【相談】自分が“夫としての責任”を果たせる気がしない
「夫としての責任」が重く感じるのは、あなただけじゃない
相談者:30代男性/会社員
彼女とは数年の交際を経て、結婚を見据えた関係に。プロポーズも無事に済ませたはずなのに、最近ふとした瞬間に感じるのは、「自分に夫としての責任が果たせるのか…」という重い気持ち。
「プロポーズしたのに、急に怖くなってしまった。彼女に申し訳ない」と、誰にも言えずに一人で悩んでいるといいます。
「家族を支える存在になれるか」が不安になる背景
男性にとって「結婚=一家を支える」というプレッシャーは、今も根強く残っています。
たとえ共働きが当たり前の時代でも、「いざというときは自分が守らなければ」「仕事で稼げなくなったらどうしよう」――そんな思いが胸にのしかかることもあるでしょう。
社会の中で「男らしさ=責任感や経済力」という期待が根強い以上、その期待に応えられるかどうかは、多くの男性にとって不安の種です。
「覚悟が足りない」と責められそうで誰にも言えない本音
「責任が重くて不安なんて言ったら、彼女に幻滅されるかもしれない」
「プロポーズまでしておいて、弱気になるなんて最低だと思われるかも」
こうした気持ちがあるからこそ、多くの男性が「不安を言葉にできないまま」結婚生活に突入し、プレッシャーに押しつぶされそうになるのです。
でも、本当は「不安=覚悟がない」ではありません。
むしろ、ちゃんと現実を見て「家族を支えるって、簡単なことじゃない」と向き合っている証拠。
この悩みは、あなただけではありません。
むしろ、「夫としての責任」に正面から向き合おうとする人こそが、ちゃんと“ふたりの未来”を大切に考えているのです。
「夫=一家の大黒柱」というプレッシャーの正体
結婚を考えたとき、男性にのしかかるのが「自分が一家を支えなくては」という重圧です。
これは単なる思い込みではなく、社会や家族の中で長年にわたり刷り込まれてきた価値観が背景にあります。
「経済力があって当然」という世間の期待が重い
現代は共働き家庭も増え、男女の役割分担も変わりつつあります。
それでも、「男なんだからしっかり稼がないと」「将来、子どもができたときのためにも収入が必要」といった言葉が、今でも無意識のプレッシャーになっている人は多いでしょう。
特に30代は、キャリアの安定が求められやすい年代。
周囲の友人が家を買ったり、昇進したりしていく中で、「自分は本当に家庭を支えられるのか」と自信を失ってしまう人もいます。
「経済的に余裕がない自分は、夫失格なんじゃないか」――そんな不安が頭をよぎるのは、とても自然なことなのです。
「何があっても支えるべき」という自己像が苦しくなる理由
「夫=支える側」というイメージは、頼もしく見える一方で、大きな負担も伴います。
「病気になっても、仕事がうまくいかなくても、俺が家族を守らないといけない」
――そんな風に、自分を常に“強い存在”として保とうとすると、心の余白がどんどんなくなっていきます。
本当は誰にだって弱さや迷いはあるのに、それを出せないことが“夫らしさ”になってしまう。
この「支えるべき」という像が、結果としてパートナーとの関係でも“本音を出せない距離”を生んでしまうのです。
「失敗しちゃいけない」という思い込みに縛られていないか?
「プロポーズまでしたのに、今さら迷ってるなんて格好悪い」
「結婚したら絶対にうまくやらなきゃ。途中で投げ出すなんてできない」
そんなふうに、“失敗=許されない”という思い込みに縛られている人も少なくありません。
でも、人生は常に“初めての連続”です。夫になるのも、父になるのも、誰だって初心者。
完璧な人間なんていませんし、迷ったり立ち止まったりするのは当然のことです。
むしろ「不安を抱えながらも、どう向き合っていけるか」のほうが、ずっと大切です。
その姿勢こそが、これからの“夫婦の形”をつくっていく土台になるのです。
【確認ポイント】“夫としての責任”って、本当に一人で抱えるもの?
