【相談】好きだけど結婚に踏み切れないのはなぜ?
〈相談者紹介〉「好きなのに、なぜか結婚に踏み切れない私」
周囲は「うまくいっているカップル」と見ているけど…
30代前半の女性・会社員。付き合って5年になる彼氏がいて、お互いの家族にも紹介済み。プロポーズも受けたが、いざ結婚の話が進むと、なぜか気持ちがモヤモヤするように。「そろそろ結婚かな」と思っていたはずなのに、心がついてこない自分に戸惑っている。
「結婚したいはずなのに」と自分でも理由がわからない
「この人となら」と思っていたはずが、婚約や結婚準備の話が具体的になるほど、心のどこかが引っかかる。相手に不満があるわけではなく、むしろ感謝もしている。それでも「結婚」という言葉を前にすると、どうしても素直に喜べない自分がいる。
「今のままでも十分幸せ」と感じる反面、漠然とした不安もある
現在の関係に不満があるわけではない。「このままでも幸せ」と思う気持ちがある一方で、「この先もずっと一緒にいていいのかな」「後悔しないかな」という不安が繰り返し浮かんでくる。その理由が自分でもうまく言語化できず、答えが出せない状態が続いている。
「好き」なのに結婚を迷ってしまう心理とは?
「結婚=幸せ」というプレッシャーに苦しむことも
結婚は「幸せなゴール」と捉えられがちです。しかし実際には、その理想像がプレッシャーになることも。「幸せにならなきゃ」「失敗しちゃいけない」という思いが強いほど、自然な気持ちで一歩を踏み出すのが難しくなる場合があります。
周囲から「おめでとう!」と祝福されるほど、「これで本当にいいの?」と自問する気持ちが湧いてくるのは、ごく自然な反応です。
「ずっとこの人で大丈夫?」という未来への不安
たとえ相手のことが好きでも、「この先10年、20年、一緒に過ごせる?」という問いに対する不安がよぎることがあります。
生活習慣の違いや価値観のすれ違い、将来のライフプランのイメージが一致しているかどうか。好きという感情と、生活を共にする現実は、少し次元が違うもの。だからこそ、頭では「大丈夫」と思っていても、心がついてこないこともあるのです。
「現状維持」への安心感と、「変化」への恐れが共存している
今の関係が穏やかで、安心できているほど、「このままでもいいのでは」と思ってしまうことも。
結婚は“環境が大きく変わる”イベント。苗字の変化、住まいの変更、家族付き合いなど、予測できない変化がいくつもあります。
それらに向き合うことが、「好き」という気持ちとは別軸で重たく感じてしまい、「踏み切れない自分はおかしいのかも」と悩んでしまうのです。
「結婚に踏み切れない理由」よくある5つの背景
① 自由や一人の時間が減ることへの不安
結婚は「誰かと暮らす」こと。
それは同時に、自分だけの時間や空間が制限される可能性も含んでいます。仕事後にひとりで過ごす時間、趣味に没頭する夜、ふと思い立って出かける休日…そんな「自由な時間」が失われると感じて、結婚に一歩踏み出せない人は少なくありません。
「自由を失う不安」は、“今の自分の生活が心地いい”という感覚の裏返しでもあります。
② 相手の家族との関係が想像できない
恋人とはうまくいっていても、その家族とはどう関わるのか、不安に感じる方も多くいます。
「義理の両親とどれくらい会う?」「距離感は?」「もしうまくいかなかったら…」といったことが頭をよぎり、結婚そのものが重く感じられることも。
“家族付き合いが苦手”という気持ちは決して珍しいことではなく、それが結婚へのブレーキになるのは自然なことです。
③ 経済的・将来設計への価値観の違い
結婚後の暮らしは、愛情だけでなく“現実”が大きく関わってきます。
「お金の使い方が違う」「貯金への考え方が合わない」「働き方や子どもに対する考えがずれている」など、価値観の違いが見えてくると、安心して未来を描けなくなることもあります。
どれも結婚前に気づけて良かったことですが、だからこそ慎重になってしまうのです。
④ 親からの期待・周囲の視線に振り回されている
「早く結婚したら?」「そろそろ落ち着いたら?」といった言葉がプレッシャーになり、自分の意思がわからなくなることも。
友人が次々と結婚していく中で、「私もそろそろ…」と焦る気持ちが強まり、本当に自分が結婚したいのか、それとも“周囲の流れ”に乗っているだけなのかが曖昧になる。そんな状況で、「決断しきれない」と感じるのは、ごく自然な反応です。
⑤ 過去の恋愛や家庭環境の影響を引きずっている
以前の恋愛で傷ついた経験や、親の離婚・不仲を見てきた影響で、「結婚=うまくいかないもの」というイメージが根づいている場合もあります。
「また裏切られるかも」「いつか壊れるかも」という怖さは、理屈ではなく心の奥に残っていることが多く、それが結婚への不安につながるのです。
「結婚=人生のゴール」ではないという視点
結婚が“目的”になっていないかを振り返る
「いつかは結婚したい」「そろそろ年齢的に…」そんな気持ちで、結婚そのものが“目的”になってしまっていることはありませんか?
