【相談】親は喜んでるけど…自分の気持ちがついていかない
【相談者の声】「親が喜んでいるのに、なぜか心がモヤモヤする」
祝福ムードのなか、取り残されたような感覚
相談を寄せてくれたのは、31歳の女性・Mさん。
2年間付き合ってきた彼と結婚の話が進み、最近、両家顔合わせを終えたばかりです。両親はとても喜んでくれて、「やっと安心できた」「本当にいい人と出会えてよかったね」と満面の笑顔を見せてくれたそう。
でも――
その喜びとは裏腹に、Mさんの心にはモヤモヤが残っています。
「何も問題があるわけじゃないんです。むしろ“理想の結婚相手”だと思う。でも、周りがどんどん盛り上がるほど、私の気持ちはどこか取り残されたままで…」
祝福されることは嬉しい。
でも、なぜか自分だけが“浮いている”ように感じてしまう――
そんな複雑な感情を抱えている女性は、Mさんだけではありません。
「幸せなはずなのに」と思うほど、焦りが増す
結婚が現実味を帯びてくると、誰しも少なからず不安を感じるもの。
でも、それが「ときめきがない」「何か違う気がする」といった言葉に変わってくると、
「自分はどこかおかしいのかな?」
と不安になる方も少なくありません。
とくに周囲が「幸せそう」「いい結婚だね」と応援してくれていると、
その言葉に自分の気持ちが追いつかないことに焦りや罪悪感を感じてしまうのです。
- 彼のことを好きなはずなのに
- この人となら安心できると思っていたのに
- なぜか、心の奥がざわついてしまう
“幸せなはずの状況”と“ついていかない感情”のギャップは、
「自分の中にある違和感」を置き去りにして進もうとしているサインかもしれません。
「親が望む幸せ=自分の幸せ」じゃないのかもしれない
「親が喜んでくれているのに、私はなぜ迷うのだろう」
そう悩む人は、“親の期待に応えたい”という気持ちが強い人ほど多い傾向があります。
- 昔から「いい子」でいたかった
- 心配をかけたくなかった
- 喜んでもらえることを選んできた
その延長で「親が喜んでいる=正しい選択」と思い込み、
自分の本音に蓋をしてしまっているケースもあります。
けれど、親の幸せと、自分の幸せはイコールではありません。
親はあなたを心から想っているからこそ「いいと思う相手」を喜んでくれている。
でも、最終的に人生をともに歩むのは“あなた自身”です。
だからこそ今、「私はどう感じているか?」を立ち止まって見つめることが、とても大切なのです。
“祝福されているのに迷う自分”はおかしくない
他人の価値観に引っ張られるとき、心が鈍くなる
結婚は「自分と相手の問題」のはずなのに、実際には──
- 両親の期待
- 友人からの祝福
- 周囲の“幸せそう”なイメージ
など、さまざまな価値観や感情が入り込んでくるものです。
自分の気持ちよりも「どう見られるか」「どうあるべきか」を優先しすぎると、
本来は敏感に反応しているはずの“違和感”や“引っかかり”を、無理に無視してしまいがちになります。
他人の物差しをあてすぎると、自分の心の声がどんどん鈍くなるのです。
「周りが正しい」「自分の感じ方は間違っているかもしれない」と思い込んでしまえば、
本当は感じていた“心のサイン”も見失ってしまうかもしれません。
「期待に応えたい気持ち」が自分の声を見えにくくする
「親に安心してほしい」
「みんなが喜んでくれてるから、ちゃんと応えたい」
そんなふうに思えるのは、とても優しい心の持ち主だからこそです。
けれど、“期待に応える”ことばかりを優先しすぎると、自分の本音がどこにあるのか分からなくなることがあります。
たとえば──
- 「断ったらがっかりさせるかも」
- 「今さらやめるなんて言い出せない」
- 「親不孝だと思われたらどうしよう」
そんな思考が心を占めると、自分の“感じている違和感”を後回しにしてしまうのです。
でも本来、結婚とは「親の期待を満たすための選択」ではありません。
“あなたの人生にとっての納得”を大事にするべき選択なのです。
喜ばせたい気持ちと、自分の幸せは切り分けていい
誰かのために何かを決めることは、決して悪いことではありません。
ただし、それが**「自分の幸せと矛盾しているとき」には注意が必要**です。
- 親を喜ばせたい
