【相談】婚約破棄を考えるのは“逃げ”でしょうか?
【相談者の声】婚約破棄を考えてしまう自分が情けない…
「結婚式の日取りも決まって、両親や友人もすごく喜んでくれているのに、なぜか心の中にずっとモヤモヤが残っていて…。相手に特別な不満があるわけではないのに、ふと“本当にこの人でいいの?”と考えてしまう自分が情けないんです。」
これは、30代前半の会社員・美沙さん(仮名)からのご相談です。
3年の交際を経て、穏やかで誠実な彼と婚約。順調に結婚準備を進めている中で、周囲からの祝福ムードが高まるほど、自分だけが取り残されているような気持ちになっていったといいます。
親にも友人にも祝福されたけど、心がついてこない
婚約を報告したとき、両親は涙を浮かべて喜び、友人たちも「ついにだね!」「うまくいってよかった!」と祝福の言葉をくれました。でも、美沙さんの心はどこか浮かないまま。「嬉しいはずなのに、心の底から喜べない自分が怖くて…」と語ります。
「相手は悪くないのに…」と罪悪感ばかりが募る
相手の男性は優しくて誠実で、浮気や金銭トラブルなども一切ありません。「私なんかにはもったいないくらい」と思うほどなのに、それでも“何かが違う”という直感が拭えない──その感情に罪悪感を抱き続けているそうです。
「逃げたいだけなのかも」と自分を責めてしまう
「もしかして、私が結婚という現実から逃げようとしてるだけなのかも」と、自分の心を疑い始めるようになった美沙さん。周りの期待、親の笑顔、彼のまっすぐな想い。すべてに応えたいと思うからこそ、気づけば“自分の気持ち”を置き去りにしていたのかもしれません。
「婚約破棄=悪いこと」と思ってしまう理由とは?
「婚約を破棄するなんて、無責任なのでは…」
「もう式場も押さえたのに、今さらやめたいなんて言えない…」
そんな葛藤を抱える人は、決して少なくありません。
“婚約破棄”という言葉に、どこか後ろめたさや「逃げ」というイメージを持ってしまうのはなぜなのでしょうか。
その背景には、無意識のうちに私たちの心を縛る3つの要素があることが多いのです。
「期待に応えられない」ことへの強いプレッシャー
婚約は、ふたりだけの問題ではなく、家族や友人、職場など多くの人が関わる“イベント”になります。
「ようやく安心した」「楽しみにしてるね」と周囲から祝福されるほど、「期待に応えなきゃ」という気持ちが膨らみ、自分の気持ちより“役割”を優先してしまうことも。
その結果、「迷っている自分は悪いことをしている気がする」「みんなの期待を裏切ることになる」と感じ、判断が鈍ってしまうのです。
「ここまで来たのに」という“引き返しにくさ”
式場の予約、両家顔合わせ、結婚指輪の準備…。
結婚に向けて進めてきた時間やお金、労力が積み重なるほど、「ここまでやったのに今さら…」という気持ちは強くなります。
これは「サンクコスト効果(埋没費用)」とも呼ばれ、失うものを過大に見積もるあまり、後戻りできないと感じてしまう心理的現象です。
けれど、もっとも大切なのは「これからの人生をどう過ごすか」。
すでにかけた費用や手間を基準にせず、冷静に“未来の自分”を軸に考えることが大切です。
「世間体」や「常識」が自分の感情を縛っていないか?
「婚約破棄なんて恥ずかしい」「親に顔向けできない」「周りに何て思われるか…」
こうした“世間の目”を気にするあまり、自分の本音を見ないようにしてしまうこともあります。
特に女性の場合、「年齢的にも…」「今さら他に出会いは…」という焦りが、「決めたことを変えてはいけない」という思い込みを強化してしまうケースも。
けれど、他人の目や常識は、あなたの人生を最後まで一緒に歩んでくれるわけではありません。
最終的に、幸せを感じられるかどうかを知っているのは、あなた自身なのです。
「逃げたい」と思う気持ちの裏にある本音とは
「このまま結婚してもいいのかな……でも逃げたいだけかも」
そんなふうに感じる自分を責めていませんか?
