【相談】正直、まだ子どもを育てる自信がありません
「子どもを育てる自信がない」…この不安、実はよくあることです
相談者は、30代前半の会社員男性。
交際中のパートナーとは結婚も見据えた関係。話の中で「将来的に子どもがほしいね」という流れもある。でも彼自身は、「子どもがほしい気持ちはあるものの、自分がちゃんと育てられるのか不安」と感じているそうです。周囲の友人が父親になっていく中で、ふと自分に置き換えてみたとき、「親になるって、こんなにプレッシャーがあるものなんだ」と初めて実感したと言います。
こうした「親になることへの不安」は、実は多くの人が抱えている悩みです。
「自分にそんな責任が果たせるのか」「子どもの将来を背負うなんて、重すぎる」——そう感じるのは、それだけ真剣に未来を考えているからこそです。
特に男性側の場合、「子どもを望んでいる」と口にしながらも、いざ“現実的な親の役割”を想像すると、不安に足がすくむという声は少なくありません。
また、「育てられるかどうか」に迷いを持つことは、何も“意志が弱い”からではありません。
むしろ、それは“育てる”ということをちゃんと受け止めようとしている証。
この記事では、「子育ての不安」に向き合うための視点や整理の仕方、パートナーとの対話のヒントなどを、段階的にご紹介していきます。
「不安だからこそ、自分にできることを考えたい」と感じている方にとって、一歩踏み出すきっかけになる内容をお届けします。
「親になる自信がない」と思ってしまう理由とは?
「親になること」に対して、不安や迷いを抱くのは決して珍しいことではありません。
むしろ、責任の重さや将来への不確かさを真剣に受け止めているからこそ、その不安は自然に生まれてくるものです。
ここでは、「親になる自信が持てない」と感じる背景にある代表的な心理を3つの視点でひもといてみましょう。
「完璧な親」にならなければというプレッシャー
「ちゃんとしないといけない」「親になるなら立派でないと」——
多くの人が、どこかで“理想の親像”に縛られてしまいます。SNSなどを通じて「素敵なお父さん・お母さん」のイメージが可視化される現代では、そのプレッシャーは一層強くなりがちです。
でも、本当に必要なのは「完璧であること」よりも、「不安なときに立ち止まれること」「悩んだときに対話できること」。
むしろ、自分の未熟さや不安を自覚できていること自体が、子どもにとっては安心できる親である証とも言えます。
「自由がなくなる」ことへの恐れ
「子どもができたら自分の時間がなくなるのでは?」「趣味もキャリアも犠牲になるのでは?」
こうした自由に対する不安も、親になることへの迷いとして多く聞かれる声です。
特に今は、男女ともに“人生を主体的に選びたい”という気持ちが強い世代。
だからこそ、「親になる=すべてを失う」というイメージを抱いてしまうと、無意識にブレーキがかかります。
ただ、実際には「子育てを通して得られる自由」もあるのが現実です。価値観や生活の優先順位が変わることで、“以前とは違う充実感”を感じる人も少なくありません。
「自分の親と比べてしまう」無意識の影響も
「自分の親はちゃんとしていたのに、果たして自分には…」
そんなふうに、“親としての自信”を、過去の親像と比べてしまう人もいます。
特に、家庭内で「しっかりした親」を見て育った人ほど、「自分もそうならなければ」という無言のプレッシャーを感じがちです。
また逆に、「自分の親が理想とは遠かった」場合も、「同じようになったらどうしよう」という不安を抱くことがあります。
いずれにしても、“親”という役割に対する無意識のハードルが、自信のなさにつながっていることはよくあります。
「自信がない」のは、“向き合おうとしている証拠”
「不安を持ってる自分」こそ、丁寧に見つめる価値があるのです。
【確認ポイント】あなたの不安はどこから来ている?
「子どもを育てる自信がない」という気持ちには、必ず何かしらの“理由”や“背景”があります。
けれど、その不安の正体がはっきりしないままでは、いつまでも漠然としたモヤモヤに支配されてしまいます。
ここでは、よくある不安の源を3つの視点から見つめなおし、
**「本当は何が怖いのか」**を整理するヒントをお届けします。
① 経済的な不安?生活スタイルの変化?