- 周囲の期待に応えたい
- 祝福ムードを壊したくない
それらの気持ちが強すぎると、自分が何を望んでいたのかが見えなくなってしまう。
でも安心してください。
喜ばせたいという想いと、自分の幸せを大切にすることは、両立できます。
「今はまだ、気持ちが追いつかない」
「ちょっと立ち止まって、自分の心を整理したい」
そうやって時間をとって考えることは、誰かを裏切ることではありません。
むしろ、自分の気持ちと向き合うことは、
結果的に“誰のせいにもせずに選べる未来”をつくる、誠実な行動なのです。
親が喜んでいるのは「あなたを想って」のこと
「あなたが幸せなら私も嬉しい」──親の本音に目を向けて
結婚を考えるとき、親が嬉しそうにしている姿を見ると、
「この人を選んでよかったのかもしれない」と思える瞬間があります。
親の笑顔や「安心したよ」という言葉に救われる人も少なくありません。
でも忘れてはいけないのは──
親が心から願っているのは、「あなたが本当に幸せになること」だということです。
たとえその相手が“親にとって理想的”に見えていたとしても、
もしあなたが心のどこかで迷っていたり、違和感を抱えているなら、
それを押し殺してまで進めてほしいと親が願っているわけではないはずです。
「親の喜び」はあなたの幸せを願ってこそ生まれている。
だからこそ、“あなた自身がどう感じているか”を大切にすることこそが、親の本当の願いに応えることになるのです。
親の理想像が“あなたらしさ”とズレることもある
親が喜んでいる=その人が完璧な結婚相手――
そう思い込みたくなる気持ちは自然です。
でも実際には、親が思い描く「理想の結婚相手像」が、あなた自身の価値観とズレていることも少なくありません。
たとえば:
- 親は「安定した職業の人」を勧めてくる
- 「礼儀正しい」「常識的」といった部分を重視する
- 結婚相手=将来の“家族関係”として見ている
こうした視点は、“親としての立場”からすれば当然の反応とも言えます。
けれど、結婚をするのは親ではなく“あなた自身”。
あなたが求める関係性や価値観が、親世代の「正しさ」とは違っていても、何も間違いではありません。
「親のために選ぶ結婚」は誰の人生か
「親を安心させたい」「反対されたくない」
そんな気持ちが強いあまり、
「この人でいい」と思おうとしている自分がいる
と気づいたとき――
それは、“親のために選ぼうとしている結婚”になってしまっているかもしれません。
でも、結婚生活を送るのはあなた自身。
長い時間をともにする中で、喜びも葛藤も、日常の選択も、すべて自分が背負っていくことになります。
だからこそ、誰かのために選んだ相手ではなく、
「自分で選んだ」と胸を張れる相手であることが大切です。
親の期待や喜びを無視する必要はありません。
けれど、まず優先すべきは、
「自分がどう生きたいか」
「この人とどんな時間を重ねていきたいか」
という“あなたの人生にとっての納得”です。
親の愛情に感謝しながらも、自分の選択に責任と自信を持つことこそが、真の親孝行になるのではないでしょうか。
「気持ちがついてこない」の正体を探ってみる
「ときめきがない」「好きかわからない」はよくある迷い
結婚を意識し始めたときに、
「彼のことが好きなはずなのに…」
「ときめきがなくなった気がする」
「このまま進んでいいのかわからない」
といった迷いが生まれるのは、ごく自然なことです。
とくに、長く付き合っている場合や、家族や周囲に祝福されている状況では、
「ときめき」や「恋愛感情」を改めて感じにくくなることもあります。
これは、あなたの感情が冷めたわけではなく、
「恋愛の熱量」が「関係の安定」へと移行している途中なのかもしれません。
そして、“好きかわからない”という迷いも、
「好きという感情に明確な定義がない」からこそ起きる揺らぎです。
ドキドキや高揚感が薄れても、
穏やかさや信頼に変わっていくことも「愛情」の一つのかたちです。
不安の背景には“責任”や“現実”への戸惑いがある
気持ちが追いつかない理由は、相手への感情そのものだけではなく、
「結婚」という現実的なステージに対するプレッシャーや責任感が影響している場合もあります。