「責任を果たせるか不安です」
そんな風に感じている人の多くが、無意識のうちに「全部を自分が背負わなければ」と思い込んでしまっています。
けれど本来、結婚も家庭も“ふたりでつくるもの”。
責任の正体を一つひとつ整理することで、必要以上のプレッシャーから自分を解放できるかもしれません。
① 経済・精神・家事…どんな役割を「責任」と捉えている?
「夫の責任」と聞いて、あなたが真っ先に思い浮かべるのは何でしょうか?
- 経済的に家計を支えること
- 精神的に家族を守ること
- 家のことを整え、子育てをすること
…人によって想像する“責任”の中身は異なります。
重要なのは、「自分が何を『責任』と感じているのか」を明確にすること。
そして、それをすべて一人で担おうとしていないか、自分に問い直してみてください。
現代の家庭では、役割分担も柔軟でいいのです。
「稼ぐ人=偉い」「支える人=劣っている」という時代ではありません。
② 「弱さや迷い」は許されないと思い込んでないか?
「しっかりしなきゃ」「情けない姿は見せられない」――
そんな風に、自分の中に“理想の夫像”を押しつけていませんか?
でも、どんなに立派に見える人でも、不安や迷いを抱えていない人はいません。
むしろ、それを隠し続けて無理をしてしまう方が、長い目で見ると苦しくなってしまいます。
パートナーと「今ちょっと怖い」「自信がない」といった気持ちを共有できることが、信頼の第一歩。
“完璧な夫”を演じるより、“本音でいられる夫婦”の方がずっと強い絆を育めます。
③ 「支え合う」という感覚を持てる相手かどうか?
最後に、あなたのパートナーは「支え合える関係」を築ける相手だと思えますか?
もし「この人となら話せる」「自分の弱さも受け止めてくれるかもしれない」と感じるなら、もうすでに“夫としての第一歩”を踏み出しているのかもしれません。
夫婦の関係は、「どちらかが全部背負う」ものではありません。
不安を抱えていてもいい、弱音を吐いてもいい。
それを一緒に考えられる関係性こそが、「責任を果たす」という言葉よりもずっと大事なのです。
【整理ワーク】あなたが「責任」として抱えているものを見直す
「責任を果たせる気がしない」と感じているとき、実はその“責任”という言葉がとても曖昧になっていることがあります。
まずは、自分が「何を」「どこまで」担おうとしているのかを具体的に言葉にしてみましょう。
それだけで、漠然とした不安が少し軽くなることもあります。
① どんな場面で「自分が頑張らなきゃ」と思ってしまう?
たとえば次のような場面で、「自分が頑張らなきゃ」と無意識に思ってはいませんか?
- パートナーが仕事で疲れて帰ってきたとき
- 将来の生活について真面目な話題になったとき
- 両親や友人の前で「夫として」どう振る舞うか迷ったとき
- 家計を計算していて、不安がよぎったとき
こうした場面で自然に背負ってしまう“責任感”は、たいてい「一人で抱えるには重すぎるもの」です。
まずは、その気持ちがどんな場面で芽生えているのかを整理することから始めましょう。
② 過去に「期待に応えられなかった」経験が影響していないか?
今感じている責任の重さは、実は過去の経験が影響しているかもしれません。
- 親や教師、上司に「もっとできるはず」と言われた
- 大事な場面で失敗してしまったときの悔しさ
- 誰かを支えたくても支えきれなかった経験
こうした“心に残った場面”が、「次こそはちゃんとしなきゃ」という強い責任感に変わっていることがあります。
それが悪いわけではありませんが、「あのときの自分」と「今の自分」は別人です。
過去の後悔や失敗で、自分の可能性を縛りすぎていないかを一度見直してみましょう。
③ 「理想の夫像」と「現実の自分」にズレを感じている?
「理想の夫」とは、どんな人物を思い浮かべますか?
- 経済的に安定している
- 感情的にブレずに頼れる
- 家事や育児も完璧にこなす
- 何があっても弱音を吐かない
…こうした“完璧な像”を掲げてしまうと、自分とのズレに苦しくなるのも無理はありません。
でも、それは本当に「あなたが目指したい夫像」でしょうか?
誰かに押しつけられた価値観を、いつの間にか自分の軸にしてしまっていないでしょうか?
