育児がしんどいときに読む、“自分を責めない”ための考え方

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育児がしんどいときに読む、“自分を責めない”ための考え方

「育児がしんどい」と感じるのは自然なこと

子どもを育てることは、喜びや充実感を与えてくれる一方で、心身に大きな負担をもたらすものでもあります。世間では「子どもは可愛い」「育児は幸せな経験」といったイメージが強調されがちですが、その裏で「しんどい」「つらい」と感じる瞬間は誰にでもあります。これは決して特別なことではなく、自然な感情です。

育児の大変さを理解しづらい環境にいると、「しんどいと思うなんて自分は親失格なのでは」と不安になる人も少なくありません。しかし、その気持ちは多くの親が抱えているものです。ここでは、なぜ育児がしんどく感じられるのかを3つの観点から整理していきましょう。


理想と現実のギャップに疲れるとき

多くの親が「理想の子育て像」を思い描いて育児を始めます。常に笑顔で、子どもの気持ちを理解し、愛情深く接したい──そんな親でありたいと願う気持ちは自然なものです。

しかし現実は、夜泣きで眠れない日々、家事と育児の両立、思い通りにいかない子どもの行動に直面し、「理想通りにできない」自分に落ち込んでしまうこともあります。SNSや育児書で見かける“完璧な育児”と自分を比べてしまうと、そのギャップにさらに疲れてしまうのです。

理想と現実が違うのは当然のこと。それでも「もっと頑張らなきゃ」と思ってしまうからこそ、しんどさが強まります。


子どもの成長や性格による負担感

育児がしんどいと感じる背景には、子どもの成長段階や性格も影響します。例えば乳児期は授乳や夜泣きで睡眠不足になり、幼児期には「イヤイヤ期」の対応で親が消耗します。小学生になると勉強や友人関係のサポートが増え、成長に応じて悩みは形を変えながら続いていきます。

さらに、子どもの性格によってもしんどさは変わります。活発で目が離せない子、繊細で気持ちのケアが必要な子──どんな子にも個性があり、それに合わせた関わり方が求められます。親は「自分の子どもだから」と当然のように頑張りますが、その分疲労が積み重なりやすいのです。

「子どもの性格や成長に合わせて大変さが変わる」という視点を持つだけでも、「自分が悪いからしんどいのではない」と理解でき、少し気持ちが楽になります。


親自身の体調や環境による影響

育児のしんどさは、子どもだけでなく親自身の体調や生活環境にも左右されます。例えば、睡眠不足や産後の体調不良、ホルモンバランスの乱れなどは、心の余裕を奪います。また、共働きでの時間的制約、ワンオペ育児による孤独感、サポートが得にくい家庭環境も、大きな負担になります。

さらに、親が「自分の時間を持てない」「誰にも相談できない」と感じる状況では、心がどんどん追い込まれていきます。体調や環境が整っていなければ、どんなに愛情深い親でもしんどさを感じるのは当然です。

つまり、「育児がしんどい」と感じるのは親の能力不足ではなく、体や環境の影響も大きいということ。自分を責めるのではなく、「今の状況がそうさせている」と理解することが大切です。


しんどさを「自分のせい」と思ってしまう理由

育児がしんどいとき、多くの親が「私のやり方が悪いのでは」「もっと頑張らなきゃ」と自分を責めてしまいます。しかし、しんどさを感じるのは育児そのものが大変だからであって、決して親の能力不足ではありません。それでも自分を責めてしまうのには、いくつかの心理的背景があります。


「いい親でいなければ」という思い込み

「子どもを愛しているなら、いつも笑顔でいなければ」「どんなときも優しく接するべき」といった“理想の親像”に縛られてしまうと、現実とのギャップに苦しむことになります。

疲れて怒鳴ってしまったり、イライラして子どもに冷たく接してしまったりすると、「こんな私はいい親じゃない」と自己否定につながります。特に真面目で責任感の強い親ほど、この思い込みに陥りやすいのです。

しかし「完璧な親」など存在しません。感情を持つ人間だからこそ、時には疲れたり、失敗したりするのは当然のこと。その自然な姿を否定してしまうことが、自分を責める大きな要因となっています。