「子どもができたらお金がかかる」
「自分の自由な時間や趣味が減ってしまうかも」
こうした “現実的な心配”が自信のなさに繋がっている人も多くいます。
実際、子育てには出費も時間もかかります。
しかし、逆に言えば「その現実をちゃんと見据えている」こと自体が、すでに親としての責任感を持っている証拠でもあります。
☑ 出産や育児にかかる費用
☑ 保育園や教育費
☑ 自分の働き方や時間の使い方の変化
これらの項目について、一度数字や実例で具体的に把握してみると、不安が“現実的な課題”として整理されてきます。
不安の正体を「見える化」することで、対策も見えてきます。
② 自分の性格や過去の経験が影響していないか?
たとえば――
- 「自分は短気だから、子育てに向いてないかも」
- 「過去に面倒を見ることが苦手だった経験がある」
- 「自分の親のようにできる気がしない」
こうした“自己評価”や“過去のつまずき”が、現在の不安に強く影響していることもあります。
しかし実際には、子育ては「得意・不得意」ではなく「学びながら進むもの」。
性格や過去の失敗がそのまま「親としての適性」に直結するわけではありません。
むしろ、自分の弱さや苦手さを把握している人ほど、「どうすればうまくいくか?」と考える柔軟さがあるのです。
③ 「自信がない=育てられない」と思い込んでいないか?
ここが、実は最も重要な確認ポイントかもしれません。
「自信がない自分=親になる資格がない」と決めつけていませんか?
でも実際には、親になってからも迷いや不安は続きますし、「最初から自信がある人」なんてほとんどいません。
重要なのは、**「子どものために向き合いたいと思っているか」**どうか。
- 不安があるのは当たり前
- その不安を放置せず、言葉にしようとする姿勢が大切
- 「自信がない」ことをきっかけに、“ふたりで準備を始める”こともできる
あなたの「自信がない」は、育てられないサインではなく、育てようとする意志の現れかもしれません。
🔍 まとめポイント
・不安の正体は「現実的な心配」か「過去の経験」に潜んでいる
・「自信のなさ」=「できない」ではない
・向き合おうとする気持ちがあるなら、それが一歩目になる
【整理ワーク】「自信がない気持ち」を言葉にしてみよう
「子どもを育てられるか不安」「親になれる気がしない」
そんな“自信のなさ”を漠然と抱えていると、自分の気持ちすら整理できずにモヤモヤが続きがちです。
この章では、あなたの中にある気持ちを丁寧に“言葉にしていく”ワークを紹介します。
不安に名前をつけることができれば、それはもう乗り越えるための一歩です。
① どんな未来を想像すると不安になる?
まずは、「自信がない」と感じる瞬間の背景を具体的に思い描いてみましょう。
- 子どもが夜泣きしても、優しく対応できるだろうか?
- 仕事と育児を両立できるのか?
- 経済的な責任を果たせるかどうか?
こうした未来を想像したとき、胸がザワザワしたり、重くなるような場面はありませんか?
人は、「先が見えないもの」に不安を感じます。
でも、どんな未来が怖いのかを可視化できれば、「何を準備すればいいか」が見えてくるのです。
不安は、「行動のヒント」を含んだサインでもあります。
② 不安の中にも「希望」が混ざっていないか?
ここで少し視点を変えてみましょう。
あなたが「子育てに自信がない」と感じるその不安の中に、
実はこんな“希望”のかけらが隠れていないでしょうか?
- 「子どもができたら、家族で旅行に行きたい」
- 「自分の親みたいに、あたたかい家庭を築きたい」
- 「この人との子どもを育ててみたい気持ちもある」
不安の裏には、「こうなったらいいな」という願いや理想が隠れていることがあります。
そしてその理想を持てている時点で、あなたはすでに“親になる準備”を心の中で始めているのかもしれません。
「怖さの奥にある望み」に目を向けることが、気持ちを整理する大切なステップです。
③ 過去に「できないと思ったけどできた」経験は?
