60代でセックスレスを受け入れた私の心境

セックスレス・心の距離

60代でセックスレスを受け入れた私の心境

「セックスレスを受け入れる」と決めた理由

60代を迎えると、夫婦の関係は自然と変化していきます。その中で「セックスレスを受け入れる」という選択をする人も少なくありません。それは「諦め」ではなく、「年齢や状況に合わせて関係性を見直す」という前向きな決断でもあります。ここでは、その理由を具体的に整理します。


加齢による体力や気力の変化

年齢を重ねると、体力や気力はどうしても衰えていきます。20代や30代のような情熱や頻度を維持するのは難しくなり、自然とセックスの回数が減っていきます。
特に60代になると、「疲れが取れにくい」「夜は早く休みたい」と感じる場面が増え、無理に関係を持とうとすること自体が負担になってしまうことも。そうした状況を踏まえ、「自然な流れとして受け入れよう」と考えるようになります。


お互いの健康や持病の影響

高血圧や糖尿病、更年期症状など、健康や持病の影響も大きな要因です。薬の副作用や体調の波によって、性への関心が薄れたり、行為自体が難しくなったりするケースもあります。
「無理に続けるよりも、健康を優先したい」という気持ちはごく自然なものです。お互いに体の状態を理解し合い、「できないことを責めない」関係を築くことが、夫婦の安心感につながります。


スキンシップの形が変わってきた

セックスレスを受け入れたからといって、愛情がなくなったわけではありません。むしろ「手をつなぐ」「肩をもむ」「会話をする」など、性以外のスキンシップに重きを置くようになる夫婦も多いです。
「若い頃と同じ形でなくても、私たちなりの愛情表現で十分」という考え方は、心の負担を減らし、夫婦のつながりを保つ助けになります。性の形にこだわらず、愛情をどう伝えるかを重視することで、新しい夫婦の在り方が見えてくるのです。


受け入れるまでに感じた葛藤

「セックスレスを受け入れる」と決めるまでには、多くの揺れや葛藤があります。頭では理解していても、心が納得するまでには時間がかかるものです。ここでは、その過程で多くの人が抱いた気持ちを整理します。


「拒絶された気がする」寂しさ

最初に強く感じるのは「相手に拒絶されたのでは」という寂しさです。夫から求められなくなったり、自分が応えられなかったりするたびに、「愛されていないのでは」と不安になる人もいます。
長年連れ添った相手だからこそ、心の距離まで離れてしまうのではないかという恐れが大きくなります。セックスレスそのものよりも、「拒絶された気持ち」の方が心を苦しめることが多いのです。


「夫婦としてこれでいいのか」という不安

「セックスがない夫婦は本当に成り立つのか」という不安も、多くの人が抱く葛藤です。結婚生活の中で「夫婦=性的な関係があるもの」という考えが根強いため、それを手放すことに戸惑いを感じるのは自然なことです。
「形だけの夫婦になってしまうのでは」「このまま冷め切ってしまうのでは」といった思いは、受け入れるまでの大きな壁となります。


世間の価値観とのギャップ

世間では「夫婦生活があることが普通」とされる価値観が今なお根強くあります。そのため、自分たちの現実とのギャップに悩む人も少なくありません。
「友人には相談できない」「話すと恥ずかしい」という思いから、孤独感を抱え込むこともあります。実際には多くの夫婦が同じ悩みを経験しているにもかかわらず、語りにくさが葛藤を深めてしまうのです。


同世代の調査データから見る現実

調査では、60代夫婦のおよそ半数以上が「セックスレス状態にある」と回答しています。さらに「特に不満はない」と答えた人も多く、年齢とともに夫婦関係の在り方が変化していく現実が浮き彫りになっています。
このデータは「自分たちだけが特別ではない」と理解する助けになります。世間の価値観にとらわれすぎず、同世代の実態を知ることで心が少し軽くなるのです。


受け入れてから訪れた心境の変化

「セックスレスを受け入れる」という決断は、最初こそ不安や寂しさを伴いますが、乗り越えた先には意外な心境の変化が待っていました。ここでは、実際に受け入れてから多くの人が感じた変化を紹介します。