- 「この人と一生を共にするのか」という決断の重み
- 仕事や住む場所、ライフプランといった生活の変化
- 「もう引き返せない」と感じる将来の不安
こうした“人生の節目”に直面したとき、
頭では「順調」とわかっていても、心がブレーキをかけるような感覚になることはよくあるのです。
とくにまじめな人ほど、
「幸せな結婚をしなきゃ」「後悔してはいけない」と自分を追い込み、
本来なら自然に出てくる気持ちまで押し込めてしまう傾向があります。
だからこそ、自分の感情を疑うのではなく、
「この不安は、環境や状況の変化に対する戸惑いかもしれない」と視点を変えてみることが大切です。
頭では「いい人」と思っても、心が納得していない感覚
- 経済的にも安定している
- 優しいし、家族からも好かれている
- ケンカも少なくて、安心できる存在
頭で考えれば“申し分ない相手”。
でも、なぜか気持ちがモヤモヤする。
こうした「理屈ではOKなのに、心が動かない」という状態に戸惑う人はとても多いです。
このギャップの正体は、“理想”と“本音”のズレにあります。
たとえば、
- 安心はできるけど、刺激がなさすぎる
- どこか遠慮がある
- 相手の前で完全には“自分”でいられない
そうした感覚は、明確に言葉にはできなくても、“心の微細な違和感”として現れてくるものです。
その違和感を押し込めて前に進んでも、後々「やっぱり違ったかも」と感じる可能性はゼロではありません。
だからこそ、
「頭ではOKなのに心が反応していない」
という状態を、“まだ考える時間が必要な合図”として受け止めることは、とても大切なのです。
他人の期待ではなく、“自分の納得感”を軸にする
「いい子」でいたい気持ちが選択を縛っていないか
「親をがっかりさせたくない」
「ここまできたのに、今さら迷ってるなんて言えない」
そんな思いに心が支配されてしまうと、自分の本音がどんどん見えなくなってしまいます。
とくに“いい子”として育ってきた人ほど、
- 周囲の期待に応えたい
- 空気を壊したくない
- 「わがまま」と思われたくない
といった気持ちが強く、他人の目や気持ちを優先して決断してしまう傾向があります。
でも、結婚は「正解を選ぶこと」ではなく、
「自分で選んだことに納得できるか」が何よりも大切です。
“いい子”であろうとすることで、自分自身を犠牲にしていないか?
一度、立ち止まって問い直してみてもいいかもしれません。
周囲の祝福を「断ってはいけないもの」と思っていないか
「みんなが祝福してくれてるから、今さらやめるなんて言えない」
「相手のご家族にも申し訳ない」
「指輪も用意してもらってるのに…」
そんなふうに、祝福ムードに流されてしまうのは自然な感情です。
でも、そこにあるのは「自分の幸せ」ではなく、“期待に応える責任感”ではないでしょうか。
祝福されることは、うれしい。
でもそれは**「進まなきゃいけない圧力」ではない**のです。
結婚とは、ふたりの人生のスタートラインに立つこと。
その第一歩を「自分の気持ちを置き去りにして踏み出す」必要はありません。
祝福の言葉に応えることも大事だけれど、
それ以上に、“自分の選択に納得しているか”が、後悔のない未来をつくる鍵になります。
「自分がどうしたいか」を基準にし直すには
「親が喜んでいるから」
「相手は何も悪くないから」
「みんなが応援してくれてるから」
こうした“外側の理由”で進もうとしたとき、
心の中にモヤモヤや違和感が残るのは当然のことです。
いま必要なのは、「どうすべきか」ではなく、
「私は、どうしたいのか」
という問いに立ち返ること。
そのためのヒントとして、以下の問いを自分に投げかけてみてください:
- この先、この人とどんな日常を過ごしたいと思える?
- 不安や違和感を感じたとき、この人には素直に話せる?
- 「幸せだな」と自然に感じる瞬間が、ちゃんとある?
答えは一瞬で出なくても構いません。
でも、こうして「自分の気持ち」に立ち返ることで、
少しずつ“自分軸”が取り戻されていきます。
誰かの期待に応えるための結婚ではなく、自分自身が納得できる選択をすること――
それが、人生の土台をつくる最初の一歩になるのです。
【整理ワーク】あなたが“結婚で大切にしたいこと”とは?