最後に、自信のなさを抱える“今の自分”に対して、過去から勇気をもらってみましょう。
思い返してみてください。
- 初めての転職で不安だったけど、結果的にうまくいった
- 恋人との同棲を始める前は「うまくやれるかな」と不安だった
- 親元を離れて一人暮らしを始めたときも、最初は怖かった
そのときもきっと、「自信なんてなかった」はずです。
でも、やってみたら少しずつ慣れて、**経験を重ねて“自信に変わっていった”**のではないでしょうか。
子育てもきっと、同じです。
最初から自信がある人はいないけれど、“できた経験”を積み重ねていくうちに、自然と育っていくものなのです。
🔍 まとめポイント
・不安の正体を言葉にして「具体的な準備」につなげる
・不安の奥には「こうありたい」という希望がある
・過去の成功体験を思い出せば、「やれる自分」を信じやすくなる
【対話のヒント】パートナーと「不安」を共有するには
「子どもはほしい。でも育てる自信がない」
そんな気持ちは、一人で抱えるには重たすぎます。
けれど、それを正直に伝えるのは勇気がいることですよね。
「頼りないと思われたらどうしよう…」「相手を不安にさせるかも」
そんな不安から、つい黙ってしまう人も少なくありません。
でも、“不安を言葉にすること”は、ふたりの信頼を深める第一歩です。
この章では、その伝え方のヒントをお伝えします。
「自信がない」と言うことは逃げではない
まず大前提として、「自信がない」と口にすることは、決して“無責任”なことではありません。
むしろ、
- 親になることを真剣に考えている証拠
- 自分の役割にちゃんと向き合おうとしているからこそ出てくる言葉
です。
大切なのは、「自信がないからムリ」と一方的に拒絶することではなく、
「自信がない」と感じている“今の気持ち”を、丁寧に伝えること。
たとえば…
「子どもはほしいと思ってる。でも育てることを考えると、不安になる部分もある」
「自分が親としてやっていけるか…正直、まだイメージがわかないんだ」
こうして**「不安はあるけど、向き合おうとしている姿勢」を見せるだけで、相手の受け取り方はまったく変わります**。
「どうすれば自信が持てそうか」を一緒に考える姿勢
「自信がない」と伝えると、相手はつい不安になってしまうこともあります。
そんなときこそ、「その気持ちをふたりで乗り越えていきたい」という意志を伝えましょう。
たとえば…
- 「どんな準備ができたら、自信につながりそうか」
- 「一緒に育児を体験するために、どんな情報を集めていけるか」
- 「不安な気持ちを、これからも話し合っていけるか」
そうした**“未来に向けた具体的な会話”は、ふたりの関係に安心感をもたらします**。
重要なのは、「不安があること」ではなく、
**「それとどう向き合うか」という“姿勢”**なのです。
「一緒に親になる」感覚を持てるように話す工夫
子育ては、どちらか一方だけが“がんばるもの”ではありません。
たとえ出産や授乳といった役割に差があっても、
「ふたりで親になっていく」という感覚を持てるかどうかが鍵です。
こんな言い方ができると、関係が前向きに進みやすくなります。
「完璧な親じゃなくてもいい。ふたりで学びながら親になっていけたらいいな」
「全部できるようになってからじゃなくても、一緒に始めていこう」
このように“ふたりで歩んでいく姿勢”を伝えることで、
あなたの不安は**相手にとっても「ふたりで乗り越えるべきこと」**として共有されていきます。
🔍 まとめポイント
・「自信がない」は誠実な気持ちの表れ。言葉にして伝えることが大切
・不安を「ふたりで考えるテーマ」にできれば、信頼が深まる
・「一緒に親になっていく」ことへの前向きな視点を持とう
実例|「親になる自信がなかった」人たちの声
「子どもが欲しい気持ちはあるのに、自信がない…」
そんな葛藤を抱えていたのは、あなただけではありません。
ここでは実際に
「親になるのが怖い」「不安だった」
という経験を持つ男性たちの声をご紹介します。
