【相談】結婚相手に“ときめき”は必要?迷いの正体が分かりません
【相談者の声】“ときめき”を感じない彼と結婚しても大丈夫?
信頼できて優しい。でも「ドキドキ」がない
相談をくれたのは、28歳の会社員・Yさん。
2年付き合っている彼からプロポーズを受け、「結婚を考えなきゃ」という状況にあります。
彼はとても誠実で穏やか、価値観も似ていてケンカもほとんどしない。
でも、Yさんはある不安を抱えています。
「彼のことは大切だし、一緒にいて安心します。でも“ドキドキ”とか“ときめき”は感じないんです…。このまま結婚していいのかなって、正直迷ってます」
信頼できる。優しい。将来を任せられそう。
頭では“いい人”だとわかっているのに、ときめきが感じられないことに引っかかってしまう――
そんな感情のズレに戸惑う方は、実は少なくありません。
周りは「条件のいい彼だね」と言うけれど…
Yさんのように、周囲から「いい彼氏じゃん」「結婚にぴったりなタイプだよ」と言われるほど、
「自分だけが迷ってる?」という気持ちになりやすいものです。
- 彼には何の欠点もない
- 優しくて誠実
- 安定した仕事に就いている
- 家族にも紹介済み
…そんな“理想的なスペック”が揃っていると、迷っている自分のほうが間違っている気がしてしまう。
でも本当は、「条件がいいからOK」という判断では、自分の心のモヤモヤは拭えないのです。
「ときめかない=好きじゃない」なの?
ときめきが感じられない自分に対して、Yさんはこうも話していました。
「恋愛って、もっとドキドキするものじゃないんでしょうか?
それがないってことは、やっぱり私は彼のことを“好きじゃない”んでしょうか…」
この疑問、実は多くの人が一度は抱いたことがあるのではないでしょうか。
確かに、付き合いたての頃は相手の言動に一喜一憂したり、会うたびに高揚したり…
そんな“恋愛っぽさ”を求めたくなる気持ちもあります。
でも、「ドキドキしない=愛してない」とは限らないのです。
恋愛感情は、時間とともに“刺激”から“安定”へと変化していくもの。
その変化の中で、「ときめきがないこと=違和感」だと捉えてしまうと、本当の“愛情の形”を見落としてしまうかもしれません。
そもそも「ときめき」って何?恋愛感情との違いを整理する
「ときめき」は“心が動く刺激”
ときめきとは、「胸が高鳴るような感情」や「非日常的な高揚感」を指すことが多い感覚です。
具体的には──
- 会えるだけで嬉しい
- LINEが来るとドキッとする
- 一緒にいると緊張してしまう
そんな、“予測不能な感情のゆらぎ”がもたらすドキドキ。
これは、恋愛の初期や、まだ相手との距離が不安定なときほど強く感じられるものです。
つまり、ときめきの正体は「好きだから生まれる」というより、
“不確かさ”や“相手への期待”から生まれる刺激とも言えます。
だからこそ、関係が安定していくと自然に薄れていく。
それは“慣れ”や“安心”に変わっただけで、決して「気持ちがなくなった証拠」ではないのです。
「好き」にはいくつもの種類がある
「ときめかない=好きじゃないのでは?」という不安が生まれる背景には、
「好き」にもいくつかの種類があることを知らないまま、ひとつの感覚にとらわれている可能性があります。
心理学や恋愛カウンセリングの分野では、次のような「好きのタイプ」がよく語られます:
- 情熱的な好き(ドキドキ・高揚感・ときめき)
- 信頼の好き(安心・尊重・信頼感)
- 友愛的な好き(癒し・居心地・やさしさ)
つまり、恋愛には「キュンとする気持ち」だけでなく、
相手を受け入れたい・一緒にいたいという“穏やかな愛情”も含まれているのです。
