相手の気持ちを試してしまう自分が嫌い 試し行動をやめたいとき
相手の気持ちを試すようなことをしてしまい、あとから強い自己嫌悪におちいると、とても苦しいものです。
別れをほのめかしたり、わざと連絡を返さなかったり。頭では良くないと分かっているのに、その場の不安や寂しさに押されて同じことを繰り返してしまう人も少なくありません。
この記事では、あなたを責めるのではなく、なぜその行動を取ってしまうのかという背景を整理しながら、少しずつパターンを変えていくための考え方と具体的なステップをまとめます。
相手を試さなくても安心できる関係を目指すために、自分の気持ちと向き合うヒントを一緒に確認していきましょう。
この記事で分かること
- 相手の気持ちを試してしまう行動の具体例と、その後に強い自己嫌悪が起こる理由
- 試し行動をしてしまう心理的な背景(愛情への不安や自己肯定感との関係)
- 試し行動が続くと恋愛関係にどのような影響が出るのか
- 「試す」から「素直に伝える」に切り替えるためのコミュニケーションのコツ
- やめたいのにやめられないときの具体的な対処法と、専門家への相談を考えるタイミング
相手の気持ちを試してしまうとは|よくある試し行動とサイン
相手の気持ちを試してしまう行動は、どれも「本当は愛されているか確かめたい」という気持ちから生まれます。
ただ、確かめ方が正面からの確認ではなく、遠回りなかたちになるため、あとから自分で自分を責めやすくなります。
ここでは、まずよくある行動パターンと、その背景にある目的を整理します。
自分を責めるためではなく、「自分は今、こういう方法で安心を得ようとしているのかもしれない」と状況を把握することが最初の一歩になります。
別れをちらつかせる・連絡を無視するなどの行動パターン
相手の気持ちを試すときに出やすい行動には、いくつか共通したパターンがあります。
例えば次のようなものです。
- 口論や不安を感じたときに「もう別れた方がいいのかも」と何度も口にする
- 相手からの連絡にすぐ返せるのに、あえて時間をあけて既読無視・未読無視をする
- 会う約束を直前まで保留にして、相手がどれくらい食い下がってくるかを見る
- SNSの投稿やいいねを利用して、嫉妬させようとする
- 「本当は行きたい」のに、誘われたときに一度断って、相手がどれだけ引き止めてくれるか様子を見る
これらに共通しているのは、表向きの目的と、本当の目的が違っているという点です。
表向きには「もう疲れたから別れたい」「忙しいから返信できない」といった理由を自分にも相手にも伝えます。
しかし、心の奥では「それでも自分を選んでほしい」「追いかけてほしい」「諦めずに向き合ってほしい」と期待していることが多いです。
つまり、行動そのものよりも、「相手がどう反応するか」を強く意識しているかどうかが、試し行動かどうかを見分けるポイントになります。

どこからが「相手の気持ちを試す」になるのか
少し素っ気なくしてしまうことや、イライラして連絡を返したくないときは、誰にでもあります。
そのすべてが「相手の気持ちを試している」とまでは言えません。
では、どこからが試し行動になるのでしょうか。
一つの目安として、次のような状態が続いているかどうかを見てみてください。
- 自分の行動の目的が「自分の気持ちを伝えること」ではなく「相手の反応をチェックすること」になっている
- 率直に「不安だ」「寂しい」と伝える代わりに、回りくどい行動で反応を引き出そうとしている
- 行動を起こす前から、「こうしておけば相手が焦るはず」「心配してくれるはず」と計算している
- 本当は望んでいない結果(別れ・喧嘩・距離があくなど)が起こる可能性を分かっていながら、あえて選んでしまう
このように、「不安を正直に伝える代わりに、相手を揺さぶる行動を選ぶ」とき、そこには試し行動の要素が含まれていると考えられます。
また、本人が「相手を試しているつもりはない」と感じていても、
結果として相手が「試されている」「信用されていない」と受け取ってしまう場合もあります。
そのため、自分の意図だけでなく、相手からどう見えやすいかを理解しておくことも大切です。
試し行動のあとに強い自己嫌悪が出てくる理由
相手の気持ちを試したあとに、「どうしてあんなことを言ってしまったのだろう」と強い自己嫌悪におちいる人は多いです。
それには、いくつかの理由があります。
一つは、本当の望みと、実際に取った行動がずれているからです。
本当は「もっと大切にしてほしい」「不安な気持ちを分かってほしい」と願っているのに、
実際にしてしまったのは「別れを口にする」「連絡を無視する」といった、関係を危うくする行動です。
心の中では「こんな伝え方はしたくなかった」と分かっているため、後から自分を強く責めてしまいます。
二つ目は、自分の中の弱さや不安を見せてしまった感覚になるからです。
試し行動は、愛情への不安や自信のなさが表に出た結果とも言えます。
そのため、行動が落ち着いたあとで「こんなに不安定な自分はおかしいのではないか」と感じてしまいやすくなります。
さらに、相手の反応が期待どおりでなかったとき、
「やっぱり自分は愛されていないのかもしれない」という解釈につながり、
元々あった不安が、より強い自己否定へと変化してしまうこともあります。
ここで大切なのは、試し行動をしてしまうからといって、あなたが人としてダメだという意味ではないという点です。
ただ、不安や寂しさへの対処方法が、たまたま「相手を試す形」で表れているだけとも言えます。
このあと見ていくように、背景にある心理を整理していくことで、