けれど、“逃げたい”という感情が湧くとき、その裏には必ず理由があります。
一時的な不安なのか、それとも“違和感の蓄積”なのかを見極めることは、あなた自身のこれからを守るためにもとても大切です。
違和感を“我慢”していないか、ふり返る
- 彼の言動にちょっとしたモヤモヤを感じる
- ふたりで過ごす時間に「楽しい」より「疲れる」が勝る
- 「ここが気になる」と言いたくても、口をつぐんでしまう
もしこうしたことが日常的になっているなら、その“違和感”は小さな赤信号かもしれません。
最初は「私が気にしすぎかな」とスルーしていたことでも、結婚後に“蓄積”されてストレスの原因になることは珍しくありません。
我慢して乗り切るよりも、「なぜそう感じるのか」を丁寧に見つめ直すことが大切です。
「結婚してから直せばいい」と思っていないか
「今は気になるけど、結婚すれば変わってくれるかも」
「一緒に暮らせば、もっと歩み寄れるはず」
──そう考える人も少なくありません。
けれど、**結婚は“変化”のきっかけではなく、あくまで“今の関係の延長”**です。
結婚によって状況がよくなるとは限らず、むしろ価値観の違いや我慢していた部分が表面化しやすくなります。
大切なのは、「今の関係性のままでも一緒にいたいと思えるかどうか」。
“期待”ではなく“現実”を見つめたうえで、未来を描く必要があります。
「本音が言えない関係」は、未来にも影響する
婚約者との間で、以下のようなことを言えていないとしたら注意が必要です。
- 自分の不安や違和感
- 「こういうところが気になる」と感じること
- 将来に対する考え方の違い
本音を言うことに「気をつかう」「嫌われそうで怖い」と思ってしまう場合、すでに心のどこかで“無理”をしている可能性があります。
結婚は、「遠慮しながら続ける関係」では長続きしません。
本音を出せる安心感があるかどうかは、今このタイミングで確認しておくべき大切な視点です。
「逃げ」と「立ち止まり」はまったく違うもの
「婚約をやめたいと思うなんて、自分は無責任かも…」
「ここで引いたら、彼を傷つけるだけなんじゃないか」
──そんなふうに、自分を責めてしまっていませんか?
でも、「やめたい」と思う気持ちは、ただの“逃げ”ではありません。
むしろ、それは“今の自分の気持ち”に誠実に向き合おうとしている証拠です。
「やめたい」と思うこと=無責任ではない
世間的には「婚約破棄はよくないこと」というイメージがあります。
でも本当にそうでしょうか?
- 無理をして結婚し、のちに心が離れてしまうこと
- 不満を言えないまま、我慢し続ける日々が始まること
こうした未来のほうが、相手を傷つけ、自分も苦しめる結果になりかねません。
「やめたい」と感じることは、自分の本音を大切にしようとする一つの行動のサイン。
むしろ、勇気ある“見直し”です。
「傷つけたくない」が自分を苦しめていないか
相手を思いやる気持ちが強い人ほど、「どうしたら彼を傷つけずに済むか」と考えます。
けれど、その優しさが自分自身を追い詰める原因になっていないでしょうか?
- 相手のために結婚を決める
- 周囲の期待のために不安を見ないようにする
これでは、自分の気持ちが置き去りになります。
「相手の幸せ」と「自分の幸せ」は、どちらかを犠牲にして成り立つものではありません。
「今ここで悩むこと」が誠実さの証でもある
「今さらやめるなんて…」という気持ちはよくわかります。
でも、本当に無責任な人は、そもそも迷いません。
- 悩んでいるということは、ちゃんと向き合っているからこそ
- 自分の気持ちをごまかさず、納得した選択をしたいと思っているからこそ
だからこそ、「立ち止まる」という選択は、**責任逃れではなく“誠実な態度”**なのです。
婚約破棄は“後悔”ではなく“選び直し”かもしれない
「ここまで来てやめたら、後悔するかもしれない」
「やっぱりあのとき続けておけば…と悩みそう」
──そう思って、迷いを押し込めていませんか?