「理想」はあくまで目標のひとつであり、「等身大の自分」を土台にした“パートナーシップの形”があっていいのです。
【対話のヒント】「不安な気持ち」をパートナーと共有するには
「夫として責任を果たせる気がしない」と感じたとき、一人でその不安を抱え込んでしまうと、関係にも影響を及ぼしてしまいます。
でも、その“責任感の強さ”は、誠実に向き合おうとするあなたの姿勢の表れです。
ここでは、不安をうまくパートナーと共有するための考え方を整理してみましょう。
「責任を持ちたい気持ち」と「不安がある気持ち」は両立する
「責任を果たせるか不安だ」と口にすることは、決して無責任なことではありません。
むしろ、「ちゃんとやりたい」という気持ちがあるからこそ、不安になるのです。
多くの人は、「強くて頼れる夫」でなければいけないと思い込み、不安を見せることを“恥”のように感じてしまいます。
でも本当は、
- 「責任を持ちたいという気持ち」
- 「でもまだ、自信がないという本音」
このふたつの気持ちは、どちらもあって自然なことです。
自分を否定するのではなく、その両方の気持ちを丁寧に扱うことが大切です。
「守らなきゃ」ではなく「一緒に築く」関係へ
「夫=守る側」と考えてしまうと、パートナーとの関係が“上下”になりやすく、プレッシャーも強くなります。
でも実際の結婚生活は、「一方が一方を守り続ける」という構造では続きません。
大切なのは、「ふたりでどう暮らしていくか」を共に考えていける関係性です。
たとえば…
- 「自分はこう感じてるけど、君はどう思う?」
- 「ふたりでやっていく方法を見つけたい」
- 「全部自分が背負うのは正直怖い。でも一緒なら頑張れるかも」
こんな言い方で伝えるだけでも、“責任”の重さがふたりの間でやわらぎ、前向きな対話が生まれやすくなります。
「自分の役割像」を押し付けすぎず、相手の思いも聞く姿勢を
「夫とはこうあるべき」「家族を支えるのが男の役目」
そういった“理想像”を無意識に持っていると、それをパートナーにも求めすぎたり、自分の中だけで苦しんだりします。
でも本当は、役割分担に正解はありません。
だからこそ、「自分はこう思うけれど、あなたはどう?」という姿勢で対話を始めることが大切です。
相手にとっては、
- 「夫としての“役割”を一人で抱え込もうとしているあなた」が不安かもしれません
- 「一緒に考えたいのに、話してくれない」と感じているかもしれません
お互いの思いを確認し合いながら、“ふたりの形”を見つけていくプロセスが、結果として信頼や安心感を深める近道になります。
実例|「夫になること」に迷いがあった男性たちの声
「夫としての責任を果たせるか不安」という思いは、決してあなただけのものではありません。
ここでは実際に、「夫になること」に戸惑いや葛藤を抱えた男性たちのリアルな声を紹介します。
彼らの体験を通して、「不安=逃げ」ではないことに、少しでも安心していただければと思います。
「最初は逃げたくなったけど、話せたことで前に進めた」ケース
30代男性・営業職のTさんは、交際3年目のパートナーにプロポーズした直後、「結婚=責任」と感じ、気持ちが急激に重くなったそうです。
「彼女を幸せにしたい気持ちはあるのに、急に“自分で家庭を背負えるのか”という不安が押し寄せて、逃げたくなったんです」
そのときTさんがとった行動は、「正直に気持ちを伝える」ことでした。
「自信がないわけじゃないけど、プレッシャーに押しつぶされそうだ」と打ち明けると、彼女から返ってきたのは意外な一言。
「あなたひとりで背負わなくていいよ。私も一緒にやっていくつもりだから」
その言葉に、Tさんはようやく肩の力が抜けたと言います。
「責任感」は大切。でも“分かち合える相手がいる”と実感できた瞬間、前に進める勇気が持てたとのことでした。
「完璧な夫でなくてもいい」と思えた瞬間
一方で、結婚に前向きだったものの「理想の夫像」とのギャップに悩んでいたのは、40代前半の会社員・Mさん。
「周りに“頼れる旦那”が多くて、自分もそうならなきゃと焦っていたんですが、家事も苦手だし収入もそこまで高くない。
自分に何ができるんだろうって、情けなくなってました」