少しずつ違う選択肢を持てるようになる可能性があります。
まずは、今の自分を責めるよりも「こういう癖があるのだな」と理解することから始めていきましょう。
試し行動をしてしまう心理|愛情への不安と自己肯定感の低さ
相手の気持ちを試してしまう背景には、単に「性格が悪い」「わがまま」という一言では片づけられない心理があります。
多くの場合、愛情への強い不安や、自分への評価の低さが重なった結果として、試し行動という形になっています。
ここでは、どのような気持ちが重なると「相手を試す」という選択になりやすいのかを整理していきます。
自分を責めるためではなく、「なぜそうしてしまうのか」を理解することで、次の一手を考えやすくすることが目的です。
愛されているか不安で相手を試してしまう心理
まず大きいのが、「本当に自分は愛されているのか」という不安です。
頭では「大切にされているはず」と分かっていても、少しでも連絡が減ったり、反応が弱く感じたりすると、心の中ではすぐに不安がふくらみます。
その不安を直接言葉にする代わりに、
- 連絡をわざと遅らせて、相手の反応を確認する
- 別れ話を持ち出して、どこまで引き止めてくれるかを見る
- 冷たい態度を取ったときに、相手がどれだけ心配してくれるかをチェックする
といった行動に出てしまいやすくなります。
これは、「愛されている」という確かな手応えがほしいのに、それを素直に求めるのが怖いという心理とも言えます。
率直に「不安だから、もっと言葉や態度で安心させてほしい」と伝えると、拒否されるかもしれないという恐れが出てきます。
その結果、「もし本気で自分を想っているなら、これくらいしてくれるはず」という基準を自分の中につくり、
その基準をクリアできるかどうかで、愛情の有無を確かめようとしてしまいます。
しかし、この方法だと、相手は
「なぜこんなことをされるのか分からない」
「信頼されていない気がする」
と感じやすくなり、距離があいてしまうことがあります。
愛情を確かめたい気持ち自体は自然なものですが、やり方がすれ違いを生みやすい形になっている、という整理が大切です。
自分の価値に自信が持てないときに起こりやすい反応
相手の気持ちを試してしまう人は、自分の価値に自信が持てない状態になっていることも多いです。
例えば、
- 「こんな自分を好きでいてくれる人なんて少ないはずだ」と感じている
- 過去の恋愛で突然振られた経験があり、「いつかまた急に捨てられるかもしれない」と考えてしまう
- 子どもの頃から、親の機嫌次第で態度が大きく変わる環境で育ち、「いつ愛情が消えるか分からない」という感覚が染みついている
といった背景がある場合、相手のささいな態度の変化にも敏感になります。
その不安を埋めるために、
「ここまでしても離れていかないか」
「こんなことを言っても、まだ自分を選んでくれるか」
を無意識のうちに確かめようとしてしまうことがあります。
また、自分に自信がないほど、
「何もしなければ、相手はいつか離れていく」
「常に自分の存在を意識させておかなければ」
という焦りも強くなりがちです。
その結果、相手の気持ちを揺さぶる行動に出てしまい、かえって関係を不安定にしてしまうという矛盾が生まれます。
ここで重要なのは、自己肯定感の低さが「試し行動」を選びやすくしているという視点です。
行動だけをやめようとしても、自分への評価が極端に低いままだと、不安が強くなったときに同じパターンが再発しやすくなります。
主導権を握りたい気持ちとコントロール欲求
もう一つの側面として、関係の主導権を握りたい気持ちや、コントロール欲求が関係していることもあります。
恋愛やパートナーシップでは、自分が振り回されるのを恐れる人も多いです。
過去に「一方的に振られた」「意見を聞いてもらえなかった」といった経験があると、
- 今度は自分が振り回されないようにしたい
- 先に自分が優位に立っておきたい
という防衛反応が働くことがあります。
その一つの形が、「試し行動」です。
- 自分から別れ話を出すことで、関係を終わらせる権利を握ろうとする
- 相手の予定や気持ちよりも、自分のタイミングで連絡のペースを決めようとする
- 相手の反応を細かくチェックして、「自分の方が上にいる」と感じられる状態を保とうとする
こうした行動は、表面上は「強い自分」「振り回されない自分」を演じているように見えますが、
内側にはやはり、傷つくことへの強い恐れがあります。
本当は、
「振られる側になるくらいなら、先に自分から手放した方が楽だ」
「いつ拒否されるか分からない不安に耐えるより、自分で状況を決めたい」
という気持ちが隠れていることも多いです。
このように、試し行動には
- 愛情への不安
- 自分への自信のなさ
- 傷つきたくない気持ちからくる主導権へのこだわり
といった要素が複雑に絡み合っています。
どれも、あなたがこれまでの人生で身につけてきた「自分を守るためのやり方」とも言えます。
ただ、そのやり方が今の恋愛ではうまく働かず、苦しさにつながっている状態です。
次のパートでは、こうした試し行動が、相手との関係にどのような影響を与えやすいのかを整理していきます。
相手の気持ちを試す恋愛が続かない理由|関係への影響
相手の気持ちを試してしまう側は、「不安だから仕方がない」「これくらいで本気で嫌われることはないはず」と考えていることがあります。
一方で、試される側は、その行動をどのように受け取っているのでしょうか。
ここでは、相手の立場から見たときのストレスや不信感、そして試し行動が続くことで関係がどう揺らいでいくのかを整理していきます。
