【相談】「このまま結婚して後悔しないか」怖いです
「このまま結婚して大丈夫?」その不安はよくあることです
「彼のことは好きだし、特に大きな不満もない。でも、このまま結婚していいのかと考えると、なぜか胸がザワつくんです──。」
こう話すのは、来月に挙式を控えた30歳の女性・Aさん。交際期間は4年、周囲からも「お似合いのカップル」と言われ続けてきました。でも、式が近づくにつれて、「これで本当にいいのか」「一生を決めてしまって後悔しないか」という不安が頭から離れないと言います。
Aさんのように、「幸せなはずの時期」に、なぜか不安が湧いてきてしまう──そんな経験をする人は少なくありません。実際、ブライダル業界ではこのような状態を「プレ婚ブルー」と呼ぶこともあります。
なぜ“幸せなはずの時期”に不安になるのか
結婚は人生の大きな転機です。環境が変わり、責任も生まれ、何より「自分の選択」が長い将来に直結する現実が見えてきます。
- 「これで本当に後悔しない?」
- 「一生この人とやっていける?」
- 「今感じている小さな違和感、見ないふりしてていいの?」
そうした疑問が心に浮かぶのは、真剣に結婚と向き合っている証拠でもあります。
「後悔しないか怖い」と思う人が感じていること
よくある声には、次のようなものがあります。
- 「相手に不満はないけど、ときどき“何か違うかも”と思う」
- 「親も喜んでくれてるし、ここで引き返すのはダメだと思ってしまう」
- 「自分だけがこんなに不安になるのは変なのかな?」
これらの不安には、「未来を決めるプレッシャー」と「感情とのギャップ」が関係しています。
「結婚したい気持ち」と「不安」が同居する矛盾
人は、矛盾する2つの気持ちを同時に持つことができます。
「彼が好き」という想いと、「本当にこの人でいいのか?」という迷い。
どちらも本物です。
でも、私たちはどこかで「不安がある=結婚しちゃいけない」と思いがちです。
しかし、不安そのものが悪いのではなく、“不安とどう向き合うか”が大切なのです。
この章ではまず、「このまま結婚して大丈夫?」という問いが、どれだけ多くの人の心に浮かんでいるか、そしてそれが“おかしいことではない”という安心感を持ってもらうことを目的にしています。
その不安は“違和感”から?後悔の種になるサインとは
「なぜ不安になるのか、自分でもわからない」──そう感じている方に多いのが、“小さな違和感”の積み重ねです。
大きな喧嘩をしたわけでもない、浮気されたわけでもない。でも、ふとした瞬間に「このまま結婚していいのかな」とよぎる。それは、**心が見逃さない“違和感のサイン”**かもしれません。
よくある違和感の例(価値観・将来観・会話のズレ)
違和感には必ずしも「これがダメ」という明確な理由があるわけではありません。けれど、下記のような場面でふと気づくことがあります。
- 価値観の違い
例:「お金の使い方が極端に違う」「家族との関わり方に温度差がある」 - 将来観のズレ
例:「子どもを持ちたいかどうかで温度差がある」「住みたい場所・働き方の方向性が違う」 - 会話の不一致
例:「悩みを共有しても受け流される」「大切な話なのに、ちゃんと向き合ってくれない」
このような小さな“合わなさ”は、放っておくと**「後悔のきっかけ」**になることもあります。
特に、恋愛時代は「好きだから大丈夫」と思えていたことが、結婚という現実の中で問題になるケースは少なくありません。
周囲と比べてしまうことが不安を加速させる
自分たちの関係に不安を感じると、つい周りが気になりはじめます。
- 「あのカップルはいつも楽しそう」
- 「親友は迷わず結婚を決めていた」
- 「SNSを見ると、幸せそうな人ばかり…」
こうした**“比較の視点”は、不安を強くする増幅装置**になります。
でも実際には、「幸せそうに見える」人も、裏で迷いや不安を抱えていることは珍しくありません。
結婚はプライベートな選択だからこそ、他人の基準で測れないのです。
大切なのは、「他人と比べてどうか」ではなく、「自分が納得できるかどうか」。
そこに立ち返ることで、見えなくなっていた不安の正体が少しずつ見えてきます。
「なんとなく不安」の正体を可視化する方法
「はっきり理由がわからないけど、不安がある」──これは多くの人が抱える感情です。
そうした“もやもや”は、言葉にしてみることで整理されていきます。
おすすめなのは、以下のような自問ワークです:
- 「最近、相手に対してモヤモヤした場面は?」
- 「そのとき、どんな気持ちだった?」
- 「その感情は、結婚後も繰り返し起こりそう?」
これらを書き出してみると、不安の原因が**「自分の中にある価値観」や「満たされない感情」**に気づけることがあります。
たとえば…
✅「一緒に将来の話をしても、すぐはぐらかされてイライラした」
→「真剣な話を避ける相手に、不信感があるのかも」
✅「デートの優先順位がいつも低くて寂しかった」
→「自分を大事にしてくれる相手と過ごしたいという願いがあるのかも」
不安は悪者ではありません。“大切にしたいもの”を気づかせてくれるサインでもあります。
“不安がある=結婚すべきじゃない”ではない理由
「不安がある自分は、結婚に向いていないのかもしれない」
「この段階で迷っているなんて、やっぱり違うのかな」
そんなふうに感じてしまう人は少なくありません。
でも、本当にそうでしょうか?