ときめきがなくなったからといって、「愛してない」と結論づけるのは早計。
むしろ、“恋から愛へ”と関係が成熟している段階なのかもしれません。
恋愛感情は、最初の高揚から“安定”へと変わるもの
恋愛の感情は、出会ったばかりの頃はジェットコースターのように心が揺れ動きます。
でも、それがずっと続くわけではありません。
人は慣れる生き物です。
どんなに魅力的に感じていた相手でも、日常のなかに溶け込んでいくと、ドキドキが落ち着いてくるのは当然のことです。
大切なのは、「高揚がなくなったこと=終わり」と捉えるのではなく、
そこからどう“安定した愛”へ移行していくかを受け入れられるかどうか。
- 信頼できる
- 話しやすい
- 無理せず一緒にいられる
こうした関係性に変わったことこそが、ふたりの絆が育っているサインとも言えるのです。
結婚に「恋愛のドキドキ」を求めすぎると起きること
刺激を追い続けると“慣れ”で迷いが生まれやすい
恋愛において「ドキドキ」や「ときめき」は、確かに魅力的な感情です。
でもその感覚にこだわりすぎると、関係が深まって“慣れ”が生まれたとき、不安や迷いが膨らんでしまうことがあります。
- 会っても心が動かなくなった気がする
- 連絡の頻度が減って「前ほど好きじゃないかも」と思ってしまう
- 他のカップルのラブラブな様子を見て、自分たちは冷めているのでは?と感じる
これらはすべて、“刺激を基準に気持ちを測ろうとしたときに起こる揺らぎ”です。
ドキドキは時間とともに自然に薄れていくもの。
それなのに、「まだ感じられないのはおかしい」と思ってしまうと、本来あるはずの“安定”や“信頼”さえも見失いやすくなります。
「結婚=恋愛の延長線」と思いすぎる落とし穴
恋愛の延長で結婚する――それ自体は自然な流れです。
けれど、「恋愛と同じ感情を、結婚後もずっと持ち続けられるはず」と思ってしまうと、理想と現実のギャップに苦しむことがあります。
恋愛は「非日常」。
結婚は「日常」。
この性質の違いを理解せずに、恋愛の延長としてだけ結婚を捉えてしまうと──
- 「最近デートしてない=愛情が薄れた?」
- 「記念日を忘れられてショック=大事にされていない?」
- 「ドキドキしない日々=失敗だった?」
と、日常にある些細なすれ違いさえ“大問題”のように見えてしまうのです。
大切なのは、恋愛と結婚は“感情の継続”ではなく、関係のかたちが変化するプロセスであるということ。
結婚は、“好き”だけでは乗り越えられない場面も多いからこそ、「一緒にやっていけるか」が問われるのです。
「冷静に選んだ相手」を信じられなくなるジレンマ
ドキドキよりも「信頼」「安心感」「将来性」といった“冷静な視点”で選んだ相手なのに、
ときめきが足りないことに気づくと、逆に「私、妥協しちゃったのかな?」と不安になる人も少なくありません。
- 条件で選んだ気がする
- ドキドキしないのに結婚を考えている自分に自信が持てない
- 「好き」より「安定」が勝ってしまっている気がして苦しい
このジレンマの正体は、「恋愛はもっと感情的なものじゃないといけない」という思い込みです。
でも実際には、“冷静さを持って相手を選べた”というのは、むしろ強さでもあるのです。
- 大きなケンカがない
- 相手に感情を振り回されない
- 日常が穏やかに進んでいく
それは、感情の勢いに任せて選んだ恋愛では得にくい価値。
「ときめきがない」ことを不安に思う前に、その人との関係がどれほど“穏やかな安心”に満ちているかを見つめてみると、迷いの意味が少し変わってくるかもしれません。
ときめきよりも見落としがちな「結婚に必要な感情」とは?