自分を責めるためではなく、「相手にはこう見えているかもしれない」という視点を持つことで、次の選択肢が見えやすくなります。
試される側が感じているストレスと不信感
試し行動の多くは、相手にとっては「理由が分かりにくい」ものになりがちです。
例えば、
- 突然距離を取られる
- 連絡のペースが大きく乱れる
- 別れを持ち出される
- 嫉妬させるような言動が増える
といったことが続くと、試される側は次のような感覚を抱きやすくなります。
- 何をしても不満を持たれてしまう気がする
- 一生懸命向き合っても、信用されていないと感じる
- ちょっとしたことで関係が壊れそうで落ち着かない
- 常に様子をうかがっていないといけないようで疲れる
匿名の声としては、次のようなものがよく聞かれます。
40代・男性
「本気で好きだからこそ続けたいと思っているのに、何度も『別れる』と言われると、自分の気持ちを試されているようでつらくなります。
信用されていない感じが積み重なると、『そこまでして一緒にいる意味があるのか』と考えてしまいます」
30代・女性
「わざと連絡を遅らせたり、他の人の存在をにおわされたりすると、単純に傷つきます。
正直に不安だと言ってもらえた方が、まだ向き合いやすいです」
試される側は、「自分は信頼されていない」「いつもテストされている」と感じやすくなります。
その状態が続くと、相手も心のガードを固めていきます。
その結果、「本音を話すと面倒なことになるかもしれない」「余計な誤解を生みたくない」と考え、
大切な話題を避けるようになってしまうこともあります。
試し行動が続くと関係性が不安定になる流れ
試し行動は、一度だけなら大きな問題にならない場合もあります。
しかし、同じパターンが繰り返されると、関係全体が不安定になっていく流れが生まれます。
よくある流れを、あえて少し整理すると次のようになります。
- 不安や寂しさが高まり、「本当に愛されているのか」が気になり始める
- 直接伝えるのが怖くなり、試し行動(連絡をあえて遅らせる、別れ話を出すなど)を選ぶ
- 相手は理由が分からないまま振り回されている感覚になり、疲れや戸惑いがたまる
- その疲れが態度や言葉ににじみ出て、以前よりも冷たく見える瞬間が増える
- それを見て「やっぱり愛されていないのでは」と不安が強まり、さらに試し行動が増える
このように、お互いの不安と疲れが影響し合う悪循環が起きやすくなります。
最初は「もっと愛情を確かめたい」という気持ちから始まった行動でも、
回数を重ねるうちに、相手にとっては
- 一緒にいると振り回される
- 些細なことで極端な行動を取られる
という印象に変わっていくことがあります。
すると、相手の側でも
「本音で話したいけれど、どう伝えれば爆発しないのか分からない」
「これ以上踏み込むと、また試されるかもしれない」
という恐れが大きくなります。
この状態が続くと、関係を深めるための会話よりも、トラブルを避けるための会話が増えていくため、
お互いに安心して過ごす時間が少なくなってしまいます。
一時的な安心感と引き換えに失っているもの
試し行動は、短期的には「安心感」を与えてくれることがあります。
- 別れ話をしたときに、強く引き止められる
- 連絡を遅らせたあとに、何通もメッセージが届く
- 嫉妬させるような投稿に、焦った反応が返ってくる
この瞬間、「自分は大事にされている」「やっぱり愛されている」と感じる人も多いです。
しかし、この安心感はあくまで一時的なものです。
その代わりに、少しずつ失っているものもあります。
- 相手が「自然に」表現してくれる愛情
- 何も試さなくても続いていく穏やかな時間
- お互いを信頼しているという感覚
- 本音を話しても大丈夫だと感じられる安心感
また、試し行動による安心感に慣れてしまうと、
より強い反応を求めるようになり、行動がエスカレートしていくこともあります。
- 以前よりも激しい言葉で別れを持ち出す
- 連絡を断つ期間を長くする
- 相手の罪悪感を刺激するような言い方が増える
この状態になると、相手は「応えれば応えるほど、要求が大きくなっていく」と感じやすくなります。
その結果、関係全体に疲れがたまり、「これ以上続けるのは難しい」と判断されてしまうこともあります。
大切なのは、試し行動は「一時的な安心感」をくれる一方で、「長く安心して続く関係」を削ってしまうリスクがあるという点です。
あなたが本当に望んでいるのは、
- 試さなくても信頼し合える関係
- 不安なときに素直に気持ちを話せる相手
- 怖さを抱えながらも、少しずつ距離を縮めていける相手
なのではないでしょうか。
次のパートでは、そのための一歩として、
試し行動をやめたいと感じたときに、まず自分の中で整理しておきたいポイントを見ていきます。
試し行動をやめたいときにまずやること|自分の気持ちの整理
相手の気持ちを試す行動をやめたいと思ったとき、多くの人は「次からはもうしないようにしよう」と気合いで抑え込もうとします。
しかし、気持ちの整理をしないまま我慢だけで止めようとすると、ストレスがたまり、ある瞬間に爆発して以前より強い試し行動につながることもあります。
まずは、行動そのものを責めるのではなく、
- どんな場面で試したくなりやすいのか
- そのとき心の中で何が起きているのか
- 自分を追い込みすぎていないか
を整理していくことが大切です。ここからは、具体的なステップを見ていきます。
試したくなるタイミングときっかけを整理する
最初のステップは、「いつ」「どんなとき」に試し行動が出やすいかを把握することです。