心が軽くなり夫婦関係が楽になった

「しなければならない」というプレッシャーがなくなることで、心が驚くほど軽くなります。以前は「応えなきゃ」「断られたらどうしよう」と気を使う時間が多かったのに、その重荷から解放されたのです。
無理をしなくなったことで、夫婦の間に余計な緊張感がなくなり、むしろ関係が自然で楽になったという声は少なくありません。


「無理をしなくていい」と思える安心感

年齢や体調の変化によって、以前のように関係を持つことが難しくなるのは自然なことです。それを「できない自分が悪い」と感じる必要はありません。
「無理をしなくてもいい」と思えるようになったとき、夫婦に安心感が生まれます。性に縛られない関係は、相手をより尊重できる土台となり、信頼を深めるきっかけにもなります。


性以外のつながりを見つけられた

セックスレスを受け入れることで、夫婦の愛情表現は別の形へと広がっていきます。手をつなぐ、肩をもむ、一緒に散歩をする、旅行を楽しむ…。こうした日常のスキンシップや共通の体験が、性に代わるつながりを築いていきます。
「夫婦の関係は性だけではない」と実感することで、むしろ心の距離は縮まり、穏やかで温かい時間を共有できるようになります。


【体験談】60代でセックスレスを受け入れた人たちの声

セックスレスを受け入れる過程は人それぞれですが、その先にある夫婦の形には共通する安心感や新しい発見があります。ここでは、実際に60代でセックスレスを受け入れた人たちの体験談を紹介します。


「一緒にいるだけで十分」と思えた女性

ある60代の女性は、最初こそ「夫に求められないのは寂しい」と感じていました。しかし時が経つにつれて、「隣で一緒に過ごしてくれるだけで心が満たされる」と気づいたそうです。
「一緒にテレビを見たり、買い物に出かけたりする時間が何より大切」と語り、性の有無よりも「共にいる安心感」が大きな意味を持つと実感しています。


「夫婦の会話が増えて心が近づいた」男性

一方で、60代男性の体験談では「セックスへのこだわりを手放してから会話が増えた」との声があります。以前は「夫婦の関係を保つには性が必要だ」と考えていましたが、無理に求めることをやめてから、気軽に会話できる雰囲気が戻ったといいます。
「一緒に食事を楽しむだけで心が満たされる」と語り、夫婦の関係がより自然で温かいものになったと実感しているそうです。


「友人関係のような夫婦になった」経験談

別の夫婦は「夫婦でありながら、まるで親友のような関係になれた」と話します。性を伴わない分、趣味や会話を共有する時間が増え、「夫婦というより友人に近い関係」が心地よいと感じるようになったのです。
「恋人のようなときめきは減ったけれど、安心して隣にいられる関係が続いていることが幸せ」と語り、セックスレスを受け入れることで、むしろ新しい夫婦の形が見えてきたといいます。


セックスレスを受け入れたからこそできること

セックスレスを受け入れた後の夫婦には、新しい形の時間や関係性が広がります。「性がないから終わり」ではなく、「性がないからこそできること」があるのです。ここでは、実際に多くの夫婦が取り入れている工夫を紹介します。


旅行や趣味を共有して楽しむ

セックスレスを受け入れると、夫婦の関心が「身体のつながり」から「時間の共有」へと移っていきます。旅行や趣味を一緒に楽しむことで、夫婦関係に新しい彩りが生まれます。
「若い頃に行けなかった場所に出かける」「二人でガーデニングやウォーキングを始める」といった活動は、会話を増やし、絆を深めるきっかけになります。共通の楽しみを持つことは、夫婦にとって大きな心の支えになります。


健康を第一に考える生活にシフトする

60代以降の夫婦にとって、何より大切なのは「健康」です。セックスレスを受け入れた後は、無理をせず体調や生活習慣を整えることに目を向けやすくなります。
一緒にウォーキングをしたり、バランスの取れた食事を工夫したりすることは、単なる健康維持にとどまらず「夫婦で同じ目標を持つ」ことにもつながります。健康を優先する生活は、夫婦の安心感を支える基盤になります。