一緒にいて「自分らしくいられる」安心感
恋愛における“ときめき”は、しばしば「背伸び」や「期待」によって生まれます。
相手によく見られたい、嫌われたくない、喜ばせたい――
そんな気持ちは確かに恋愛の魅力の一部ですが、長く一緒に生きていく相手との関係においては、時に負担になることもあります。
一方で、「一緒にいるとき、自然体でいられる」「気を使いすぎず、自分らしくいられる」
そんな関係性には、**ときめきとは別の“深い安心感”**が根付いています。
自分らしさを保ったままそばにいられる相手とは、
緊張感のない穏やかな日常を築くことができます。
そしてこの安心感は、人生を共にするうえで最も大切な土台になり得るのです。
「信頼」「尊敬」「心の落ち着き」がつくる基盤
結婚は「生活」です。
恋愛のようなドキドキやイベントが続くわけではありません。
むしろ、日々の積み重ねの中で求められるのは――
- 相手に対する信頼
- お互いを思いやる尊敬
- 話さなくても伝わるような安心感と落ち着き
これらの感情は、一朝一夕には生まれません。
時間と経験を通じて育っていくものです。
特に「尊敬」は、恋愛の中では見落とされがちですが、
相手を“人として尊重できるかどうか”は、長い結婚生活で非常に重要な要素となります。
ドキドキする瞬間が少なくても、
「この人となら、何が起きても一緒に乗り越えていけそう」と思える感覚。
それこそが、結婚生活においてもっとも頼れる感情かもしれません。
結婚生活は“穏やかさ”を育てていく営み
「恋愛のピーク」が“熱量の高さ”だとしたら、
「結婚の安定期」は“穏やかさ”や“日常の信頼感”に近いと言えるかもしれません。
派手なイベントや強い感情ではなく、
- 毎朝の「おはよう」が自然に言える
- 体調が悪いときにさっと支えてくれる
- 沈黙が心地よく感じられる
そういった何気ない日々のやりとりの中に、結婚生活の本質があります。
そしてその穏やかさは、
「ときめきがないことに不安を感じていた自分」に、あとから静かに答えをくれることもあるのです。
恋愛の延長ではなく、**ふたりで一緒に“育てていく感情”**としての穏やかさ。
それを大切にできたとき、結婚はより自分らしく心地よいものに変わっていくのではないでしょうか。
「本当にこの人でいいのか」の不安はどこから来るのか
「正解を選ばなきゃいけない」というプレッシャー
結婚を意識しはじめたとき、多くの人が心のどこかで感じるのが、
「一度きりの人生、大切なパートナー選びで間違えたくない」
という思いです。
- 「この人で本当にいいのかな…」
- 「もっと合う人がいるのでは?」
- 「この気持ちは“迷い”じゃなく“違和感”?」
そんなふうに、“確信”を求めるあまり不安が膨らんでしまうことは珍しくありません。
恋愛には“答え合わせ”ができません。
試験のように正解があるわけでも、他人が代わりに保証してくれるものでもない。
だからこそ、選ぶ責任がすべて自分に委ねられることが、心の重さ=迷いにつながっていくのです。
SNSや他人の結婚と比べてしまう心理
誰かの結婚報告、プロポーズ動画、仲良さそうな夫婦の日常――
SNSを見ていると、「あの人はあんなに幸せそうなのに」「私はどうしてこんなに迷ってるんだろう」と、
無意識の比較が心の中に入り込んでくることがあります。
また、友人から「プロポーズのとき泣いちゃった!」なんて聞けば、
「私はそこまで感動しなかった…おかしいのかな?」
と、自分の反応が“普通じゃないのでは”と感じてしまうことも。
でも、それぞれの感情や関係性には個人差があって当然です。
SNSや他人の経験はあくまで一側面にすぎません。
それを「理想」としてしまうと、今の自分の感覚や選択を信じられなくなってしまうのです。
将来が見えないことへの“漠然とした怖さ”
恋愛の段階では「好き」で突き進めたとしても、
結婚となると──「この人と本当に何十年もやっていける?」という、
未来に対する不確かさが大きな不安として立ちはだかります。
- 相手が変わってしまったらどうしよう
- 結婚生活が想像と違ったら?
- 幸せだと思っていたのに、数年後に後悔するかも…
こうした迷いの多くは、現実に問題があるというより、“未来に対するコントロールのなさ”から来る恐れです。
どんな相手を選んでも、どんなに愛し合っていても、
未来が100%見えることはありません。
だからこそ、確信を得ることよりも大事なのは──
「この人となら、迷いながらでも一緒に考えていけるか」
「不安も含めて共有し合える関係か」
という視点です。
迷いがあること自体は、悪いことでも未熟さでもなく、真剣に向き合っている証。
そこに目を向けることで、不安の“形”が少しずつ輪郭を持ちはじめるかもしれません。
【整理ワーク】あなたが「結婚に求めているもの」は何?