もちろん、結婚を望む気持ちは自然なこと。でも、本来結婚は“誰とどんな人生を築くか”が大切であり、“結婚すること自体”がゴールではないはずです。
「結婚するために付き合う」のではなく、「一緒にいたいから結果として結婚する」──この順番が逆転していると、決断に迷いが生まれやすくなります。
「好き」だけではカバーできない部分もある
「この人のことは好き。でも何かが引っかかる」──その“引っかかり”を無視して進んでしまうと、結婚後に違和感が大きくなることも。
結婚生活には、価値観のすり合わせ、日々の生活、将来設計など、「好き」だけでは乗り越えられない課題がいくつも出てきます。
「好きな気持ち」があっても、「安心して一緒に生きていけるか」は別の視点。両方を丁寧に見つめることが大切です。
「結婚して幸せになれるか?」より「今どう在りたいか」
「結婚すれば幸せになれる」──そう思い込んでいないでしょうか?
でも本当は、「今、自分がどう在りたいか」「どういう関係性を築いていきたいか」が軸になってこそ、納得のいく決断ができるはずです。
未来の安心のために、今の自分を押し殺す必要はありません。
「今の自分が納得できるかどうか」──その視点が、後悔しない選択への第一歩になります。
「このまま結婚していいのか?」を整理する内省ワーク
「好きだけど、なぜか結婚に踏み切れない」──そのモヤモヤは、自分でも説明しきれないことが多いものです。
そんなときこそ、自分の気持ちを言語化する時間が大切です。以下の3つのステップで、自分自身と丁寧に向き合ってみましょう。
①「結婚に迷う理由」を紙に書き出してみる
まずは頭の中にあるモヤモヤを、“言葉”にして可視化することから始めましょう。
たとえば──
- 相手の家族との関係が気になる
- 将来の働き方に価値観の違いがある
- 今の自由な時間を失うのが怖い
「理由がはっきりしない」と感じていたことも、書いてみると意外と具体的な不安だったと気づくことがあります。
箇条書きでもOK。感情的でも構いません。「こんな風に感じていたんだ」と自分を再確認できること自体が、前進になります。
②「譲れない価値観」と「妥協できるポイント」を仕分ける
書き出した内容をもとに、**「自分が本当に大切にしたいもの」と「ある程度妥協できるもの」**を整理してみましょう。
- 「相手が子どもを望んでいるが、自分は望んでいない」→譲れない価値観かも?
- 「家事の分担について意見が合わない」→話し合い次第で妥協できる?
すべてを完璧に一致させる必要はありません。軸となる部分がしっかりしていれば、ズレも乗り越えやすくなります。
何を重視するかは人それぞれ。**「自分にとっての“幸せの基準”」**を明確にすることが、判断材料になります。
③「この人と結婚して後悔しないか?」と未来を想像してみる
最後に、「5年後・10年後、今のパートナーと結婚して過ごす日々」を想像してみましょう。
- 楽しい時間を自然に共有できそうか?
- 悩んだときに話し合える相手として信頼できるか?
- 「この人でよかった」と思えるか?
