【相談】結婚をやめたくなった…でも親や職場に言い出せません
【相談者の声】「結婚をやめたい」と思っても誰にも言えない
相談者:32歳・女性(会社員)
半年後に結婚式を控える中、「このまま結婚して本当にいいのか」という迷いが拭えないでいる。
親は喜んでいるし、職場にも報告済み
彼とは3年の交際を経て、昨年末に婚約。両家顔合わせも終え、式場の予約も済ませ、いよいよ結婚に向けて本格的に動き出しているところです。
親は「やっと安心できた」と嬉しそうにしているし、職場にも結婚報告を済ませたばかり。周囲の反応は祝福一色で、「おめでとう」「楽しみだね」という言葉を毎日のようにもらっています。
でも、自分の中だけにある“ある気持ち”を、誰にも言えずに抱えているのです。
──「結婚をやめたいかもしれない」という、重たくて、口にするのが怖い本音を。
「自分の気持ち」が置き去りになっている感覚
周りが喜べば喜ぶほど、自分が置き去りにされているような感覚に陥っていきます。
「自分は今、本当に幸せなんだろうか?」
「この人と一生を共にすることに、納得できているのか?」
最初は「ちょっとした不安」くらいに思っていた感情が、気づけば心の大きな部分を占めるようになってきました。
それでも、ここまで準備が進んでいる状況で「やっぱりやめたい」なんて言い出す勇気は出ません。
まるで、自分の気持ちだけが“無かったこと”にされているような日々。
でも、それを他人のせいにすることもできず、ただ自分の心を押し殺して笑っている──そんな感覚です。
本音を言ったら、周りを失望させてしまいそうで怖い
もし今「結婚をやめたい」と誰かに話したら、どう思われるだろう。
「こんなに順調に進んでいるのに」「相手はとてもいい人なのに」──そう責められるかもしれない。
親や彼、職場の人たちを失望させるのが怖くて、自分の気持ちを言い出せずにいます。
でも、心のどこかでは分かっているんです。「本当にこのまま進んでいいの?」という問いに、まだ答えが出せていないことを。
そんな自分に気づけば気づくほど、「言えない苦しさ」が深まっていきます。
誰かに「それでいいんだよ」と言ってほしい気持ちと、「迷ってる自分がダメなんじゃないか」という自己否定がせめぎあっている毎日──。
なぜ「言い出せない」と感じるのか?その心理を解く
結婚をやめたい気持ちがあるのに、それを誰にも言い出せない──。
この「言えなさ」の裏には、いくつかの深い心理的な要因があります。
ここでは、その中でも多くの人が共通して抱える3つの感情に焦点を当ててみましょう。
「親の期待」に背くことへの罪悪感
最も大きな壁になるのが、「親の期待を裏切ってしまうのではないか」という思い。
特に30代前後になると、親からの「そろそろ安心させてほしい」「良い人が見つかってよかったね」という言葉に支えられつつも、見えないプレッシャーを感じている人は少なくありません。
「あなたの幸せが一番」と言いながらも、親の中には“こうあってほしい”という無意識の理想像が存在します。
それを崩すような決断を下すことに、強い罪悪感を覚えてしまうのです。
本当は自分の人生なのに、「申し訳なさ」が先に立ってしまい、
気づけば「親をがっかりさせたくないから結婚をやめられない」という状況に陥ってしまいます。
「職場に報告済み」という引き返しにくさ
すでに結婚報告を社内に済ませている場合、その「既成事実」が心理的な足かせになります。
結婚祝いの言葉や、部署内での異動調整、姓変更の話などが進んでいると、「今さらやめるなんて…」という思いが強くなっていきます。
とくに職場ではプライベートな悩みを気軽に話しにくく、「心変わりした」と誤解されることへの不安も重なります。
こうした社会的な“外堀の埋まり具合”が、決断の自由を奪っていくのです。
本来、人生の選択は他人に許可を取るものではないはず。
けれど、すでに公の場での「報告」が済んでしまっていると、「後戻り=迷惑をかけること」という錯覚が生まれます。
自分の気持ちより“周囲の目”が優先されてしまう構造
「迷っている」「やめたい」と感じていても、それを言葉にできない理由の根底には、
“自分の気持ちよりも周囲の目を優先してしまう”という心の癖がある場合があります。
特に真面目な性格の人ほど、「周囲を安心させたい」「自分が崩れたら周りが混乱する」と考えがちです。
その結果、自分の気持ちを後回しにしてしまい、
「誰かの期待に応えること=自分の役割」になってしまうのです。
でも忘れてはいけません。
「人に迷惑をかけない」こと以上に、「自分の気持ちに嘘をつかない」こともまた、人生を大切にするうえで必要なことです。
結婚前の「モヤモヤ」を押し殺すとどうなるか
「考えすぎかもしれない」「みんな通る道だから」──。
そうやって、自分の中にある違和感や迷いを“見ないふり”して進もうとしていませんか?