これまで、「ときめき」と「安心感」、そして結婚に必要な感情について見てきました。
それでも、「何が正しいのかわからない」「まだモヤモヤが残っている」――
そんなときは、頭の中の想いや価値観を“言葉にする”ことがヒントになります。
ここでは、3つの視点から自分の結婚観を整理するためのワークをご紹介します。
紙に書き出してみたり、スマホのメモに残してみたりするだけでも、
自分の気持ちが少しずつ“見えるかたち”になってくるはずです。
理想のパートナー像を言語化してみる
まずは、「理想のパートナーって、どんな人?」という問いに向き合ってみましょう。
ポイントは、“表面的な条件”ではなく、一緒にいるときの感覚や関係性の質に注目することです。
たとえば:
- 緊張せず自然体でいられる人
- 尊重し合える関係を築ける人
- 意見が違っても対話ができる人
- 自分の成長を応援してくれる人
- 不安なときに寄り添ってくれる人
思いつくままに書き出していくと、「自分が結婚に求めているもの」の輪郭が見えてきます。
そして今の相手との関係に、それがどれだけ含まれているかを見つめ直してみると、
“足りない”と思っていた部分が、実は十分に満たされていたことに気づけるかもしれません。
過去の恋愛で「うまくいかなかった理由」は?
次に、過去の恋愛を振り返ってみましょう。
辛かった恋、後悔が残った恋、いい思い出だけど続かなかった恋――
そこにあった出来事を思い出すことは、「自分が何を大切にしたいか」を知るヒントになります。
たとえば:
- 相手に依存しすぎて自分を見失った
- 愛情はあったけど、価値観が合わなかった
- ときめきはあったけど、不安が多かった
- 周囲の目を気にしすぎて、自分の気持ちを後回しにした
こうした経験を思い返すと、「今回は同じことを繰り返したくない」という気づきが得られます。
それはつまり、“結婚において譲れないこと”を浮き彫りにしてくれる視点なのです。
「この先どうなりたいか」に立ち返る
最後に、未来に目を向けてみましょう。
「どんな生活を送りたい?」「どんな心の状態でいたい?」
ここでは“パートナーありき”ではなく、“自分軸”で理想の人生像を描くことが大切です。
たとえば:
- 安心できる居場所がほしい
- 自分の時間やキャリアも大切にしたい
- 家族を持ちたいけど、対等な関係でいたい
- 静かな毎日でも、お互いを尊重し合いたい
この「なりたい自分」に今の相手といることで近づけそうか?
それが「結婚していいのか」を判断する一つの軸になります。
「ときめくかどうか」ではなく、
**“この先の人生で、どんな関係を育てていきたいか”**という視点で考えることで、
迷いの中にも、自分なりの“確信”を見出せるようになるかもしれません。
【まとめ】ときめきがなくても“幸せな結婚”はできる?
「恋愛として好き」より「人生を共にできるか」
“ときめき”は恋愛の大事な要素のひとつですが、それだけが「結婚に必要な感情」ではありません。
- 恋愛として好きか
- ドキドキするか
- 会った瞬間の高揚があるか
そうした感情も大切ですが、結婚とは「生活をともにすること」「人生を共有すること」。
そのためには、
- 意見の違いを話し合えるか
- 相手の弱さも受け入れられるか
- 日常を安心して過ごせるか
といった、“一緒に生きていく力”のほうが、長く幸せに続く関係には不可欠です。
「恋愛としてときめくか」ではなく、
**「この人となら穏やかに人生を歩んでいけそうか」**という視点に立ったとき、
今の関係にある価値がはっきりと見えてくるかもしれません。
不安になるのは、ちゃんと向き合っている証拠
「彼のことは嫌いじゃない、むしろ一緒にいてラク。だけどときめきがない…」
そんなふうに迷う自分に対して、
「私っておかしいのかな?」「どうして素直に喜べないんだろう」と自信をなくす方もいます。
けれど、**その迷いこそが“真剣に向き合っている証拠”**です。
- ちゃんと納得して結婚したい
- 妥協ではなく、自分の心を大切にしたい
- 後悔しないように、きちんと考えたい
そうやって、自分と向き合っているからこそ、迷いが出てくるのはむしろ自然なこと。
だから、焦らなくて大丈夫です。
自分の感情を一つひとつ丁寧に見つめることが、
心から納得できる選択につながっていきます。
答えは“納得して選べたか”にある
「ときめきがないからやめておく」
「安心できるから進んでみよう」
どちらの選択も、正解も不正解もありません。
大切なのは、“自分の価値観”に沿って決めたかどうかです。
- SNSでもない
- 親や友人の意見でもない
- 過去の恋愛の記憶でもない
「今の自分が、どんな未来を選びたいか」
そこに素直に向き合って決めたなら、
たとえ完璧な確信がなかったとしても、その選択はきっと“納得感”のあるものになります。
「ときめきがないけれど、安心できる」
それは何も不足ではありません。
むしろ、幸せな結婚のスタートラインに、もう立っているのかもしれません。
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