逆に、「不安なまま進んでいたら、どう感じるか?」もイメージしてみるのも一つの方法です。
後悔しない選択は、“正解を探す”よりも“納得感を持って決めた”という実感から生まれます。
未来に不安を抱えるのは当然ですが、今できるのは「自分の本音を無視しない」ことです。
パートナーに「迷い」を伝えるときの工夫
「好きだけど、結婚に踏み切れない」──
その気持ちをパートナーに伝えるのは、とても勇気がいることです。
でも、迷っているからこそ“本音で向き合うこと”が関係のターニングポイントになる場合もあります。
ここでは、気まずくならずに「迷い」を伝えるための言い方・タイミングの工夫を紹介します。
「あなたのせいじゃない」と前置きすることで伝わりやすくなる
迷っている気持ちを話すとき、パートナーが「自分が悪いのかも」と感じてしまうことがあります。
そこで大切なのが、最初に“相手を否定していない”ことを明確に伝えることです。
「ずっと一緒にいたい気持ちはあるけど、私自身の中にモヤモヤがあるの」
という言い方をすれば、責められている印象を与えず、“自分の内面の問題”として話しやすくなります。
この前置きがあるだけで、相手の受け止め方も大きく変わります。
「本音で向き合いたい」と言葉にする勇気
迷いを伝えることは、「結婚したくない」と突き放すことではなく、“本気でこの関係を大切にしたいからこそ”の行動でもあります。
「うまくやっていきたいからこそ、本音で話せる関係になりたい」
「大事な話だからこそ、ちゃんと向き合いたいと思ってる」
そんな一言を添えるだけで、相手に「信頼されている」と伝わりやすくなります。
迷いを隠すよりも、向き合う姿勢を見せたほうが、関係性は強くなることもあるのです。
「気持ちを整理するための時間がほしい」と素直に伝える
どうしても「今すぐ結論を出さないと」と焦ってしまいがちですが、
迷っているときは、一度立ち止まる“余白”が必要です。
「少しだけ自分の気持ちと向き合う時間がほしい」
「あなたのことが大切だからこそ、しっかり考えたい」
このように伝えることで、「決して逃げているわけではない」という姿勢も伝わります。
大切なのは、“迷っている=気持ちが冷めた”ではないことを丁寧に示すことです。
迷いを乗り越えた人たちの“選択”から学ぶこと
結婚に迷いが生じると、「私だけがこんなに悩んでいるのでは?」と思ってしまいがちです。
でも実際には、多くの人が結婚前に大きな葛藤や不安を抱えながら、自分なりの選択をしてきた経験を持っています。
ここでは、そんな「迷いを経た人たちのリアルな声」や「乗り越えたプロセス」を紹介します。
“決められない自分”を責めていた心が、少しずつほぐれるヒントになるかもしれません。
「結婚前に迷ったからこそ納得できた」人の声
「ずっと迷ってばかりで、自分でも疲れてしまっていました。でも、迷ったからこそ“自分が何を大事にしたいのか”が見えたんです」
こう話してくれたのは、30代で結婚した女性の言葉。
迷いの中で自分と向き合ったからこそ、「納得して結婚できた」という感覚が持てたといいます。
焦らずに迷えたことが、逆にその後の夫婦関係の安定につながったケースは少なくありません。
「一度離れて、改めて決めた」カップルの事例
あるカップルは、婚約中にお互いの気持ちのズレが大きくなり、「一度距離を置こう」と決断。
数ヶ月離れてみた結果、「やっぱり一緒にいたい」と思えたことで、以前より深く理解し合えるようになったそうです。
一時的な別れは怖いものですが、「相手を失うことで、どれほど大切な存在だったかに気づけた」と語る人も多くいます。
一度立ち止まる選択も、前に進むための大切な時間になることがあります。
「やめた決断が、結果的に人生を豊かにした」選択もある
「このまま結婚していたら、きっと“なんとなく”の人生になっていたと思う」
そう話すのは、婚約を解消した40代女性のケース。
当時は「逃げた」「もったいない」と思われたけれど、その後、自分の人生に丁寧に向き合えるようになり、やりたいことにも出会えたと振り返ります。
結婚をやめる決断は、必ずしも「失敗」や「後悔」ではなく、“自分を大切にする選択”である場合もあるのです。
まとめ|「迷うこと」は、自分を大切にする証拠
結婚に迷いを感じると、「優柔不断なのかもしれない」「相手に申し訳ない」と自分を責めてしまう方も少なくありません。
でも、本当に大切なのは——“迷うこと”を通して、自分の本音に耳を傾けているという事実です。
「好きだから結婚する」だけでは見えないこともある
「好き」という感情は確かに結婚の大切な土台ですが、
結婚生活は“好き”だけでは乗り越えられない場面も出てきます。
家族・お金・仕事・価値観——一緒に歩んでいくには、さまざまな要素が絡み合います。
「好きだから結婚する」だけで突き進むよりも、不安や違和感にきちんと向き合うことの方が、むしろ誠実な選択です。
「迷い」は悪いことではなく、納得するためのプロセス
決断する前に立ち止まること。迷いながらも考え続けること。
それは「やめたい気持ち」ではなく、「このまま進んでいいのか?」を確かめたい気持ちのあらわれです。
“本当に納得して結婚したい”と思うからこそ、迷ってしまう——
そんな自分の気持ちを否定せずに、ひとつずつ丁寧に向き合っていくことが大切です。
「自分にとっての幸せとは何か」を問い続けることが大切
「結婚した方が幸せになれる」とは限りません。
「結婚しなかったからこそ、自分らしい人生を歩めた」と感じる人もたくさんいます。
だからこそ、“誰か”の幸せではなく、“自分にとっての幸せ”を見つめる視点が重要です。
迷いの先にあるのは、不安ではなく“納得した未来”。
「この人と歩みたい」と、自分の言葉で選べたとき、初めて心からの安心感が得られるのです。
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