周囲と比較してしまう気持ち

SNSや育児本、ママ友との会話などを通じて、他の家庭の子育てと自分を比べてしまうことも、自分を責めてしまう理由の一つです。

「隣の子はもうひらがなが書けるのに、うちの子はまだできない」「あの家庭はいつも笑顔で楽しそうなのに、私はイライラばかり」──こうした比較は、親の心を簡単に追い詰めます。

特に現代は、情報が手軽に入る分だけ「理想の子育て」が目に入りやすい環境です。その中で「自分は劣っている」と感じやすくなり、「私のせいで子どもが遅れているのでは」と不安を抱えてしまうのです。


感情を出せないことで募る罪悪感

「子どもの前で弱音を吐いてはいけない」「夫や家族に迷惑をかけたくない」と思うあまり、感情を抑え込み続けることも、自分を責める原因になります。

本当はつらいのに笑顔を作ったり、イライラを我慢したりすることで、内側にストレスが溜まっていきます。そしてある日爆発してしまったとき、「我慢できなかった自分はダメだ」と強い罪悪感に襲われるのです。

感情を出せない環境は、親をますます孤独にし、「全部自分のせい」と考えてしまう悪循環を招きます。


自分を責め続けることで起こる悪循環

「育児がしんどいのは自分のせい」と思い込むと、一時的には「もっと頑張らなきゃ」と奮い立つこともあるかもしれません。しかし、その状態が長く続くと、心も体も消耗し、逆に育児がよりつらく感じられるようになります。ここでは、自分を責め続けることによって生じる悪循環を3つの側面から見ていきましょう。


自己肯定感の低下と孤独感

自分を責め続けると、「私はダメな親だ」「他の人はうまくできているのに」といった否定的な気持ちが積み重なり、自己肯定感が大きく下がります。

自己肯定感が低下すると、小さな成功や喜びにも気づきにくくなり、さらに「やっぱり私はだめだ」と感じやすくなります。この状態が続けば、親としてだけでなく、一人の人間としての自信も失ってしまいます。

また、「こんな弱音を吐いたら誰にも理解してもらえない」と思い込むことで、周囲に相談できず孤独感を強めてしまうのも特徴です。孤立感が強まるほど、負のループから抜け出すのが難しくなります。


子どもとの関係に影響するリスク

親が自分を責め続けていると、その不安や苛立ちが子どもとの関わりに影響してしまうことがあります。

例えば「ちゃんと育てなきゃ」と焦るあまり、子どもに厳しく接してしまったり、「私のせいで遅れているのでは」と過干渉になってしまったりすることがあります。その結果、子どもはプレッシャーを感じたり、親子の関係にぎこちなさが生まれたりします。

また、親が常に疲れた表情をしていると、子どもは無意識に「自分のせいでお母さん(お父さん)がつらそう」と感じてしまうこともあります。これは子どもの自己肯定感にも影響しかねないため、注意が必要です。


夫婦関係や家庭全体の不安定さ

自分を責めて心に余裕がなくなると、夫婦関係や家庭全体にも影響が広がります。例えば、夫に対して「全然分かってくれない」と感情的になりやすくなったり、逆に気持ちを抑え込んで会話が減ってしまったりすることがあります。

夫婦間の緊張感は子どもにも伝わり、家庭全体の雰囲気が不安定になります。家庭は本来、安心できる場所であるはずですが、親が自分を責め続けていると、その安心感が損なわれてしまうのです。

「自分を責めること」は一見自分の中だけの問題のように思えても、実際には家族全体に影響を及ぼすリスクを持っています。だからこそ、悪循環を断ち切るために「責めない」考え方を持つことが大切なのです。


「自分を責めない」ための考え方

育児のつらさを「自分のせい」と捉えると、心はどんどん疲弊してしまいます。しかし、育児がしんどいと感じるのは誰にでもある自然なことであり、それ自体は決して「親として失格」ではありません。ここでは、日常の中で実践できる“自分を責めないための考え方”を3つの視点から紹介します。


「できていること」に目を向ける

私たちはどうしても「できていないこと」にばかり目を向けがちです。今日もイライラしてしまった、子どもの要求に応えきれなかった──そんな失敗ばかりを心に刻んでしまいます。