これを曖昧なままにしておくと、「気づいたらまたやっていた」という状態から抜け出しにくくなります。
次のような視点で、直近の出来事を思い出してみてください。
- どんな状況のときに試したくなったか
- 夜遅く、一人でいるとき
- 相手の返信がいつもより遅いと感じたとき
- 自分が疲れていたり、落ち込んでいたりした日
- 相手のどんな行動がきっかけになりやすいか
- 仕事が忙しそうで、以前ほど構ってくれないと感じたとき
- 他の人との予定を優先されたと感じたとき
- 以前はしてくれていた言葉や態度が減ったと感じたとき
- そのとき、自分の心の中でどんな言葉が浮かんでいたか
- 「このまま気持ちが離れていくのでは」
- 「自分だけが本気なのかもしれない」
- 「もっと大事にされたいのに伝わっていない」
可能であれば、スマホのメモやノートに簡単に書きとめておくと、少しずつパターンが見えてきます。
例としては、
- 日時
- 相手の行動
- 自分が取った行動(別れ話を出した、既読無視した など)
- そのときの気持ち
の4項目を書き出すだけでも十分です。
大切なのは、「自分はダメだ」と評価するための記録ではなく、
「こういう場面で特に不安が強くなるのだな」と状況を理解するための記録にすることです。

本当は何が怖いのかを言語化してみる
試し行動の裏には、必ず何らかの「怖さ」があります。
その怖さをはっきりさせないまま行動だけを抑えようとすると、心の中に漠然とした不安が残り続けます。
次のような形で、文章にしてみることをおすすめします。
- 「○○されるのが怖いから、△△してしまう」
具体例を挙げると、
- 「突然連絡が途切れて捨てられるのが怖いから、先に自分から別れ話をしてしまう」
- 「自分だけ本気で、相手は遊びなのが怖いから、どこまで引き止めてくれるかを試してしまう」
- 「他の人に気持ちが向いているのが怖いから、わざと嫉妬させるようなことをして反応を見てしまう」
このように、自分の行動とその裏側にある怖さをセットで書き出すことで、
「自分はただ相手を困らせたいわけではなく、不安に耐えきれなくなっているのだ」と理解しやすくなります。
また、「本当は何が怖いのか」が分かると、対処方法も変わります。
- 捨てられるのが怖い → 急な別れに備えすぎている部分があるかもしれない
- 自分だけ本気なのが怖い → 相手の本気度を落ち着いて確認する必要があるかもしれない
- 裏切られるのが怖い → 過去の経験と今の相手を切り分ける視点が必要かもしれない
このように、怖さの中身を言葉にできると、「全部が怖い」状態から一歩抜け出せます。
不安がゼロになるわけではありませんが、漠然とした不安が少し具体的な主题に変わるだけでも、心の負担は軽くなります。
自分を責めすぎないための考え方とセルフチェック
試し行動を自覚すると、多くの人は強い自己嫌悪を感じます。
「相手を傷つけている」「こんなことをする自分はおかしい」と、自分を厳しく責めてしまうこともあります。
しかし、過度な自己否定は、かえって不安を大きくし、
その不安から逃げるためにまた試し行動をしてしまうという悪循環につながります。
ここで意識したいポイントは、次の3つです。
- 行動と人としての価値を混同しない
- 「試し行動をしてしまった自分」は事実として振り返る
- だからといって「人として価値がない」「愛される資格がない」とまでは言えない
- 行動は変えられる部分だと切り分けて考える
- 完璧にやめることを目標にしない
- いきなり「二度としない」と決めると、少しでも失敗したときに大きく落ち込みやすくなる
- まずは「回数を減らす」「強さを弱める」といった現実的な目標にする
- 変化に気づくためのセルフチェックを用意する
- 今日1日、試し行動をしそうになった瞬間に気づけたか
- 不安を感じたとき、少しでも「今、試したくなっているな」と自覚できたか
- 実際に行動に移さなかった場面が一つでもあったか
セルフチェックは、次のような簡単な形で十分です。
- 「今日、不安なときに深呼吸やメモを書くなど、別の選択を一度でもできたか」
- 「試し行動をしてしまったとしても、その理由やきっかけを振り返ることができたか」
たとえ結果として試し行動をしてしまった日でも、
「なぜそうなったのかを落ち着いて振り返ることができた」という点は、確実な前進です。
自分を責めすぎないことは、甘やかすことではなく、変化を続けるために必要な土台です。
厳しさだけで自分を動かそうとすると、心がすり減り、途中であきらめたくなってしまいます。
少しずつ行動の背景を理解しながら、「前よりも落ち着いて選べた瞬間」を見逃さないことが、
長い目で見たときに一番大きな変化につながります。
次のパートでは、試し行動の代わりに、不安や寂しさを相手にどう伝えていくかについて具体的に考えていきます。
愛情を試すから伝えるへ|不安を言葉で伝えるコミュニケーション
試し行動をやめたいと思ったとき、多くの人がぶつかるのが
「では、代わりにどうやって気持ちを伝えればいいのか」という問題です。
試し行動は望ましい方法ではありませんが、少なくとも
「自分の不安」「大切にしてほしい気持ち」を分かってほしいという意図があります。
その意図自体を消してしまうのではなく、相手を試す行動から、気持ちを伝える言葉に切り替えることが大切です。
ここでは、試す言い方と素直に伝える言い方の違いと、実際に使いやすいフレーズを整理していきます。
「試す言い方」と「素直に伝える言い方」の違い