でも、婚約を見直すことは「過ち」や「逃げ」ではなく、“選び直す”という新しい選択かもしれません。
今の自分の気持ちに沿った“納得のいく判断”をすることが、未来の自分を守る道でもあります。
「一度決めたから変えられない」は思い込み
婚約というのは、「この人と人生を共にしたい」と思った“当時の気持ち”を形にしたもの。
けれど、人の気持ちは変化します。環境も変わります。
- 気づかないうちに「我慢」が積み重なっていく
- 一緒にいる時間が増えるほど、価値観のズレが見えてくる
こうした変化に向き合うことは、“過去の自分を否定する”ことではなく、今の自分を大切にすること。
何かを決めたあとでも、見直しはいつだって可能です。
「この人と一生」を冷静に考え直すことは悪くない
「情があるし、やっぱり彼はいい人だし…」
そう思っても、「この人と“人生を一緒に歩む”という覚悟」が持てないなら、一度立ち止まるのも大切です。
結婚は、“今の関係がよいか”だけではなく、
- 一緒に歳を重ねられるか
- 困難なときに支え合えるか
- 自分らしくいられるか
…といった視点で「未来」を見据えて選ぶべきもの。
“今感じている不安”を見過ごして進んでしまう方が、あとから後悔が大きくなることもあります。
選び直すことが、あなたも相手も大切にする道
「婚約破棄をしたら、彼を傷つける」
そう思って躊躇するのは当然です。でも、そのまま進んで、
- 心が離れていったり
- 本音を伝えられなかったり
そんな未来のほうが、お互いをもっと深く傷つけることになりかねません。
あなたが“本心から納得していない”と気づいたなら、
それは「選び直しのサイン」。
- 自分のために
- そして相手を大切にするためにも
勇気を出して「一度立ち止まる」選択も、尊い行動なのです。
【整理ワーク】本当に「逃げたい」のか、見極める3つの質問
「逃げたいだけなのかも」
「これってただの不安…?」
──迷いの中にいると、自分の気持ちが見えにくくなるものです。
でも、“逃げ”と“立ち止まり”はまったく別のもの。
ここでは、あなたの心の奥を整理するための【3つの問い】をご用意しました。
答えは書き出してみると、少しずつ輪郭を持って見えてくるかもしれません。
1|相手と過ごす日々に「安心感」はあるか?
- 無言の時間も、落ち着いていられるか
- 困ったとき、自然に助けを求められるか
- 感情を出しても「受け止めてもらえる」という感覚があるか
結婚生活で大切なのは、「一緒にいるときの安心感」。
刺激やときめきより、心が穏やかでいられるかが、長い人生ではずっと重要になります。
もし「どこか緊張してしまう」「本音を出すのが怖い」と感じるなら、それは見過ごせない“心のサイン”かもしれません。
2|自分の気持ちを“後回し”にしていないか?
- 相手や親の期待に応えることを優先していないか?
- 「嫌だな」と思った気持ちにフタをしていないか?
- 「でも、ここでやめたら迷惑をかける」と遠慮していないか?
人は無意識のうちに、「周囲の期待に応えなければ」と思ってしまいがちです。
でも、あなたの人生は、あなたが“納得”して選ぶことが一番大切です。
“自分の気持ちを大切にしていい”と許可を出してあげましょう。
3|今、この結婚に「納得」できているか?
- 「よかった」と思える理由は何ですか?
- 「ちょっと違うかも…」と思う瞬間はありますか?
- 不安や違和感を誰かに話せていますか?
結婚は「正解」を選ぶことではなく、“納得して決めた”と思えるかどうかがポイントです。
たとえ迷いがあっても、自分で納得できたなら、どんな結果も「よかった」と思える未来につながります。
逆に「納得していないまま進めてしまう」と、あとで自分を責めたり、相手への不満が募ったりすることも。
まずは、自分に「答える時間」をあげてみて
ここで紹介した3つの問いに、
✔ はい
✔ いいえ
✔ わからない
といった形でも構いません。
完璧な答えを出す必要はありません。
でも、こうして「立ち止まって、自分に問いかける」時間を持つこと自体が、すでに大切な一歩です。
【まとめ】「逃げ」ではなく「自分の気持ちと向き合う」決断を
結婚を目前にして、「やっぱりやめたほうがいいかもしれない」と思うのは、決して“弱さ”や“無責任さ”ではありません。
むしろそれは、
「自分の人生をちゃんと考えている」ことの証拠です。
「逃げたい」と思うその感情の裏には、
「このままで本当にいいの?」という、あなた自身の声が確かに存在しています。
「やめたくなる自分」は弱さではない
- 誰だって不安になることはある
- 「完璧に愛していなきゃ結婚できない」なんてルールはない
- 心の揺れは、真剣に考えているからこそ起きるもの
「こんなふうに迷う自分はダメなんじゃないか」と責める必要はありません。
揺れる気持ちを感じ取れるのは、あなたが誠実だからこそです。
「自分の声を信じる勇気」が人生を守る
他人の期待、親の気持ち、周囲の空気──
どれも無視できないものかもしれません。
でも、**あなたが人生を共にするのは「誰か」ではなく、「自分」**です。
- 不安にフタをして進むより
- 立ち止まって「本当はどうしたいか」を確かめること
それこそが、あなたの未来を守る大切なステップになります。
誰かの期待より、自分の未来を大切にしていい
- 「ここまで来たからやめられない」ではなく
- 「ここまで来たからこそ、選び直してもいい」
結婚も、人生の選択も、“納得できること”が何より大切です。
もし今、少しでも「このままでいいのかな」と感じているのなら、
誰かの期待より、あなた自身の気持ちを優先してください。
迷ったあなたは、ちゃんと自分を見ようとしている人。
どんな選択をしても、あなたの未来はそこから始まっていきます。
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