たしかに、結婚を前にしてモヤモヤするのは珍しいことではありません。
でも、その気持ちを無視して進んだとき、あとから取り返しのつかない後悔につながることもあります。
「あのときやめておけば…」と後悔する可能性
結婚後に「やっぱり無理だった」と感じたとしても、
式を挙げ、入籍し、生活が始まってしまった後では、身動きがさらに取りづらくなります。
実際、離婚経験者へのアンケートなどでも
「結婚前に違和感はあったが、言い出せなかった」という声は少なくありません。
その結果、「やめておけばよかったのに…」という苦しい後悔が、
ずっと心に残ってしまうこともあるのです。
大切なのは、「今ここで迷っていること」自体が、すでに重要なサインだということ。
先延ばしにするほど、気づいたときには選択肢が減ってしまっているかもしれません。
周囲に合わせた結婚は“自分の人生”ではない
「親が喜んでいるから」「ここまで準備したから」「期待されているから」──
その理由だけで結婚に進もうとしている場合、本当にそれは“自分の意志”と言えるでしょうか?
たとえ円満なスタートを切れたとしても、
自分が納得して選んだものでない限り、心のどこかに「本当は違ったのかもしれない」という思いが残り続けます。
誰かの期待に応えるための結婚は、
長い人生の中で、自分の幸福感を脅かす要因にもなりかねません。
「幸せになってほしい」と思ってくれている人たちも、
本当は“あなた自身が納得した選択”をしてくれることを願っているはずです。
本音を無視したまま進めば、信頼関係にもひずみが生まれる
「この人でいいのかな」と迷いながら進んでしまった場合、
その気持ちは結婚後も何かの拍子に顔を出すことがあります。
ふとした喧嘩のとき、将来の選択に迷ったとき──
「やっぱりこの人じゃなかったのかも」という思いが噴き出すと、
相手との信頼関係にも影を落とす原因になります。
相手からすれば、「どうしてもっと早く言ってくれなかったの?」という思いにもつながり、
結果としてお互いを苦しめてしまうことも。
結婚はゴールではなく、“一緒に続けていく生活”のスタート。
その出発点に立つ前に、少しでもモヤモヤがあるなら、
今こそ自分の本音に耳を傾けてみるべきときです。
「親や職場がどう思うか」よりも大切な視点
「今さら言い出したら、親はがっかりするだろうな…」
「職場にも報告してしまったし、恥ずかしくて無理」
そんなふうに、”自分以外の誰かの反応”が気になって、気持ちを飲み込んでいませんか?
けれど、人生を歩むのは他の誰でもなく、あなた自身。
本当に大切にすべきは、**周囲の期待よりも“あなたの納得感”**です。
周囲の幸せと、あなたの幸せは別のもの
親が喜んでくれた、職場の人が祝ってくれた──それは、たしかにありがたいこと。
けれど、彼らが期待しているのは「あなたが幸せになること」のはずです。
「親が喜んでいる=その結婚が正解」とは限りません。
たとえ祝福されていても、あなた自身が心から笑えていないなら、それは本当に幸せでしょうか?
周囲がどう思うかではなく、自分自身がどう在りたいかを、もう一度見つめ直してみてください。
「結婚ありき」で進めた先に本当に笑顔はあるか?
「もう式場も決まってるし…」「ここでやめたら面倒になるだけ」
そうやって、“結婚すること”を前提に物事を動かしていると、
途中で気持ちにブレーキをかけづらくなってしまいます。
けれど、立ち止まるのが遅くなるほど、
“本当は違うかも”という感覚に蓋をしてしまいがちです。
結婚は人生のひとつの節目であり、ゴールではありません。
「この人となら笑っていける」と思えることこそが、進むべき理由になるのです。
形式や流れではなく、あなたの気持ちに問い直してみてください。
「傷つけるのが怖い」ではなく「自分を守る判断」が必要
「今さら断るなんて、相手に申し訳ない」
「こんな時期に言い出したら、相手を傷つけてしまうかも」
そんなふうに、“自分が加害者になってしまう”ような恐れが、気持ちの足かせになることもあります。
でも実は、「無理をして進むこと」の方が、長い目で見れば相手を苦しめる結果になるかもしれません。
本当に誠実な選択とは、どちらの未来にも嘘をつかないことです。
そして何より大切なのは、あなたがあなた自身の人生を守る勇気を持つこと。
他人の期待を優先して傷つくのは、あなた自身です。
だからこそ、“自分のために決断すること”は、逃げではなく責任ある選択なのです。
やめたい気持ちを伝えることは“裏切り”ではない
「今さらやめたいなんて、相手や親を裏切ることになるのでは…」
そんなふうに悩みながら、言葉を飲み込んでいませんか?
でも本当に裏切りなのでしょうか?