同じ不安を抱えていても、その伝え方によって相手に届き方は大きく変わります。
分かりやすくするために、それぞれの特徴を整理してみます。
試す言い方の特徴
- 相手の反応を見て、愛情の強さを測ろうとする
- 本音を隠した遠回りな表現になりやすい
- 結果として、相手を責めているような印象になりやすい
例としては、次のようなフレーズです。
- 「どうせ私のことなんて本気じゃないでしょ」
- 「もう別れた方がいいんじゃない?」
- 「他にいい人できたなら、そう言えば?」
- 「何でいつも私ばかり気にしているんだろう、そっちは平気そうでいいよね」
これらは、本当は
- 不安であること
- 寂しさを感じていること
- 大事にされたい気持ち
を伝えたいはずなのに、相手の良し悪しを判断する言い方になっています。
そのため、相手は「責められている」「試されている」と受け取りやすくなります。
一方で、素直に伝える言い方には次の特徴があります。
- 自分の気持ちを主語にして話す
- 相手を裁くのではなく、「自分はこう感じた」と説明する
- 相手にどうしてほしいかを、可能な範囲で具体的に伝える
例えば、
- 「最近連絡が少なくなって、不安に感じている自分がいる」
- 「仕事が忙しいのは分かっているけれど、少し寂しさを感じている」
- 「もう少し○○してくれると、安心できる気がする」
このように、自分の気持ちと望みを整理してから話すことで、相手は防御的になりにくくなります。
完璧な言い方を目指す必要はありません。
大切なのは、責める言い方から少しでも離れて、「自分はこう感じている」と伝える方向に少しずつシフトすることです。
相手を責めずに不安や寂しさを伝えるコツ
相手を責めずに気持ちを伝えるためには、いくつか意識しておくと役立つポイントがあります。
1. 主語を「あなた」ではなく「私」にする
- 「あなたはいつも連絡が遅い」
→ 相手の行動を評価・批判している言い方 - 「連絡が遅いとき、私は不安になりやすい」
→ 自分の感じ方を説明している言い方
主語を「私」にすることで、相手は責められている感覚が少し和らぎます。
これは心理学でよく言われる「アイメッセージ」の考え方です。
2. 行動そのものではなく、自分の感情をセットで伝える
不満を伝えるとき、行動だけを指摘すると、相手は「何が悪いのか分からない」と感じやすいです。
次のように、行動と自分の感情をセットで伝えることを意識します。
- 「最近、前よりも連絡が減った気がして、少し不安になっている」
- 「約束が何度か続けて延期になって、寂しい気持ちがたまっている」
3. 相手の事情を完全には否定しない
不安なときは「自分のつらさ」で頭がいっぱいになりがちですが、
一言でも相手の事情を理解しようとする表現を入れると、受け取られ方が変わります。
- 「仕事が大変な時期だと思うけれど」
- 「疲れているのも分かるけれど」
この一言があるだけでも、相手は
「自分を理解しようとしてくれている」と感じやすくなります。
4. 要求ではなく、願いとして伝える
- 「もっと連絡してよ」「普通これくらいするでしょ」
→ 命令や正しさの押しつけになりやすい - 「週に○回くらい連絡をもらえると、安心できる気がする」
→ 自分の願いとして提案している
相手にとって実現可能かどうかを一緒に話し合いやすくするためにも、
「して当然」というスタンスよりも、「してもらえると助かる」というスタンスが大切です。
不安になったときに使える具体的なフレーズ例
ここでは、実際に使いやすい形のフレーズをいくつか挙げます。
そのまま使ってもかまいませんし、自分なりに言い回しを変えても大丈夫です。
1. 連絡が少なくて不安になったとき
- 「最近前よりも連絡の回数が少なくなって、少し不安になるときがある」
- 「忙しいのは分かっているけれど、もう少しだけメッセージをもらえると安心できそう」
- 「今日返信が遅かったとき、自分の中で『嫌われたのかも』と不安になってしまった」
2. 会う予定がなかなか決まらず、寂しさを感じたとき
- 「会う予定がしばらく決まっていなくて、寂しい気持ちが大きくなっている」
- 「お互いの予定があるのは分かっているけれど、次にいつ会えそうかだけでも決めておきたい」
- 「直接会える日が分かると、それまで頑張ろうと思えるから、少し相談したい」
3. 自分の不安な性格について伝えたいとき
- 「自分の性格的に、少しの変化でも『嫌われたかも』と不安になりやすいところがある」
- 「これはあなたが悪いという話ではなくて、自分の不安の癖の話として聞いてほしい」
- 「不安になったときに、できれば言葉で安心させてもらえると助かる」
4. 試し行動をしてしまったあとに話したいとき
- 「さっきの言い方は、本当は不安をごまかすために出てしまった」
- 「別れ話を口にしたけれど、本音は別れたいわけではなくて、気持ちを確かめたかった」
- 「ああいう言い方になってしまって申し訳ない。これからは、もう少し素直に言葉で伝えたいと思っている」
完璧なフレーズを用意する必要はありません。
大切なのは、試し行動の代わりに、少しずつでも自分の気持ちを言葉として出していくことです。
最初はうまく伝えられなくても構いません。
「不安になったときに、そのことを言葉で共有する」という経験を積み重ねることで、
試し行動に頼らなくても安心を得られる関係に近づいていく可能性があります。
次のパートでは、頭では分かっていても「やめたいのにやめられない」ときに、
悪循環を少しずつ断ち切るための具体的な行動について整理していきます。