結婚を前に「気持ちがついてこない」「なぜか迷いがある」と感じるとき。
それは、“自分にとって大切なもの”がまだ明確になっていないサインかもしれません。
誰かにとっての「正解」ではなく、自分にとって心地よく生きていける選択を見つけるために──
ここでは、3つの問いを通して、あなた自身の「結婚に求めているもの」を整理してみましょう。
理想の夫婦像を言葉にしてみる
「どんな夫婦になりたいか?」という問いは、
結婚に迷ったときこそ、立ち返ってみる価値があります。
たとえば:
- お互いに干渉しすぎず、尊重し合える関係
- 些細なことも笑い合える、穏やかな日常
- 困ったときに支え合える安心感
- 沈黙も居心地よく感じるような空気感
- 人前で取り繕わなくても自然体でいられる相手
こうして**“理想の状態”を言葉にしてみることで、今の相手との関係と照らし合わせやすくなります。**
違うと感じる部分があっても、「何が自分にとって譲れないポイントなのか」が明確になってくるはずです。
「不安」と「違和感」はどう違う?
迷っているとき、頭の中はモヤモヤしていても、
その感情が「不安」なのか「違和感」なのか、自分でも判別がつきにくくなっていることがあります。
- 不安:未来への予測がつかず、怖さや心配が先に立つ状態
(例:「本当にやっていけるかな」「結婚生活ってどんな感じだろう…」) - 違和感:現時点ですでに“しっくりこない”感覚がある状態
(例:「なぜか話していても距離を感じる」「気持ちを言えない空気がある」)
この2つは、似ているようで大きく異なります。
不安は“知れば乗り越えられる”ことが多いですが、
違和感は“感覚としての警報”であることが多く、無理に押し込めると後々後悔につながる可能性もあります。
自分が抱いているのは“未来への漠然とした不安”なのか、
それとも“今この関係に対する感情的な違和感”なのか。
静かな場所で、ぜひ言葉にして整理してみてください。
「この先、自分がどうありたいか」で考える
結婚相手を選ぶことは、
「どんな人と一緒にいるか」だけでなく、
「その人と一緒にいる自分が、どんな自分でいられるか」も含めた選択です。
- 自分の意見をきちんと伝えられる関係か
- 弱い部分も見せられる安心感があるか
- パートナーと一緒にいることで、自分を好きでいられるか
こうした視点で考えることで、
「自分の人生を、どんなふうに築いていきたいか」という方向性が見えてきます。
「この人と結婚することで、私はどんな自分でいられる?」
という問いに、前向きなイメージが湧いてくるかどうか。
それが、今後を決める大切なヒントになるかもしれません。
【まとめ】“親が喜んでいるから”ではなく、“自分が納得できるか”
「喜ばせたい」と「自分の幸せ」を天秤にかけないで
「親がすごく喜んでる」
「この人となら安心できそうだって言ってくれた」
そんなふうに、親や周囲の反応がポジティブであるほど、自分の気持ちのモヤモヤを“わがまま”だと感じてしまうことは少なくありません。
でも、「親を喜ばせたい気持ち」と「自分の幸せを大切にしたい気持ち」は、どちらかを選ばなければいけない“対立するもの”ではありません。
- 親を思いやる気持ちは、十分に伝わっています
- あとは、あなた自身の心に素直になることが、両方を大切にする方法です
「親が喜んでいるから進まなきゃ」と感じたときこそ、
“それは自分にとっても喜ばしい選択か?”という問いを忘れずに持っていてください。
一度立ち止まることは、悪いことじゃない
結婚は、人生の中でも大きな決断です。
「迷っている自分は中途半端?」「もう大人なのに情けない?」――
そんなふうに思ってしまう方もいるかもしれません。
けれど、大事な決断に時間をかけるのは、むしろ誠実な姿勢です。
- 周囲のスピードに合わせる必要はありません
- 祝福ムードを壊すことを恐れなくても大丈夫
- 「わからない」という感情も、大切な“ひとつの答え”です
一度立ち止まって、自分の感情と静かに向き合うことは、
将来後悔しないために必要な“心の確認作業”でもあります。
大切なのは「自分の気持ちに嘘をつかない」こと
この先、誰とどんな人生を歩んでいくか。
それを決めるのは、親でも友人でもなく、あなただけです。
だからこそ、
「納得して選んだ」
「自分で決めた」
という実感を持てることが、最も大切です。
ときには誰かをがっかりさせてしまうかもしれません。
でも、自分の気持ちに嘘をついて選んだ未来は、誰のためにもなりません。
迷ったり、立ち止まったり、時間をかけたりしてもかまいません。
あなた自身が「これでよかった」と思える道を選べば、それが**“あなたにとっての正解”**です。
親の笑顔も大切にしながら、自分の本音も大切にできるように。
そんなふうに、“誰かのため”ではなく“自分の納得”を軸に、人生を選んでいきましょう。
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