それぞれのエピソードが、あなたの気持ちを整理するヒントになるかもしれません。
「最初は怖かった。でも話すことで気持ちが整った」
「30代前半の頃、妻から『子どもを考えたい』と言われて正直びびりました。
自分に親が務まるのか…想像もつかなくて。
でも思い切って『怖い』って正直に話したら、
妻は『それだけちゃんと考えてくれてるってことだよね』って言ってくれて…。
不安を口にしたら、自分の中でも整理されていった感覚があります。」
▶ 感情を抱え込まず、言葉にすることで心の整理が進んだという好例です。
「完璧じゃなくていい」と思えたら気が楽になった
「父親って“なんでもできる強い存在”って思い込んでたから、
自分がそんな存在になれるわけないと思ってました。
でも先輩パパの『できないことだらけだよ(笑)』という言葉に救われました。
完璧を目指すんじゃなくて、“向き合おうとする姿勢”が大事なんだと気づけました。」
▶ 完璧主義のプレッシャーから解放されて、自信につながったケースです。
「不安を共有したことでパートナーとの絆が深まった」
「自分の中でずっと『父親になる覚悟』ができてないと思ってたけど、
ある日、彼女に『実は自信がなくて…』と打ち明けたら、
『一緒に悩んで、一緒に親になっていけばいいよ』って返してくれて…。
涙が出るほど救われました。
あのとき勇気を出して話したことで、信頼が深まった実感があります。」
▶ “不安を共有すること=絆を深めること”になるというリアルな実体験です。
🔍 まとめポイント
・「怖い」「自信がない」と感じるのは自然なこと
・言葉にすることで、不安が整理されたり軽くなる
・“完璧じゃなくていい”という視点は多くの人にとって安心のカギ
・不安を共有することで、パートナーとの信頼関係が強まることも
まとめ|「自信がない」は逃げではなく、向き合う出発点
「子どもを育てる自信がない」と感じるとき、多くの人は「自分は親になる資格がないのでは」と悩みがちです。
でも実は、その“悩み自体”こそが、すでに一歩を踏み出している証なのです。
「不安=無理」ではない
不安を抱えるのは、「真剣に向き合おうとしている証拠」です。
もし、何の責任も感じていなければ、そもそも不安になることすらないはず。
「自信がない」と感じるのは、
・責任の重さに向き合っているから
・子どもやパートナーとの未来を大切にしたいから
それはむしろ、親としての“土台”を持ち始めているとも言えるのです。
「自信」は経験や対話で育つもの
最初から「自信満々な親」なんて、実はほとんどいません。
多くの人が、不安を感じながらも「やってみる」「試してみる」中で、少しずつ自信を育てています。
また、自信はひとりで育てるものではなく、対話の中で育まれていくものでもあります。
・パートナーと話すことで、気持ちが整理される
・同じような悩みを持つ人の話に安心できる
・小さな成功体験が、確かな“自信の芽”になる
「話してよかった」「言えた自分を少し好きになれた」──そんな瞬間が、不安を変える鍵になります。
「育てられるかどうか」ではなく「どう一緒に育っていくか」
親になるとは、「完璧な育て手」になることではありません。
子どもと一緒に、親も“育っていく”こと。
不安や迷いがあって当然。その道のりこそが、人生のリアルです。
・失敗することもある
・思い通りにいかない日もある
・でも「一緒に向き合っていく」姿勢が大切
子どもとともに学び、笑い、悩みながら、少しずつ“親としての自分”を育てていけたら、それで十分なんです。
💡 最後に
「自信がない」と悩むあなたは、決して弱いのではありません。
その気持ちは、大切な人や未来に真剣だからこそ生まれるもの。
まずはその気持ちを受け入れ、「話す」「考える」ことから始めてみてください。
一歩ずつでいいのです。あなたらしい親の形が、きっと見つかります。
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