やめたいのにやめられない悪循環を断つ具体的な行動
ここまで見てきたように、試し行動にははっきりした心理的な背景があります。
その一方で、「頭では分かっているのに、気づいたらまた同じことをしてしまう」という声もよくあります。
悪循環を断つためには、気持ちの理解だけでなく、具体的な行動レベルの工夫が必要になります。
ここでは、現実的に取り入れやすい行動のヒントをまとめます。
試し行動をしないと決めるためのマイルール
まずは、自分なりの「ここだけは守る」というマイルールを決めておくと、衝動的な行動を減らしやすくなります。
マイルールは、現実的で守りやすいものにすることが大切です。
例えば、次のような内容が考えられます。
- 別れ話を自分から口にするときは、必ず一晩置いてからにする
- 不安を感じたときも、相手を無視するための既読無視はしない
- 嫉妬させるためだけの投稿はしない
- 不安でいっぱいのときほど、いきなり長文を送らない
さらに、一つか二つに絞って始める方が続けやすくなります。
例としては、
- 「『もう別れる』という言葉を、試す目的では使わない」
- 「不安になったときは、まずメモに書いてから送るかどうか決める」
といった形です。
マイルールを決めるときは、次のポイントも意識してみてください。
- 守れたかどうかが自分で判断しやすいか
- 無理をしなくても、少し頑張れば達成できるか
- できなかったときに、自分を極端に責めてしまわない内容か
マイルールは、完璧に守るためのものではありません。
守れた回数を少しずつ増やすことで、自信を積み重ねていくための基準と考えてみてください。
感情が高ぶったときに距離を取るテクニック
試し行動が出てしまうのは、多くの場合、感情が一気に高ぶった瞬間です。
その場でスマホを握ったまま判断すると、冷静な選択がしづらくなります。
感情が大きく揺れたときに、「一度距離を取る」ための具体的なテクニックをいくつか挙げます。
1. その場でスマホから離れる癖をつける
不安や怒りが強くなったときほど、あえてスマホを手放す行動が効果的です。
- 机の上にスマホを置き、別の部屋に移動する
- 充電器につないで、すぐに手に取れない位置に置く
- ベッドやソファから立ち上がり、部屋の中を歩く
短い時間でも物理的な距離を取ることで、衝動的な送信を防ぎやすくなります。
2. すぐに送らず、一度メモに書いてみる
LINEやSNSに直接打ち込むと、そのまま送信してしまいやすくなります。
一度メモアプリや紙に書いてから読み返すことで、「本当に送りたい内容か」を確認しやすくなります。
- 今の気持ちをそのまま書き出す
- 感情的な言葉を減らせないか見直す
- 相手を試す内容になっていないかチェックする
もし読み返して「これはぶつけるだけになりそう」と感じたら、その文章は送らず、自分の気持ちの整理に使うだけでも意味があります。
3. 時間を決めて感情が落ち着くのを待つ
感情は、時間とともに少しずつ落ち着いていきます。
- 「今から30分は何も送らない」
- 「今日の夜は感情的な話をしないで、明日の朝に考える」
といった時間のルールを決めるだけでも、行動は変わります。
その間に、
- 深呼吸をゆっくり数回する
- 温かい飲み物を飲む
- 軽くストレッチをする
など、身体の緊張をゆるめることも役に立ちます。
4. 信頼できる第三者に一度話してみる
もし可能であれば、友人や相談先に「いきなり相手にぶつける前に話を聞いてもらう」という選択もあります。
- 「今こんなことで不安になっている」
- 「こういうメッセージを送りたくなっているが、どう思うか」
といった形で一度外に出すことで、気持ちが少し整理されることがあります。

SNSやLINEで相手を試さないための工夫
試し行動は、LINEやSNSで出やすいという特徴があります。
既読・未読、返信のスピード、いいねやフォローなど、反応を測る材料が多いからです。
ここでは、具体的な設定や使い方の工夫を挙げます。
1. 反応を「確認しすぎない」ための設定を見直す
- 相手のオンライン状態や最終ログインが見える機能は、可能であればオフにする
- 通知を細かく見すぎないように、ポップアップ通知を減らす
- SNSで相手の動きを追いすぎてしまう場合は、タイムライン表示の時間を意識的に短くする
「見ないように我慢する」のではなく、そもそも見える回数を減らす工夫が有効です。
2. 相手の反応を前提にした投稿やメッセージを減らす
次のような行動は、結果として相手を試す形になりやすいです。
- 「これを載せたら、嫉妬してくれるかな」と考えながら写真を投稿する
- 返事の速度を調整して、相手の焦り具合を見る
- 無視しているように見せながら、相手の様子をこっそりチェックする
これを減らすためには、
- 「相手の反応を見るための投稿かどうか」を自分に問いかける
- もしそうなら、一度だけ投稿を見送ってみる
- メッセージは、相手の反応ではなく「自分が伝えたいこと」を基準に送る
という意識が役立ちます。
3. 返信ルールを自分なりに決める
感情に任せて連続でメッセージを送ると、お互いに疲れやすくなります。
例えば、
- 同じ内容で3通以上連投しない
- 返信がないときに、追いメッセージを送るのは1回までにしておく
- 返信が遅いときも、「相手には相手の時間がある」と考える練習をする
といったルールを決めておくと、相手を追い詰める形になりにくくなります。
4. 自分の時間を意識的に増やす
SNSやLINEを見ている時間が長いほど、不安や比較が増えやすくなります。