手をつなぐ・会話を増やすなど別の愛情表現

セックスがなくなっても、愛情表現は失われません。むしろ「手をつなぐ」「会話を増やす」「感謝を言葉にする」といった行動が、より重要になります。
身体的な関係よりも「心の距離」を近づける工夫が、夫婦の絆を深めていきます。日常の中での小さなやりとりが、夫婦の安心感を確かに育てていくのです。


実際に役立ったスキンシップの工夫

工夫の内容効果
散歩中に手をつなぐ自然に会話が増え、安心感を共有できる
毎日「ありがとう」を言う相手を尊重している気持ちが伝わりやすい
就寝前に一言会話をする1日の終わりに心がつながる感覚が得られる
肩もみ・マッサージ身体のケアを通じて優しさを実感できる

このような小さなスキンシップは、セックスレス後の夫婦関係を温かく保つために大いに役立ちます。


セックスレスを否定しない考え方

セックスレスは「夫婦の関係が破綻している証」ではありません。むしろ、年齢や環境に応じて関係性を柔軟に変えていく自然な流れといえます。ここでは、セックスレスを否定せずに前向きに捉えるための考え方を整理します。


「夫婦の形は一つではない」と理解する

世間には「夫婦=性のある関係」という固定観念が根強くありますが、実際の夫婦の在り方は多様です。ある夫婦は共通の趣味でつながり、またある夫婦は同じ空間にいる安心感を大切にしています。
「夫婦の形は一つではない」と理解することは、セックスレスを否定せず受け入れるための第一歩です。他人の価値観に縛られる必要はなく、自分たちなりの関係を育てていくことが大切です。


年齢に応じた関係性を築くことの大切さ

若い頃と同じような関係を無理に続ける必要はありません。年齢を重ねるにつれて、体力や気力、生活リズムは自然に変わっていきます。
その変化を否定するのではなく、「今の自分たちに合った関係」を築いていくことが大切です。例えば、一緒に散歩する、健康を気遣い合うといった関わり方も立派な愛情表現です。年齢に応じた関係性は、夫婦に無理のない安心感をもたらします。


お互いを尊重することが愛情の証

セックスレスを受け入れた夫婦にとって、何より大切なのは「相手を尊重する気持ち」です。相手の体調や気持ちを理解し、「無理をさせない」「できないことを責めない」姿勢こそが、深い愛情の証といえるでしょう。
「してほしい」ではなく「一緒にいてくれてありがとう」と考えることができれば、夫婦の関係はむしろ穏やかに、そして温かく続いていきます。


まとめ|“性”がすべてではない夫婦の幸せ

セックスレスを受け入れることは、決して夫婦関係の終わりを意味しません。むしろ、年齢や環境の変化を受け入れながら、新しい形の愛情や絆を育んでいくチャンスともいえます。ここでは、その幸せのかたちを改めて整理します。


セックスレスも自然な変化の一部

加齢や体調の変化に伴って性のあり方が変わるのは、誰にでも起こる自然なことです。セックスレスを「異常」や「失敗」ととらえる必要はありません。
むしろ「これまで頑張ってきた証」「ここから新しい夫婦の形に移るサイン」と受け止めることで、前向きな心境に変わっていきます。


愛情は言葉や態度で表せる

夫婦の愛情は、性だけで成り立つものではありません。「ありがとう」と伝えること、肩をたたいて労うこと、一緒に散歩すること…。そうした日常の小さな言動の積み重ねが、確かな愛情表現になります。
性がなくても「大切にされている」と感じられる瞬間は作れるのです。愛情のかたちは多様であり、言葉や態度にこそ夫婦の真実が表れます。


60代から始まる新しい夫婦の在り方

セックスレスを受け入れたからこそ、夫婦は新しい関係を築けます。共通の趣味を楽しんだり、健康を気遣い合ったり、友人のような距離感で過ごすなど、その形は自由です。
「性がすべてではない」と割り切ることで、むしろ夫婦の安心感や信頼は強まります。60代は「終わり」ではなく「新しい夫婦の在り方を始める時期」。そこから広がる日々は、これまで以上に温かく豊かなものになるでしょう。

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