自分の正直な気持ちに向き合って出した決断は、
たとえ誰かを驚かせることがあっても、誠実さの表れです。
「ごめんなさい」の一言に込められる誠実さ
結婚を進める過程で、周囲の人に期待させてしまったと感じているかもしれません。
でも、心から納得できないまま進むことの方が、
長い目で見れば誰かを深く傷つけてしまう可能性があります。
「申し訳ないけど、今は進められません」
「自分の気持ちに正直でいたいんです」
そんなふうに伝える“ごめんなさい”には、
相手を思う気持ちや、勇気ある選択をした誠実さが詰まっています。
たとえ傷つけたとしても、ウソを重ねるよりずっと真摯な対応です。
「失望されるかも」という不安との向き合い方
親や職場、友人たちの反応を想像すると、
「こんなことを言ったらがっかりされるかも…」と怖くなりますよね。
でも、“あなたが本当に幸せになること”が、
親や周囲が願っている本当のゴールのはずです。
一時的に驚かせたり、動揺させることがあっても、
「本気で考えた末の決断なんだ」と伝われば、理解してくれる人もいます。
大切なのは、「相手の期待通りに振る舞うこと」ではなく、
あなた自身の気持ちに責任を持つことです。
本気で悩んで出した答えは、きっと伝わる
「なんとなく冷めたから」「気が変わったから」ではなく、
不安や違和感と何度も向き合いながら出した結論なら、
それは“わがまま”ではなく“真剣な判断”です。
本気で悩んだ末の言葉には、相手の心にも届く力があります。
だからこそ、あなたの迷いと決断には、きっと意味がある。
「裏切り」ではなく、
**「より良い人生を選び直すための一歩」**だと考えてみてください。
【整理ワーク】「自分の気持ち」に正直になる3ステップ
結婚をやめたい気持ちを「どう言えばいいか」以前に、
**まず大切なのは“自分自身が納得できること”**です。
けれど、混乱の中では頭の中がぐるぐるして、
「本当にやめたいのか、それとも迷ってるだけなのか」
その境界もあいまいになってしまいがちです。
そんなときに役立つのが、**紙に書き出す“整理ワーク”**です。
たった3つのステップですが、心の深いところを見つめ直すきっかけになります。
① “やめたい”と思ったきっかけを書き出す
まずは、**「なぜ、やめたいと思ったのか」**をできるだけ具体的に思い出してみましょう。
- 彼(彼女)の言動でひっかかったこと
- 将来を考えたときの違和感
- 話し合いで感じた不安や孤独
- 親や職場との関係がプレッシャーになっていること など
どんなに小さなことでも大丈夫です。
**「言葉にする=心の輪郭をはっきりさせること」**につながります。
② 「やめたい」のか「迷ってるだけ」かを明確にする
次に、「やめたい」と思ったときの感情の質を見てみましょう。
- 「どうしても無理」という感覚なのか
- 「なんとなく不安で…」という漠然とした迷いなのか
- 「誰かに言われて不安になった」だけなのか
感情に名前をつけていくと、
「迷い」と「本音」の境界線が少しずつ見えてきます。
どちらにしても、答えを急がなくても構いません。
“自分の心を丁寧に見ること”が目的です。
③ 数年後の自分に問いかける──後悔していないか?
最後に、未来の自分に質問してみてください。
「この選択をした数年後の私は、笑っているだろうか?」
「“あのとき本音を伝えなかった”ことを、後悔していないだろうか?」
今の選択は、未来のあなたの土台になります。
「我慢して進んだ結婚」「モヤモヤを飲み込んだままの決断」が、
数年後の自分を苦しめてしまう可能性もあるのです。
逆に、勇気を出して気持ちを整理し、
**「あのときちゃんと向き合ってよかった」**と思えるなら、
きっとどんな選択でも、あなた自身を誇れるはずです。
【まとめ】「誰にも言えない」ままで、あなたを苦しめないで
「結婚をやめたいかもしれない」──
そう思っているのに、誰にも言えない。
親は喜んでいるし、職場にも報告したし、今さらどうすれば…
そんなふうに“自分の気持ち”を押し込めていませんか?
でも、どうか忘れないでください。
「進むこと」だけが正解ではない
世の中には「とにかく結婚を進めるべき」という空気があります。
でもそれが、本当にあなたのためになるとは限りません。
「ここまで来たから」「周りをがっかりさせたくないから」──
そうやって自分の心を後回しにした先にあるのは、
納得できない人生のスタートかもしれないのです。
結婚を続けることも、やめることも、
どちらも“選び直せる”選択肢です。
「誰かをがっかりさせるかも」より「自分が納得できるか」
親や上司、友人の期待に応えたい気持ちはとても自然です。
でも、それよりも大切なのは──
**「あなた自身が納得してこの結婚を選んだか?」**ということ。
たとえ一時的に誰かを驚かせたり、困らせたりしても、
あなたが「本音を言えた」と思える方が、
長い目で見て、関係を誠実に築いていける道になるはずです。
言い出す勇気は、未来を変える第一歩
「やめたい」と声に出すのは、簡単なことではありません。
けれどそれは、逃げでも裏切りでもなく、
**“自分の人生に責任を持つ勇気”**です。
そして、その一歩は──
未来のあなたが「あのときちゃんと向き合えてよかった」と
心から思えるきっかけになります。
最後に
どんな選択をしても、あなたは間違っていません。
苦しい気持ちを「誰にも言えないまま」にしないで、
少しずつでも“自分の気持ち”に光を当ててあげてください。
あなたの人生は、あなたのものです。
「納得できる選択」は、必ずあなたを守ってくれます。
コメント