しかし、冷静に振り返ると「子どもにご飯を食べさせた」「学校や園に送り出せた」「今日も一緒に笑った瞬間があった」など、できていることは必ずあります。小さなことでも、それは立派な育児の積み重ねです。

「今日もちゃんとやれていた」と意識的に認めることで、自分を責める思考から少しずつ抜け出せます。


「完璧な親」は存在しないと理解する

「いい親でなければ」と思い込むほど、自分に厳しくなりがちです。しかし、どんなに努力しても、怒ることもあれば失敗することもある。それが人間として当然の姿です。

子どもにとって必要なのは“完璧な親”ではなく、“安心できる親”です。多少の失敗があっても、最終的に「自分は愛されている」と感じられれば十分なのです。

「完璧でなくてもいい」と理解することは、育児におけるプレッシャーを大きく和らげてくれます。むしろ、親が自分の不完全さを認める姿勢は、子どもに「人は失敗してもやり直せる」という大切な学びを与えるでしょう。


一人で抱え込まず頼ることを選ぶ

「自分が頑張らなければ」「弱音を吐いてはいけない」と思い込み、一人で抱え込んでしまう親は少なくありません。しかし、育児は本来、社会全体で支えるべきものです。

家族や友人に助けを求める、自治体や育児支援サービスを利用する、あるいは専門家に相談する──どんな形でも「頼ること」を選ぶことは、決して甘えではなく、むしろ賢い選択です。

頼ることで心に余裕が生まれれば、子どもに対しても自然と優しく接することができます。結果として、育児も家庭もより安定したものになるのです。


しんどさを和らげる具体的な工夫

「育児がしんどい」と感じるときに大切なのは、気持ちを押し殺して頑張り続けることではなく、しんどさを和らげる小さな工夫を取り入れることです。完璧を目指す必要はなく、少し視点を変えるだけで心が軽くなることがあります。ここでは、すぐに実践できる3つの工夫を紹介します。


小さな休息を意識的にとる

育児中は「休む暇なんてない」と思いがちですが、意識的に小さな休息をとることが心を守るために欠かせません。

例えば、子どもが昼寝をしている間に5分だけ深呼吸をする、温かいお茶をゆっくり飲む、夜は家事を後回しにして早めに横になる──こうした短い休息でも、心と体には確かな回復効果があります。

「休む=怠けている」と考える必要はありません。むしろ休むことは、育児を続けるために必要なリセット時間です。「今日は5分でも休めた」と思えるだけで、気持ちの持ち方が変わります。


子どもとの関わりを“完璧”から“ほどほど”に

「毎日バランスのよい食事を作らなければ」「遊び相手になってあげなければ」と完璧を目指すほど、育児はしんどくなります。

ときには「レトルトや惣菜で済ませる日があってもいい」「一人遊びをさせて自分は休んでもいい」と割り切ることが、心の余裕につながります。子どもにとっても、親が疲れ切っているより、多少手を抜いてでも笑顔でいてくれる方が安心できるのです。

「ほどほどでいい」という視点は、親子関係を守るうえでとても大切です。完璧を目指すのではなく、「できる範囲でやる」ことを基準にしてみましょう。


外の人間関係や支援を取り入れる

育児を一人で抱え込むと、孤独感や疲労感は増していきます。だからこそ「外の人間関係や支援」を取り入れることが必要です。

地域の子育てサロンや親子イベントに参加して、同じ立場の親と話すだけでも「自分だけじゃない」と安心できます。また、自治体の一時保育やファミリーサポート、家事代行などを利用すれば、自分の時間を確保しやすくなります。

「他人に頼るのは悪いこと」と思う必要はありません。むしろ、外の力を上手に使うことで親子の関係が安定し、家庭全体が明るくなるのです。


体験談|「責めるのをやめたら楽になった」声

「育児がしんどい」と感じるとき、多くの親は「自分が頑張れていないからだ」と自分を責めてしまいます。しかし、実際には少し考え方を変えたり、力を抜いたりするだけで気持ちが軽くなった、という声も多く聞かれます。ここでは、“責めるのをやめた”ことで前向きな変化を感じられた3つのケースを紹介します。