結婚前に不安になるのは、**「本気で向き合おうとしている証拠」でもあります。
大切なのは、不安の有無ではなく、「その不安とどう向き合うか」**という姿勢です。
すべてが完璧な結婚は存在しない
どんなに仲の良いカップルでも、すべてがぴったり合うわけではありません。
価値観、生活習慣、将来の考え方──違いがあるのは当然のことです。
よくある誤解に、「不安がある=相性が悪い」「違和感がある=運命じゃない」という思い込みがありますが、現実はもっと複雑です。
完璧な人も、完璧な相性も存在しません。
大切なのは、違いをどれだけ受け入れられるか、そして、それを一緒に乗り越えられる関係かどうかです。
たとえば…
- 金銭感覚が違っても、話し合って折り合いがつけられるか
- 家族観に違いがあっても、互いに尊重できるか
すれ違いのない関係ではなく、すれ違ったときに“話せる関係”かどうかが問われているのです。
不安のなかでも「軸」を持てるかが大事
不安はゼロにしようとするものではなく、「自分の軸」に照らして整理するものです。
「軸」とは、たとえばこんなものです。
- 一緒にいて安心できること
- 困ったときに頼れる相手であること
- 自分らしくいられること
反対に、不安の多くは「他人の価値観」とぶつかっているときに生まれます。
- 「30代だから早く決めなきゃ」
- 「親が喜んでるし、断れない」
- 「結婚式場も押さえたし、もう止められない」
このような「周囲の期待」で動いていると、自分の気持ちが見えなくなり、不安は消えません。
だからこそ、不安のなかでも“自分の判断基準”を持てることが大切です。
「後悔しない選択」の基準は“自分の納得感”
「この選択が正しかったか」は、すぐにはわかりません。
でも、結婚生活のなかで何か困難に直面したとき、「あのとき、自分で決めた」と思えるかどうかが大きな支えになります。
それが、“後悔しない選択”の土台=納得感です。
誰かに言われたから
状況的にそうするしかなかったから
──ではなく、
「迷ったけど、自分で考えてこの道を選んだ」
という納得感があれば、不安があっても、未来の自分を支える力になります。
逆に、「誰かのために我慢した」「怖くて流された」選択は、あとで後悔につながりやすいのです。
だからこそ、**迷いながらでも、立ち止まって考えること自体が、すでに“後悔しないための行動”**だと言えるでしょう。
【整理ワーク】「後悔しない選択」に向けた3つの問い
ここまで、不安の正体やその背景について考えてきました。
でも最終的に必要なのは、**「自分が何を大事にして、何に納得したいのか」**を、自分自身の言葉で把握することです。
そこでこの章では、心の中にある迷いや不安を紙に書き出しながら整理できる3つの問いをご紹介します。
ペンとノート、またはスマホのメモでもOK。ぜひ手を動かしながら、あなた自身の感覚に意識を向けてみてください。
① どんなときに不安が強くなるか?
まずは、自分の中で「不安の波」が強くなるタイミングを思い出してみましょう。
不安は突発的に湧いてくるように見えて、何かしらのきっかけがあることが多いものです。
- 一緒に将来の話をしたとき?
- 親や友達に結婚のことを聞かれたとき?
- 相手の発言や態度に引っかかったとき?
📝 ワーク例:書き出しのヒント
・「指輪の話をされたとき、なぜか息が詰まった」
・「彼と将来の働き方を話したとき、不安が強くなった」
・「友達の結婚式で幸せそうな姿を見て、自分たちは違うと感じた」
不安が強くなる「場面」や「相手の言動」に気づくことで、自分が何に引っかかっているのかが少しずつ見えてきます。
② 相手と話し合っていない“前提”はないか?