- 趣味や仕事、家事などに集中する時間を意識的につくる
- スマホを触らない時間帯(寝る前1時間など)を決める
- オフラインで安心できる時間を少しずつ増やす
恋愛だけに意識が集中していると、相手の反応がすべてのように感じてしまいます。
自分の生活や楽しみの比重を少し広げることで、試し行動に向かうエネルギーも和らいでいきます。
悪循環を断つための行動は、どれも「一度やったら終わり」ではなく、少しずつ積み重ねていくものです。
うまくいかない日があっても、それまでの努力がすべて無駄になるわけではありません。
次のパートでは、こうした工夫をしてもなお「どうしてもやめられない」と感じるときに、
背景にあるかもしれない要因や、第三者・専門家への相談について整理していきます。
どうしてもやめられない場合に考えたい背景と相談先
試し行動を減らす工夫をしても、「それでもやめられない」「気づいたらまた同じことをしている」と感じる人もいます。
そのときに大切なのは、意志の強さだけの問題にしないことです。
行動のクセが根強い場合、その背景にはこれまでの恋愛だけでなく、家族との関係や幼少期の経験が関わっていることがあります。
ここでは、少し踏み込んだ背景の考え方と、第三者に相談した方がよいタイミングを整理します。
過去の恋愛・家族関係が影響しているケース
相手の気持ちを強く疑ってしまったり、試さずにはいられなくなったりする背景には、過去の人間関係での経験が関わっていることがあります。
例えば、次のような経験がある場合です。
- 過去の恋愛で、突然一方的に別れを告げられた
- 浮気や裏切りを経験し、「人を信じること」が怖くなった
- 真剣に向き合っていたのに、気持ちを軽く扱われた感覚が残っている
こうした経験があると、「また同じことが起きるかもしれない」という警戒心が強くなります。
その警戒心が、現在の相手にも向かい、試し行動という形で表れてしまうことがあります。
また、幼少期の家庭環境が影響している場合もあります。
- 親の機嫌によって態度が大きく変わり、常に様子をうかがっていた
- いい子でいないと認めてもらえないと感じていた
- 怒りや不満を出すと否定され、気持ちを押し込めることが多かった
このような環境では、「相手の顔色を読み続けること」が当たり前になりやすくなります。
その結果、親密な関係になるほど、
- 「見捨てられるのでは」という不安
- 「愛情はいつか急に消えるかもしれない」という恐れ
が強くなり、その不安を確かめるために試し行動につながることがあります。
ここで重要なのは、今の恋愛だけで説明がつかないほどの不安がある場合、過去の経験も影響している可能性があるという視点です。
だからといって、過去をすべて掘り返す必要はありませんが、「自分だけがおかしいわけではない」と理解するヒントにはなります。
愛着スタイルやアダルトチルドレンという考え方
試し行動を理解するときに、心理学では「愛着スタイル」という考え方がよく使われます。
愛着とは、子どもの頃に親や養育者との関係の中で身につけた「人との距離の取り方」「安心の感じ方」のクセのことです。
分かりやすく言うと、次のようなタイプがあります。
- 安定型
- 基本的に人を信頼しやすく、自分も相手も尊重しやすいタイプ
- 不安型
- 相手の気持ちにとても敏感で、「嫌われていないか」「見捨てられないか」が常に気になるタイプ
- 回避型
- 近づきすぎることを怖く感じ、距離を取ったり、自立を強く強調したりしやすいタイプ
試し行動は、特に「不安型」の傾向が強い人に出やすいと言われることがあります。
不安型の人は、相手を大切に思う気持ちが強い一方で、愛情を失うことへの恐れも強く、その恐れが試し行動につながりやすくなります。
また、「アダルトチルドレン」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。
これは厳密な診断名ではありませんが、主に次のような状態を指します。
- 子どもの頃に、親の感情や問題に振り回されやすい環境にいた
- 自分の感情よりも、周りの期待に合わせて生きることが多かった
- 大人になってからも、人間関係で極端に我慢したり、相手に合わせすぎたりしやすい
このような背景があると、「自分の気持ちは後回し」「相手に合わせていないと捨てられる」といった考えが染みつきやすくなります。
その結果、恋愛関係で不安が高まったときに、相手の反応で愛情を確認しようとするパターンが出やすくなります。
愛着スタイルやアダルトチルドレンという考え方は、自分をラベルづけするためではなく、「こうした傾向があるから不安を感じやすいのかもしれない」と理解するためのものです。
もし関心があれば、本や信頼できる解説記事で少しずつ知識を増やしていくと、自分のパターンを整理する助けになることがあります。
第三者や専門家に相談した方がよいタイミング
自分なりに工夫しても、
- 試し行動がどうしても止められない
- 恋愛のたびに同じパターンを繰り返してしまう
- 相手との関係だけでなく、仕事や日常生活にも支障が出てきている
と感じる場合は、一人で抱え込まず、第三者や専門家に相談することも選択肢に入れてよいタイミングです。
相談先としては、次のようなところがあります。
- 心理カウンセラー・公認心理師などのカウンセリング
- 心療内科・精神科での相談(強い不安や落ち込み、睡眠障害などが続く場合)
- 自治体や民間団体が行っている電話・オンライン相談
相談の目的は、「自分はおかしい」と証明することではありません。
むしろ、