家事を手放したことで気持ちが軽くなった母親

30代のAさんは、「子育ても家事も完璧にこなさなければ」と自分を追い込み、毎日疲れ果てていました。料理は毎食手作り、掃除も欠かさず、子どもとの時間も全力。ところが心身が限界に近づき、「私は母親失格かもしれない」と落ち込んでしまったそうです。

そんなとき、思い切って「家事を少し手放す」ことを決めました。週に数回は惣菜を使う、掃除は2日に1回にする──そうした小さな変化で驚くほど気持ちが楽になり、子どもに笑顔を向ける余裕が戻ったといいます。Aさんは「手抜きではなく、自分を守る工夫なんだ」と気づけたことで、自分を責めることが減ったそうです。


周囲に頼ったら子育てが楽しくなった例

40代のBさんは、夫の帰宅が遅く、ほとんどワンオペ育児の状態でした。「全部自分でやらなければ」と思い込んでいましたが、疲労が溜まり子どもにイライラをぶつけてしまうことも増えていきました。

そこで、思い切って地域の一時保育を利用し、親しい友人にも「少しだけ子どもを見てほしい」とお願いするようにしました。最初は「迷惑をかけるのでは」と不安だったそうですが、実際に頼ってみると「大丈夫だよ」と快く協力してもらえ、自分の時間を持てるようになりました。

その結果、心に余裕ができ、子どもとの時間を「楽しめる」ようになったといいます。Bさんは「頼ることは甘えではなく、親子の笑顔を守る方法」と実感したそうです。


「私なりでいい」と気づけた瞬間

50代のCさんは、子どもが思春期を迎えた頃に「子育てを間違えたのでは」と強い自己否定に陥りました。周囲の家庭と比べて「うちの子は…」と悩み、眠れない日もあったといいます。

そんなある日、子どもから「お母さんは頑張ってるよ」と言われたことで、「完璧でなくても、私なりの子育てでいいのだ」と気づけたそうです。その瞬間、肩にのしかかっていた重荷が少し軽くなり、「子どもが元気でいてくれることが一番大事」と思えるようになったと振り返ります。

Cさんの経験は、「私なりでいい」という気づきがどれほど心を解放し、育児を前向きにしてくれるかを教えてくれます。


まとめ|育児は「頑張りすぎない」ことが大切

育児に取り組むすべての親は「子どものために」という強い思いを持っています。その一方で、毎日の大変さや孤独感に押しつぶされそうになり、「しんどい」と感じることも少なくありません。けれども、そのしんどさを「自分が悪いから」と責める必要はまったくないのです。

ここでは、これまでの記事を振り返りながら、「頑張りすぎない」ことの大切さを3つのポイントにまとめます。


しんどさを感じるのは当たり前

「育児がしんどい」と感じることは、親として失格でも特別でもありません。むしろ、誰もが通る自然な感情です。睡眠不足や家事との両立、子どもの個性や成長段階──そうした要素が重なれば、心や体が疲れてしまうのは当然のことです。

「しんどい」と思えるのは、それだけ子どもに真剣に向き合っている証拠でもあります。「私だけがつらいのでは」と思わずに、当たり前のことだと受け止めるだけで気持ちは少し楽になります。


「責めない」選択が親子を守る

育児のつらさを感じたとき、「私のせいだ」と責め続けると、自己肯定感が下がり、親子関係や家庭全体に悪影響を及ぼします。逆に、「今は疲れているから休もう」「完璧じゃなくてもいい」と自分を許す選択をした方が、結果的に子どもに優しく接することができます。

「責めない」ことは、親が楽になるだけでなく、子どもにとっても安心感につながります。親の心の余裕は、そのまま家庭の安定に直結するのです。


自分らしい育児で十分に価値がある

子育てに「完璧な正解」はありません。SNSや育児書で紹介される理想像に縛られるのではなく、自分や子どもの性格、家庭の事情に合った「自分らしい育児」で十分です。

料理を手抜きする日があっても、遊びをほどほどにしても、親子が笑顔で過ごせるならそれが一番の価値です。子どもにとって必要なのは「完璧な親」ではなく、「安心して甘えられる親」なのです。

親も一人の人間。自分の時間や気持ちを大切にしながら続けていく育児こそ、子どもにとって一番の宝物になります。

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