ある日、休日にパートナーと料理に挑戦し、失敗しながらも一緒に笑い合った経験が、Mさんの中で何かを変えたそうです。
「彼女が“こうやって一緒にやっていければいいね”って言ってくれて。
その瞬間、完璧な夫じゃなくても大丈夫なんだって、心から思えたんです」
“理想像”から解放されたことで、自然体でパートナーシップを築く自信が生まれたと話してくれました。
「責任」より「信頼」を大切にしたら関係が変わった実例
別のケースでは、夫になることへの“責任感”が強すぎて、逆にパートナーとの距離ができてしまった30代後半のHさんの例。
「俺がもっと頑張らないと」と気負うあまり、仕事もプライベートも余裕がなくなってしまい、彼女に優しくできなくなっていたと言います。
そのとき彼女に言われた一言が心に刺さったそうです。
「私は“完璧な夫”がほしいんじゃなくて、“一緒にいて安心できる人”でいてほしいの」
この言葉をきっかけに、Hさんは「責任=すべてを自分で抱えること」ではなく、「信頼される関係をつくることが何より大切」だと気づいたそうです。
以降は、役割を分け合いながら会話を増やすよう心がけ、関係はむしろ以前より穏やかに。
「今は“夫になる不安”より、“彼女と一緒に歩く”実感の方が大きいです」
こうした声からもわかるように、「責任」への不安は特別なことではなく、多くの男性が一度は感じるものです。
そしてその不安を「逃げ」ではなく「向き合う材料」に変えられるのが、対話と共有の力なのです。
まとめ|「夫としての責任」を“ふたりで育てていく”という考え方
「夫として、しっかりしなければ」と思うあまり、自分を追い込みすぎてしまう方は少なくありません。
でも、“責任”という言葉の重みをすべてひとりで抱え込む必要はないのです。
ここでは、責任への向き合い方を少し違った視点から見つめ直してみましょう。
「一人で背負うもの」ではなくていい
世間の「夫とはこうあるべき」というイメージに縛られすぎると、
気づかないうちに「自分だけが頑張らないといけない」という思い込みにとらわれてしまいます。
でも、結婚生活は“チーム”です。
すべての役割を一人で背負おうとするよりも、それぞれが得意なことを活かして支え合うほうが、結果的にうまくいくものです。
「支える側」でいようとするだけでなく、「支えられることも受け入れる」。
その柔軟さが、結婚生活を続けるうえでの土台になっていきます。
「守る」よりも「支え合う」ことに価値がある
「夫としての責任」と聞くと、
「家族を守る」「決断を下す」「経済的にリードする」といった“強さ”ばかりを求められているように感じるかもしれません。
でも、本当に必要なのは「常に守る側」でいることではなく、ふたりで寄り添い合える関係を築くことです。
相手も同じように不安を感じ、期待と現実のギャップに戸惑うこともあるでしょう。
だからこそ、「お互いの気持ちに耳を傾け、必要なときは手を差し伸べる」――その積み重ねこそが、信頼関係を育てます。
“夫=支える存在”ではなく、“夫婦=支え合う関係”。
そう捉え直すことで、プレッシャーの正体が少し軽く見えてくるはずです。
「不安も共有できる関係」が、真の“夫婦”のスタートになる
誰だって、不安になります。
「本当にやっていけるだろうか」「失敗したらどうしよう」――そうした気持ちが湧くのは、真剣に考えている証拠です。
そしてその不安を、ひとりで抱え込まずに言葉にできるかどうかが、夫婦としての関係性を大きく左右します。
「責任を果たせるか不安なんだ」
「どうしたら、ふたりでやっていけるか考えたい」
そういった言葉が交わされることで、ふたりの未来が“共同のもの”になるのです。
“夫になる”ということは、完璧な存在になることではありません。
むしろ、「弱さを見せてもいい」「支え合っていける関係を築こう」と思えることこそが、本当のスタートなのではないでしょうか。
この記事を読んでくださったあなたが、「夫としてどうあるべきか」ではなく、
「自分たちにとって、どんなパートナーシップが心地よいのか」を大切に考えられるようになりますように。
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