの土台になります。
そのための一歩として、例えばこんなことから始めることができます。
- 次のデートで、「今日はこういう過ごし方ができたらうれしい」と一つだけ希望を伝えてみる
- 断りたい誘いが来たとき、「今は少し難しいかも」と短い一文を送ってみる
- 夜、一人の時間に、自分の「譲れないこと」と「譲れること」をノートに書き出してみる
これらは、どれも劇的な変化ではありません。
けれど、
- 「自分の気持ちを軽んじない」
- 「相手を責めずに、自分の内側を言葉にしていく」
という方向に、確実に近づく行動です。
本音を伝えながら関係を育てていくことは、
一度の話し合いで完成するものではありません。
何度も迷いながら、少しずつ試しながら形になっていくものです。
今すぐ大きなことを変えなくても大丈夫です。
今日からできそうな一つだけを選び、それを実際にやってみる。
その積み重ねが、「我慢で成り立つ恋愛」から「自分も相手も大切にできる関係」への歩みになっていきます。