- なぜここまで不安が強くなるのか
- 過去の経験が今の恋愛にどう影響しているのか
- 試し行動以外の対処方法にどんな選択肢があるのか
を一緒に整理してもらうことがメインになります。
次のような状態が続いている場合は、早めの相談を検討してよいサインです。
- 試し行動のあとに強い自己嫌悪が続き、眠れない日が多い
- 相手の反応が気になりすぎて、仕事や日常生活に集中できない
- 自分を傷つける行為や、相手を極端に追い詰める行動が増えている
- 一人ではどうにも整理できないと強く感じる
専門家に話すことに抵抗を感じる人も多いですが、
第三者の視点が入ることで、自分では気づきにくかったパターンに気づけることがあります。
また、カウンセリングを受けたからといって、すぐにすべてが変わるわけではありません。
ただ、「一人で抱え続ける状態」から、「一緒に整理してくれる人がいる状態」に変わるだけでも、心の負担は大きく違ってきます。
ここまで読んで、「もしかしたら自分にも当てはまるかもしれない」と感じた部分があれば、
それは自分を変えようとしている真剣さの表れでもあります。
次のまとめのパートでは、相手を試してしまう自分を否定しすぎずに、
これからどのような関係を育てていきたいのかを、あらためて整理していきます。
まとめ|相手を試さずに安心できる関係を育てるために
ここまで見てきたように、相手の気持ちを試してしまう行動には、はっきりとした理由があります。
愛情への不安、自分への自信のなさ、過去の経験から身についた警戒心。
どれも、本来は自分を守ろうとした結果として生まれたものです。
相手を試す行動そのものは、関係を不安定にしやすく、苦しさにつながります。
一方で、その奥にある「大切にされたい」「捨てられるのが怖い」という気持ちは、とてもまじめで切実な願いとも言えます。
最後に、これからの一歩を考えるための視点を整理しておきます。
「試す自分」を完全に否定しないことから始める
相手の気持ちを試してしまうクセに気づいたとき、多くの人はまず自分を強く責めます。
「なんであんなことを言ってしまったのか」
「こんな自分と一緒にいる相手がかわいそうだ」
「性格が悪いのではないか」
こうした自己否定は、一見すると反省やまじめさの表れにも見えます。
しかし、厳しく責めるほど不安は強くなり、また試し行動に戻ってしまうという悪循環を生みやすくなります。
ここで大事なのは、行動と自分の価値を切り離して考えることです。
- 試し行動をしてしまった事実は事実として振り返る
- だからといって、「愛される資格がない」「人としてダメ」とまでは決めつけない
- 行動のクセは、時間をかけて変えていくことができるものだと扱う
「試す自分」を丸ごと肯定する必要はありません。
ただ、完全に否定してしまうと、自分を支える土台ごと崩してしまいます。
まずは、
「不器用なやり方になってしまっているけれど、安心したい気持ちは本物だった」
「傷つきたくなくて、こういう方法を選んできた時期があった」
と認めることから始めてみてください。
そこからでなければ、行動の変化も続きにくくなります。
不安を一人で抱え込まず言葉にしていく大切さ
相手を試す行動は、多くの場合、「不安を言葉にできない苦しさ」から生まれています。
不安や寂しさを誰にも出せないと、エネルギーの行き場がなくなり、極端な行動となって表れやすくなります。
その悪循環を少しずつ変えていくためには、
- 不安になった自分に気づく
- 「今、不安になっているな」と心の中で名前をつける
- 可能な範囲で、言葉として外に出していく
という流れが大切になります。
相手に直接伝えるのが難しいときは、次のようなステップからでもかまいません。
- ノートやスマホのメモに、自分の気持ちを書き出す
- 信頼できる友人や相談先に、「うまく話せないのだけれど」と前置きしながら少しずつ話す
- カウンセラーや専門家と一緒に、不安の正体を整理していく
言葉にすることには、「自分が何に揺れているのか」を自分自身が理解できるようになる効果があります。
理解できてくると、試し行動しか選べない状態から、別の選択肢を選びやすくなります。
不安そのものを消し去る必要はありません。
ただ、一人で抱え続ける状態から、「誰かと分け合う状態」に変えていくことが、悪循環を断つための大きな一歩になります。
自分も相手も大切にする関係への一歩を意識する
相手の気持ちを試してしまう背景には、「自分より相手を優先しすぎてしまう」か、「先に自分を守ろうとして強く出す」か、極端なバランスがあることが少なくありません。
これから目指したいのは、自分も相手も、どちらも大切にできる関係です。
そのために、次のような小さな意識を持ってみてください。
- 自分の不安や寂しさを無視しない
- それをそのままぶつけるのではなく、整理してから伝える
- 相手にも事情や限界があることを前提にしたうえで、望みを共有する
- 「試す」「責める」言い方から、「相談する」「一緒に考える」言い方へ少しずつ変えていく
完璧なコミュニケーションを目指す必要はありません。
「前よりも少しだけ落ち着いて話せた」「衝動で別れ話を言わずに済んだ」
こうした小さな変化が積み重なるほど、関係の安心感は増していきます。
もし今、「相手を試してしまう自分が嫌いだ」と感じているなら、
それはすでに、今のやり方から変わろうとしているサインでもあります。
一人で抱え込まず、自分の気持ちを少しずつ言葉にしながら、
自分も相手も大切にできる関係に近づいていけるよう、この先の一歩を意識してみてください。