次に注目したいのは、「お互いにわかり合っている“つもり”」になっている部分です。
結婚に関わる多くのテーマは、暗黙の了解で進みがちです。
でも、実はしっかり話し合えていない“前提”が不安の根っこになっていることも多いのです。
- 子どもを持つかどうか
- 仕事と家庭のバランス
- 生活費や家事の分担
- 親との距離感や付き合い方
📝 ワーク例:書き出しのヒント
・「子どもについて、ちゃんと話したことがない」
・「転勤の話が出たとき、何となく話をそらされた」
・「家事の分担について、いつか自然に決まると思っていたけど不安」
“話していないこと”を可視化することで、不安の輪郭がはっきりし、行動のヒントが得られるようになります。
③ 結婚の目的や「なぜこの人なのか」を言語化する
最後に、自分に問いかけてほしいのは、「なぜ私は結婚したいのか?」「なぜこの人なのか?」という原点です。
これを言葉にするのは意外と難しいものですが、ここが曖昧なままだと、判断に迷いやすくなります。
- 「この人とどんな未来を築きたいのか?」
- 「どんな関係性が、自分にとって心地よいのか?」
- 「“結婚”という形の先に、どんな自分でいたいのか?」
📝 ワーク例:書き出しのヒント
・「この人となら、イヤなことも笑いに変えられると思った」
・「私が私らしくいられる相手だと感じた」
・「人生を一緒に乗り越えていける“同志”のような存在だと思った」
ここで見つけた言葉こそが、**“後悔しない選択”を支える「自分だけの答え」**になります。
実例|結婚を決める前に立ち止まった人の声
結婚に不安を感じることは、決して珍しいことではありません。
ここでは、実際に「このまま結婚していいのか」と迷いながらも、自分なりに立ち止まり、考え、選択した人たちのリアルな声を紹介します。
「不安を抱えたまま進んで、やっぱり違った」
佐知子さん(33歳・会社員)の場合
「このままでいいのかな」と思いながらも、周囲の期待と“決めた手前、もう止まれない”という思いで結婚した佐知子さん。
「式場も予約して、親にも報告していたので、怖くても“戻れない”と思ってました。
でも結婚してから、やっぱりそのとき感じていた違和感が現実になって…。
“なんであのとき、無理に進んだんだろう”と、何度も自分を責めました。」
結婚後の生活は、思ったよりも孤独で、相手との距離感に悩む毎日。
結果として1年足らずで離婚という選択に至った彼女は、今こんなふうに語ります。
「“結婚したから幸せになれる”と思い込んでいたんですよね。
不安をちゃんと見つめてから進んでいたら、たとえ結婚していても、もっと違う形で関係を築けていたかもしれません。」
「一度立ち止まったことで気づいた安心」
恵理さん(29歳・販売職)の場合
交際5年で婚約まで進んでいた恵理さんは、結婚式直前にふとしたことから大きな迷いを感じたといいます。
「急に、全部が怖くなって…。
彼のことは好きなのに、“このまま決めてしまって本当に後悔しない?”って毎晩考えるようになったんです。」
周囲からは「今さら何を言ってるの」とも言われましたが、恵理さんは一度式を延期。
時間をかけて、自分の気持ちと向き合いました。
「1人で旅行に出たり、ノートに思ってることを書き出したりしました。
その中で、“私は安心できる関係を求めていたんだ”って初めて気づけたんです。」
結果、彼との関係も変化し、あらためて「安心を言葉にして伝える」ことを選んだことで、より自然体で結婚に向き合えるようになったといいます。
「話し合って初めて“本音”を言えた」
美奈さん(31歳・保育士)の場合
「結婚したい気持ちはあるのに、どこか一歩踏み出せない」
そんな自分を責めていた美奈さんは、思い切ってその不安を彼に伝えてみたといいます。
「彼のことを疑ってるわけじゃないし、責めたいわけでもない。
ただ、“どこかがひっかかってる”ってことを、勇気を出して伝えてみました。」
それまで「明るく、何でも受け入れるキャラ」でいようとした美奈さん。
でもその日、自分の素直な気持ちを伝えたことで、彼からも意外な本音が返ってきたそうです。
「実は彼も、“私が不安を感じてないか心配だった”って。
そこから、お互いに思っていたことをたくさん話せるようになって、
“ちゃんと話せるって、安心なんだ”と実感できました。」
3人の体験からわかるのは、「迷いや不安があったこと」よりも、それをどう扱ったかが未来を分けたということです。
- 不安を無視して進んでしまうのか
- 一度立ち止まって見つめ直すのか
- 相手に伝えて対話を選ぶのか
どれも正解・不正解ではありません。
でも、自分で考えて選んだ先にこそ、“納得できる人生”はあるのではないでしょうか。
今、向き合っておきたい“自分の心の声”
不安や迷いを感じたとき、私たちはつい「考えないようにする」ことでバランスを取ろうとします。
でも、本当の意味で後悔しない選択をするためには、いちど立ち止まり、“自分の声”に耳を傾ける時間が必要です。
「不安を見ないふり」がいちばん怖い
「不安はあるけど、時間が解決してくれる」
「どうせ答えは出ないし、考えても仕方ない」
──そんなふうに、不安を“閉じ込める”ように処理していませんか?
もちろん、心にフタをすることで日常を乗り越えられることもあります。
でも、結婚のような大きな決断においては、“見て見ぬふり”が後悔の引き金になることもあるのです。
特に、違和感や不安が**繰り返し浮かんでくる場合は、“本当は気づいてほしいサイン”**かもしれません。
📌 不安を無視する=不安が消える、ではない。
多くの場合、それは「あとで形を変えて現れる」ものです。
だからこそ、「なぜ私は不安を感じているのか?」「その感情にどう向き合えばいいのか?」を言語化する時間は、安心して進むための土台作りになります。
「親や周囲の目」が判断を曇らせることも
「両親も喜んでくれてるし」
「年齢的にも、そろそろ決めたほうがいいと思う」
「式場も予約したし、今さら止められない」
──これらは、“周囲の目”を判断材料にしている状態です。
もちろん、親の期待や世間体を大切に思う気持ちは自然なこと。
でも、それだけで未来を決めてしまうと、本当の意味で“自分の選択”とは言えなくなってしまうかもしれません。
🔎 周囲の期待に応えることで、“誰の人生”を生きようとしているか、見えなくなっていませんか?
いちど周囲の声を「消音モード」にしてみましょう。
その上で、「自分が何を感じているのか」「何を望んでいるのか」に意識を向けてみると、思いがけない“本音”が顔を出すことがあります。
「自分がどうしたいのか」を聞き直す時間
最後に、最も大切なのは、「私は本当はどうしたいのか?」という問いに正直になることです。
この問いはシンプルですが、日常の喧騒やプレッシャーのなかで、案外見失われがちです。
📝 こんな質問を、自分にしてみてください。
- 「今、この結婚に“楽しみ”は感じられている?」
- 「迷っている理由は、“愛が足りない”のか、“情報が足りない”のか?」
- 「相手に対して“言えずに我慢していること”はある?」
こうした問いを通じて、「YESでもNOでもなく、“考えること自体が大事”」だとわかってきます。
✅ 大切なのは、迷いを通して“自分らしい選択”ができる土台を整えること。
✅ 答えはすぐに出さなくても、「心の声に正直になる」だけでも、大きな前進です。
まとめ|“後悔しない結婚”とは、自分に納得できる選択
結婚を目前にして不安になる──
それは、よくある感情であると同時に、「本気で人生を考えているからこそ」起こるものです。
ここまでの内容を振り返りながら、「後悔しない結婚」とは何かをあらためて見つめ直してみましょう。
「迷っているからこそ、向き合える」
迷いを感じるとき、私たちは「自分だけがおかしいのでは」と思いがちです。
でも実際は、迷っているからこそ、深く考えようとしている証拠です。
- このまま進んで本当にいいのか
- 相手との関係に小さなズレを感じる
- 自分はどんな未来を望んでいるのか
こうした問いを持てること自体が、「ただ流される」のではなく、**“自分の人生を生きようとしている姿”**にほかなりません。
だからこそ、不安や迷いを責める必要はまったくないのです。
「大丈夫」と思えるまで立ち止まっていい
結婚は“タイミング”が大事、とよく言われます。
でも、それは「焦って決めたほうがいい」という意味ではありません。
⏳ 「立ち止まること」も、立派な行動です。
- いったん式を延期する
- 相手と真剣に話し合う
- 自分の気持ちをノートに書き出してみる
そういった行動を通じて、「納得できた」「安心できた」と思えたときこそ、本当の意味で“進んでいいタイミング”なのだと思います。
焦らなくていい。
「大丈夫」と思えるまで、立ち止まってもいい。
その判断を、自分で許せるかどうかが、未来の自分を救う力になります。
「結婚をやめる」のではなく「考え直す」選択もあり
不安や違和感を感じたとき、極端に「やめる/やめない」の二択で考えてしまう人は少なくありません。
でも実は、その中間にある選択肢こそ、大切な視点です。
- もう一度じっくり話し合ってみる
- 一緒にカウンセリングを受けてみる
- 数ヶ月だけ距離を置いてみる
- 入籍を延ばしてみる
どれも「結婚をやめる」のではなく、「考え直す」ための選択肢です。
大切なのは、最終的にどうするかではなく、「自分の気持ちを置き去りにしないこと」。
✅ “後悔しない結婚”とは、誰かの正解をなぞることではなく、
✅ 「私はこの道を選んでよかった」と、心から思える選択をすること。
そのために、あなたが今抱えている迷いや不安には、大きな意味があるのです。
この先、あなたがどんな選択をするとしても、その選択が“自分の声”から出たものである限り、後悔はきっと小さくなります。
結婚はゴールではなく、「これからの人生をどう生きるか」を選ぶための分岐点。
今感じている気持ちを大切に、あなた自身のペースで未来に向かって歩んでください。
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